魂の旅9 | 生涯資産を生みだす方程式

生涯資産を生みだす方程式

コミュニケーション・ラボ 代表
ビジネスモデル・プロデューサー 鈴木秀一郎 公式ブログ

有意義な人生を作るために必要な「生涯資産を生みだす方程式」をマスターするための情報や、日々の学び、気づきなどをシェアしていきます。

ミュージアムの壁面に飾られた写真には、100年ほど前のホピの暮らしが
そのまま残されていた。

眼を引くのは、その人々の顔立ちがまるで我々日本人と言っても見分けが
つかないほどよく似ていることだろう。ひとり残らず、今までにどこかで
出会ったり、見掛けたりした顔のような気がして仕方がない。

そして身に纏っているものは、どこか和服と通じるところがあり、女性の
髪型は、ジョージ・ルーカスがスターウォーズで参考にした、顔の両脇で
鼓のようにまとめられた、日本髪の元祖のような形をしている人が多い。

それらの写真に囲まれて、当時の住居群であるメサのジオラマがフロアの
中央に展示されている。千人規模の人口があったようで、じっと見つめて
いると、今にも住人達の声が聞こえそうな気がして来た。

すると少し離れた、一枚の写真の前で驚くべきことが起こっていた。
一緒に旅をしている仲間のひとりである女性が、その写真の前に立ち尽くし、
肩を揺らして泣きじゃくっている。傍らには友人の女性が、彼女の方を抱
いて無言で佇んでいた。

その写真を見て私や他の旅の仲間は、皆、息を呑んで言葉を失った。

その写真に写っているひとりの女性は、まさに今、その前で泣きじゃくって
いる彼女、その人だったのだ。

もちろんそんなはずはないのだけれど、この現実をどう説明すれば納得
できるのか、その場の誰もが困惑していたと思う。しかしその写真の女性と
彼女に何の関係もない、というのは むしろ不自然であり、残酷な感じさえ
するほどだった。これもまたひとつの運命の出会いというべきなのだろう。

私がビジョンに導かれてそこまで行ったように、他にも同じような理由で
引き寄せられるようにしてホピを訪れる人がたくさん居るのかもしれない。
そんな思いのまま、私達はミュージアムのレストランで食事をした。

ホピスープという、バッファローのわずかな肉とひよこ豆を煮た、薄い塩
味のスープが素晴らしく美味しく、夢中で食べていると、周りの仲間達が
同じスープを目の前にして、不思議そうな顔で私を見ている。

「このスープ、おいしい?」
「ああ、とっても」

ひと息おいて、皆が大笑いした。美味しく思っていたのは、どうやら私だけ
だったらしい。

「やっぱりあなたはホピだったのね」とFさんに言われて、私も笑った。

その後、Fさんの顔見知りのホピの方の家を訪問し、彼らが生活の糧として
作っている「カチーナ」という聖霊の人形や、彼らの伝統工芸品である銀
細工のアクセサリーなどをいくつか譲ってもらい、子供達と遊んだ。

陽が西に傾く頃、すっかり仲良くなった私達を彼らは「他の人には内緒」と
断って、ホピの聖地のいくつかに連れて行ってくれた。

それは悲しい迫害の歴史でもあり、多くの犠牲を強いられたキリスト教の
宣教の歴史でもあった。今、伝統的なホピはもう300人とは居ないという。
しかし私達を案内してくれた彼の家には、電気もガスも、水道も引かれて
おらず、彼らの先祖の神の教えに従い、痩せた大地へトウモロコシを蒔き、
わずかな木の実を栽培して暮らしている。

そんな現実の断片を体験しながら、今、日本で暮らしている自分を振り返り
遠く離れたこの土地と歴史が私に何を伝えようとしているのか、この人生で
自分は何をなすべきなのかを、今も時々考えさせられる。

ホピ チベット 日本 この3つの血統は、同じルーツを持つ民族なのだ。
私はまだまだここから何かを学びながら、人生を変えていくことになりそう
な予感がしている。

あの旅から帰って、しばらくして気づいたのだが、あれからあのビジョン
を思い出すことがほとんどなくなっていた。そして今もあの旅のことを
思うと、胸の奥が少し温かくなり、そして少し淋しくなる。 

今のところ、あれからこんな旅をしたことはない。
人生には、誰にでも不思議なことが起こりうるという証明のような旅だった。