藤村実穂子は、東京芸大の大学院修了後、ミュンヘン音楽大学大学院に留学し研鑽を積み、ワーグナー・コンクールで事実上の優勝、マリア・カナルス・コンクールで優勝するなどし、「バイロイト音楽祭」には9年連続出演を果たしている。そして欧米における「現在最高のメゾの一人」と称されている(ウィキペディア)。僕が最初に藤村の歌を聞いたのは、2012年のNHK「ニューイヤーオペラコンサート」だった。その後、マリス・ヤンソンス指揮のバイエルン放送交響楽団のベートーベンの「第9」の演奏を聞いた。そして、2013年のNHK音楽祭で、チョン・ミョンフン指揮のフランス放送フィルハーモニー管弦楽団演奏会のプログラム、ビゼー「カルメン」特集を聞いた。藤村は何曲か歌ったが、何と言っても圧巻は最後の曲であった「ロマの歌(にぎやかな楽の調べ)」だった。最初管弦楽のゆっくりしたテンポで始まり、アチェルランドしてゆきクレッシェンドしてゆくという大変盛り上がる曲だが、途中から静かに歌い始めた藤村が、最後は指揮者、オーケストラとぴったりと息を合わせ、力強く歌いきった。会場の拍手はなりやまず、とうとう藤村はアンコールで、サンサーンス作曲歌劇「サムソンとデリラ」の中からアリア「あなたの声に心は開く」を聞かせてくれた。本当に声が良く、特に「さび」のところは拝みたくなるような熱唱だった。