「わが祖国」は、「高い城」、「モルダウ」、「シャールカ」、「ボヘミアの野と森から」、「ターボル」、「ブラニーク」の6つの交響詩からなる連作交響詩だ。1946年から始まったチェコの「プラハの春音楽祭」のオープニングを飾る作品だ。この音楽祭は、毎年スメタナの命日である5月12日に幕を開ける。1990年には、西側へ亡命していた、指揮者のラファエル・クーベリックが、この音楽祭でチェコ・フィルと歴史的再共演を果たし、世界の音楽ファンに感動を与えた。僕も、これはテレビで見た。「わが祖国」の第1曲の「高い城」は、伝説の吟遊詩人ルミールの竪琴を連想させるハープのメロディーで、静かにゆっくりと始まる。これは聞いている人を、「わが祖国」という歴史絵巻に いざなってくれる。同時にいよいよ音楽祭が始まったという期待感も与えてくれる。「高い城」は実在の城の栄光と没落を表現している。「わが祖国」は、単に、国と自然とその歴史を愛したスメタナの作品というだけでなく、今や、チェコの国民の心のよりどころとなっている。