続きです
初対面で、人は人の何をみて判断するのか・・・・・
背が高い、低い、
服装、持ち物、住んでる場所、
仕事、その地位、
喋り方、食べ方・・・・・・
無限にある。
もちろん、その人が持つ雰囲気での判断もある。
動物的勘での、第一印象もあるだろう。
眞子は後者。
動物的勘で決める。
「この人は、いい人」
「この人は、悪い人」
これだけだ。
ショップの定員みたいに、頭の先から足の先まで、身に着けてるものをチェックしてた時期もあったけど・・・・・
人間にそんなこと関係ない。
今はそう思ってる。
この日は勘を働かせるのに精一杯だった。
初対面の人がTバックなら、どう判断するか?
そこは全員が下着姿の空間。
その中に私たちはいた。
男性は4名ほど。すべてTバック。
みんな、見せられるだけあって、体型がとても素敵。
お腹もしまってる。
女性は少なくて1名。
ちょっとふくよかな彼女は、ベビードールの下着姿。
先客が、入ってきた私たちに好奇の視線を投げかけてくるのがわかる。
値踏みされている、どこまで参加するのだろう、何を始めるんだろう・・・・・
そんな視線だ。
洋服で身を固めている私たちは、違和感たっぷり。
先客に混じることなく、隣のテーブルに腰掛けた。
ママさんが持ってきてくれた飲み物で、私は隣のテーブルから聞こえてくる会話を頼りに、少しでも慣れてみようと、体中の神経を集中させる努力をしてみた。
彼との会話よりも、そっちが気になって仕方がない。
初めて知ったのだ。
薄暗い中、名前も、職業も、年齢もわからない人間を判断することが、こんなに面白いなんて。
「こんばんは」
Tバックの男性が私たちの前に現れた。
突然のことに、目のやり場に困る。
でも、薄い半透明の生地から見える、股間が気になったのは事実だ。
「初めてですか?」
男性はこの店に呼ばれる単独さんのよう。
誰かに声をかけられたとき、一瞬彼の顔を見る。
ちょっと頼りたい、そんな気分になる。
やっぱり彼が最初に答えてくれる。
「ハプバーは初めてです。カップル喫茶は数回、スワップもどきと・・・・・玩具で遊んだり・・・ね」
彼の、「ね・・・・・」っという同意を求める語尾に、可愛いな、なんて思う。
「玩具って、皆さん使ってるんですよね。
お店のお客さんでもね、電車の中で使ったって言う方もいて・・・・・」
「前は店の中で使ったんです・・・・」
「僕は、外に出ると電車の中でも耳をすましてます。絶対、誰かがバイブの音をさせているはずだ!」
とっても面白い男性は、名前をMさんという。
人当たりもよく、空気を読んだ会話が気持ちいい。
「僕、AV大好きなんです。同じことしてみたいなって・・・・いっつもイヤラシイ事考えてます」
Mさんはこの店で、様々なお客さんの性癖をみてきたのだろう。
純粋に好奇心をもっているのがわかった。
そして、それらを吸収しているだろうことも・・・・・
「その足、さっきから気になります」
視線の先には眞子のめくれたスカートと、ガーターベルト。
下着姿に圧倒されまいと、わざとソファに行儀悪く座っていた。
「ここにはいろんなお客さんがいらっしゃいます。ここで賑やかにイベントが始めるときもある。
ただ見てるだけの時もある・・・・・」
店に入ってから、2時間がたとうとしていた。
彼が耳元で囁く。
「彼ならいいよね?」
まだ怖い・・・・でも、Mさんに好意を持ち始めていた私に、異存はなかった。
Tバック姿のMさんは、とても紳士だったから。
続きます