1880年に発表されたルー・ウォーレスのベスト・セラー小説「ベン・ハー」は、ローマ帝国支配時代のユダヤ人貴族「ジュダ・ベン・ハー」の数奇な半生に、イエス・キリストの生涯を交差させて描かれていている。1959年、名匠ウィリアム・ワイラー監督のもとで映画化された。主演は、チャールトン・ヘストンだ。アカデミー賞を11部門で獲得している。音楽、カメラ、スペクタクル、テーマの普遍性、親子や男女間の愛情表現など、総合的な視点から考えてみて、「ベン・ハー」は、映画史に残る傑作だと僕は思う。若い時にリバイバル上映されたものを映画館で見た。「シネマスコープ」に描かれた史劇の迫力は圧倒的で、音楽はクラシックの名曲を聞いているようですばらしかった。その後この映画はテレビなどで何度も見ているが、そのたびに新たな感動を与えてくれる。こういう映画を見ていると、映画はフィクションであるかもしれないが、そこにはリアリティーのある歴史観と、人間に対する深い洞察力が必要であると痛感させられる。