意欲格差と人生

今年もまた、大学入試の季節である。
(中略)
しかし、心すべき事実がある。
数字のうえでは希望者全員が
どこかの大学に入れる
「全入時代」とはいっても、
実際に大学へ行く若者は
同年代の半分ほどなのである。
※日経 日曜に考える 時流より
▼2人に1人
文部科学省の学校基本調査によれば、
高校生の昨春の大学・短大進学率は
54.7%。
さらに総務省の国勢調査
(2010年度確定値)によれば
20代後半から30代前半における
最終卒業学校が小学校・中学校の
割合は4.3 - 4.6%。
勿論、私立・公立の違いもあるし
地域差もあろうが、
現在、小学生時代共に過ごした
クラスメートのおよそ2人に1人が
大学・短大へ進学し、
逆に2人に1人が
大学・短大に進学せず、
それ以外の進路を選択している。
7 - 8年ほど前から
「大学全入時代」の言葉が
使われはじめ
進学率自体も
ここ10年ほどはほぼ横ばい。
“小学校・中学校”の割合も
ここ2、30年殆ど横ばい。
僕自身も上述の進学率と
さほど変わらない時代に
小学・中学・高校・大学を
卒業しているからつくづく思う。
2つに1つの人生。
果たしてどちらの人生が
幸せな人生だろうか。
▼学歴社会
「そんなもん、大卒の方が
良いに決まっているではないか」
多くの人はこのような答えを
口にするのかもしれない。
でもちょっと待ってほしい。
なぜその人は
「大卒の方が良い」と思うのか。
勿論、僕だって知っている。
卒業後の進路の違い。
高校卒業と大学卒業で
選択できる就職先の数は
やはり大学卒業の方が多い。
また同じ就職先でも
出世コースに乗るか外れるか等
待遇面で差が出る話も聞く。
さらに生涯収入の面でも
大学卒業の方が上回ることが
調査結果でも明らかだ。
とは言ってもその調査結果自体も
あくまで平均値にすぎず、
一部の高給職に就いている人が
平均値を引っ張っている面もあるし
全ての就職先で学歴による差が
生じているわけでもない。
就職先の選択肢の数の違いが
そのまま人生の幸・不幸につながる
わけでも、もちろんない。
それでも確率論上高学歴である方が
世論によって形成される
「より良い進路」を選択できるから
多くの国民は
高卒よりも大卒が望ましい、
と考えている。
▼興味がない
僕は高校3年生に進級するまで
進学には全く興味がなかった。
なぜなら卒業後
どんな進路を選択しようが
自分が望む将来には関係ない、
と本気で思っていたからだ。
そして何より
学校の勉強を頑張りたいという
「意欲」がなかった。
大学に進学して
世間一般にうけのよい
就職先へ就職することにも
全く興味がない。
ましてや学校の授業自体
退屈以外の何物でもない。
そんな僕が
なぜ進学を決意したのか。
何てことはない。
「就職と勉強」以外の
要素に惹かれたからだ。
▼意欲格差と人生
所謂「一般教養」を除けば
基本的に大学という場所は
自分の好きなことを
とことん追究できる場だ。
僕は子供のころから
勉強は嫌いだったが、
自分が興味のある分野に限っては
他のクラスメートの誰よりも
詳しく語れる自信があった。
そんな特性に照らし合わせ
僕はとある人文科学系の学部学科へ
進学することとなった。
結果、自分自身の人生観に
深みと広がりを与えることになった
当時の友人やゼミの担当教授とも
出会うこともできた。
こうした経験は紛れもなく
僕の人生上の財産の一つであり、
何よりこの僕に
学ぶ意欲を与えてくれた
身の回りの人たち全員に
改めて深い感謝の気持ちが湧き上がる。
だからこそ表面的な
「教育格差」ばかりを論じるのではなく
何かを学ぶことに対する
“意欲”の差について、
僕は生涯をかけて追究していくつもりだ。