現代演劇の素、コンメディア・デッラルテ
仮面喜劇のコンメディア・デラルッテは、イタリアのルネサンス期に
生まれ、その人気がやがて欧州中に広がり、あらゆる階級の人々に
笑いの種をまいたとされる。
俳優には筋のみ与えられており、対話は全くの即興だった。
シェイクスピアにも影響を与え、現代演劇の素となった。
18世紀には一度途絶えるが、20世紀前半の演劇改革者たちによって、
その身体性・即興性などの価値が再認識された。
仮面それぞれの個性は、ストック・キャラクターと呼ばれる。
俳優達は、不倫、嫉妬、老いの悩みや滑稽さ、恋愛などを題材とする
類型的なシチュエーション(ストック・シチュエーション)での物語を、
即興的に展開していく。
こうした決まりきった役を予定調和的な見せ方で演じるという特徴は、
観客のキャラクターに対する理解を早め、純粋に俳優の演技を
楽しむことに集中させるという利点を持つ。
俳優側としても、仮面と衣装を付けることでその役になりきり
やすくなるという利点があるが、技術的には奥が深く、
習得には修練と経験を要する。