臓器移植法と人生

脳死での臓器提供に扉を開いた
臓器移植法が施行されて
16日で20年。
臓器提供者(ドナー)数は
年間約30 - 60人で、
先進国の中で圧倒的に少なく、
環境整備に大きな課題を抱えている。
※産経新聞より
▼桁違い
どのくらい少ないかというと、
人口比で1位のスペインと比べて
「50分の1以下」
相手がいくら医療先進国だからって
人間の命の重みに差はないはずだ。
開発途上・後進国のように
人的・経済的事情により
困難であるケースならまだしも、
G7の一員であり、
(1指標に過ぎないとはいえ)
世界五大医学雑誌に数えられる
ランセット誌で
今年6月に発表された
保健医療ランキングにおいて
11位を記録した日本である。
この違いは一体なんだろう。
▼現場
つまりそういうことだ。
2010年、同法が改正され
「家族の承諾による脳死臓器移植」
「15歳未満の小児の脳死臓器提供」が
可能となり、移植実績は3倍4倍に増えた。
それでも前述の先進国に比べれば
桁違いに少ない。
日本国内で
とりわけ議論の的となるのが
「脳死確認・臓器摘出が可能な
医療体制の充実度」と
「患者とドナーをとりもつ
コーディネーターの不足」だ。
当然の話だが
いくら法律を整備しても、
医療現場が機能しなければ
移植は成立しない。
慢性的な医師不足が叫ばれる中、
可能な範囲での移植実績の向上が
長年の課題となっているのが現状だ。
▼根は同じ
僕は過去に
非血縁者間骨髄移植ドナーとして
骨髄提供を経験した。
今回の脳死による移植とは異なるが
根は同じだと僕は思っている。
日本の非血縁者間骨髄移の場合、
運営元にあたる財団法人が設立されて
25年以上が経過しているが
未だに過去5年間で
1500人を超す患者さんが
移植を受けられずに亡くなっている。
原因の一つが
患者さんが非血縁者間移植を希望してから
移植に至るまでの期間が長いこと。
経験者の身としても
提供前の血液検査や健康診断、
最終同意から入院日決定までの間
都度待つ日数の長さが気になり、
幾度となく担当コーディネーターに
状況を確認するほどだった。
▼臓器移植法と人生
冒頭の記事によれば
脳死を経て亡くなる人は
年間約1万人いるとされるが、
体制が整っている病院は
全国で360施設にとどまっており
「患者を最後にみとる
救急病院の体制不備」を指摘している。
法整備に留まらず
現場での課題を洗い出すことは勿論、
国民一人一人が
これらの課題をいかにして
我が事のようにとらえるかも重要だ。
人は等しく死に向かって生きている。
そうした国民の意思の集合なくして
然るべき医療の明日はないと思う。