ベートーベンの「九番」は、日本人にとって、クラシック音楽の中でも「別格」になってしまった。人々は、一年に一回は、「九番」を聞かなければならないか、さもなくば演奏しなければならないと思っている。事実地方では、オーケストラはプロであっても、大合唱団は、アマチュアからオーディションをして募集するということが行われている。しかし、この現象は、「第九」をこよなく愛する僕としては、素直に受け入れられるものだ。第一、第二、第三楽章は、それぞれ曲想が異なって十二分に楽しめる。ましてや第四楽章にいたっては、まるで「演奏会形式のオペラ」を観ているようで、ゴージャスでなおかつ神聖な雰囲気が味わえる。僕は、この「ブーム」が起きる以前、毎年大晦日の「紅白歌合戦」の時間帯で放送していた、NHK・FMラジオのN響による「第九」の演奏を聞いていたことをよく思い出す。