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ほどよい敬語~その敬語、盛りすぎです!

プロのライターでも経営者でも間違えることがある敬語。相手を思いやるコミュニケーションツールとして「ほどよい敬語」を使いこなして「デキル人」になっちゃおう。

依頼を辞退したい時「役不足」という言葉は使える?

「役不足」の意味と正しい使い方は?

何かの役を依頼され、「荷が重い」と断るつもりで「私には役不足です」と言っている人を見かけます。

この「役不足」の使い方は合っているでしょうか?

 

遠慮深い様子からも、その人は「何らかの役を頼まれたが、自分には力が及ばないので辞退します」という意味でおそらく言っているのでしょう。

 

けれど、この使い方は間違いです。

なぜ間違いなのか? 

「どう言えば適切か? 

「役不足」の正しい意味は?

 

今回は「役不足」について調べました。

 

 

 

「役不足」とは? 言葉の読みと意味

 

「役不足」や「やくぶそく」と読みます。

次のような意味があります。

 

やくぶそく【役不足】

(1)俳優などが自分に割り当てられた役に対して不満を抱くこと。

(2)その人の力量に比べて、役が軽すぎること。

▷誤って、力不足の意に用いられることがある。

(引用:『広辞苑 第七版』岩波書店)

 
「役不足」とは「その人の力量に比べて、役が軽すぎること」を表します。
 

◇「役不足」と「力不足」は混同されやすい

 
広辞苑に「力不足の意に用いられることがある」とあります。
自分の力が及ばない、つまり「その役には自分の力が不足している」とう意味で間違えて「役不足」と言ってしまうわけですね。
 
力不足の意味で言ったつもりが、
実は「私には役が軽すぎる」、つまり「私の力量はまだこんな役におさまっていいものではない」というような不遜な意味にも受け止められる可能性がありますよね。
 
例えば、こんなことになったら?
 ↓

依頼者 「前田さん、副班長さんをお願いできますか?」

前田さん「いえいえ私には役不足です」

依頼者 「あ〜、やっぱりそうですよね。

     じゃあ、班長さんで決まりですね!」

前田さん「え、ええっ?」

 
「役に不足ですか。じゃあ、もっと上の役を」なんてことになるでしょう。
大変です!
力不足を理由に辞退したり、断りたい時には、そのまま「力不足です」と言いましょう。
力不足と同じ意味で「荷が重い」「手に余る」という表現もあります。
 

「役不足」という言葉の使い方は?

さて、そんな「役不足」という言葉、どのように使えばいいでしょうか?

文字通り、力量や評価が役を上回っている時に使うのが適切です。

◇与えられた役が自分にとって不満な時に使う

冒頭で取り上げたように、広辞苑の意味に書かれている(1)の意味で俳優さんやアーティストさんが使うのなら、合っています。

それくらい自信たっぷりでいてほしいというファン心理もあり、むしろ拍手したいくらいです。

 

また、(2)の意味で本当に人事に納得できず、直談判したい勢いなら、「役不足」と使えるでしょう。

不遜だと受け止める人がいることも心得ておく必要はあるでしょうが、日本人は遠慮がちですから、それくらい自分の力量に自信を持つことは悪いことではありません。

 

☆例文

・「一昨年、昨年と私はトリを務めたのですよ。

 正直、今回は私にとって役不足です

 

・「今回の人事、納得できません。あれだけ成果をおさめましたし、取引先にも好評でした

 それなのに、また補佐とは、正直私には役不足です

 

◇相手や第三者のことに使う

 

「役不足」という言葉は、自分のことより、相手や第三者など他人のことに使う方が、日本的かもしれませんね。

以下のように、誰かについて評する際に、その人のことを「もっと実力がある」という意味で使うことができます。

 

☆例文

・「あなたには、役不足かもしれないが、部長補佐をお願いしたい」

 

・「〇〇さんは、できる人なので、そんな簡単な仕事は役不足だと思います

 

 

「役不足」の言い換え、類語は?

なかなか曲者の「役不足」という言葉ですが、他の表現はあるのでしょうか?

 

物足りない

「何となく不満」という意味です。役以外のことにも使えます。

 

☆例文

 

・〇〇は大好きなアーティストなので、いくら専門家の評価が高くても、ファンとしては物足りない。もっと褒めてくれたらと思う。

 

つまらない

 

意に満たない、の意味。役以外のことについても使えます。

 

☆例文

 

・「お役目、お疲れ様でした。いかがでしたか?」

 「簡単すぎて、つまらなかったよ」

 

不服

 

満足だと思えないこと。不満。評価や判決、与えられた境遇など現状に満足していないこと。

 

☆例文

 

・今回の人事は、君には不服かもしれないが、次回こそと思って頑張ってほしい。

 

まとめ

・「役不足」とは、「力量に比べて、役が軽すぎること」。

・「役不足」は「力不足」と混同されやすいが、真逆の意味。

 

「ほどよい敬語」管理人 前田めぐるの著書

 

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