ブラームスは、かねてから、交響曲を作曲するなら、ベートベンの不滅の九曲に劣らぬものでありたいと願い、「第一」は着想から完成までに二十余年を要している。また、バッハ、ハイドン、ベートーベン、シューマンと連なる音楽の王道を継承している。第一楽章のティンパニーの連打をともなった,緊張感あふれる序奏は、地の底から湧き上がってくるとてつもないエネルギーのようなものを感じさせる。第二楽章は、一転して、この世のものとは思えない至福の境地に、聞いているものをいざなってくれる。ソロ・バイオリン、ソロ・ホルン、ソロ・オーボエなどの、それぞれの楽器どうしやオーケストラとの交わりが美しく響いてくる。第三楽章は、クラリネットの穏やかで親しみのある旋律ではじまり、安らぎを与えてくれる。第四楽章の「アルプスのホルンの旋律に基ずく」ホルンのソロとそれに続くフルートのソロ、トローンボーンのハーモニーは、後世に語り継がれていく名シーンを演出している。そして、勝利と歓呼のうちに、クライマックスを迎える。