ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・・・・・・
(神殿エリアに充満する密度の高い死の鬱積が絶望へと堕落変貌を遂げていく中、呆然と岩場に落ちているボーンブレイドを見下ろしている)


ムーア「みんな逃げて・・・・・」

シセ「なっ・・・・お前、何を言っているのか・・」

ムーア「逃げてぇええええええええええ!!!!!!!



フオオオオオオオオオン!!
(絶叫と共に顔を上げた瞬間、目の前を巨大な黒い龍体が通り過ぎていく)



望み通り 絶望の渦に埋めてやろう



ゾ・ゾ・ゾ・ゾ・ゾ・ゾ・ゾ・ゾ・ゾ
(大気中を滲むように侵蝕してきた無数の瘴気がモノクロームな世界を黒に染めていく)



男性同志「なんだ!?これは・・!?」ゾ・ゾ・ゾ・ゾ・ゾ・ゾ・ゾ!!

ムーア「早く逃げて!!」



フオオオオオオオオン!!
ドシャーーーーーーーーン!!

(急下降してきた黒龍が直立姿勢で岩場を粉砕しながら崖上エリアにその巨体を着地させてくる)



光栄に思え
貴様を除いた四つの蠕く魂に我と狩猟を演じる機会を与えよう



男性同志「なんだ・・・この声は!?」

背の低い男性同志「あいつだ・・・あいつが頭に話かけているんだ!!」

ムーア「騙されちゃ駄目!!早く逃げて!!」


ザッ・・(視点主の盟主を庇うように黒龍の前に立ち塞がる三人の盟友たち)


凛とした女性同志「受けた恩義は返す・・・でしょ?」

男性同志「ああ。高潔と博愛の武勇。それが我が騎士道だ」

背の低い男性同志「短い間だったけど今までありがとう、キャロルムーア」にかっ

ムーア「駄目・・・・駄目だよ・・・・・」

グッ・・(泣き崩れる視点主の肩を掴みながらシセも前衛に加わっていく)

シセ「君君たり・・臣臣たり・・・父の教えだ」

ムーア「シセ・・・」

シセ「我らの目的は我が盟主の盾となること!!よいな!!」

男性同志「さぁ!!盟主!!今のうちに・・・・」



ズーーーーーーーーーン!!
(瞬時に伸びてきた黒龍の鋭利な尻尾の尖端により胴体を貫通される男性同志)



凛とした女性同志「うおおおおおおおおおお!!!!!」ダッ!!


ボウウウウウウウウン!!
(向かってきた小さな人間に向かって黒焔の火球を吐き捨てるように浴びせる黒龍マモーナス)


凛とした女性同志「ぎゃああああああああああああああ」ボオオオオオオオ!!

背の低い男性同志「ムーア!!逃げっ」グオン・・(振り返りながらこちらを見る彼の背後では、男性同志を突き刺したままの尻尾がゆっくり振り上げられる)


ダシャアアアアアアアン!!
(男性同志諸共、尻尾に叩きつけられた背の低い男性同志は一瞬にして主と共に粉微塵の血肉に砕け散る)



シセ「逃げろぉおおおお!!!!ムーーーア!!!!」



バチィーーーーーーーーン!!
(次の瞬間、目の前のシセが横殴りに襲いかかってきた尻尾によりふっ飛ばされる)



トウウウウウウウウン!!
ボオオオオオオオオオン!!

(黒龍が崖上エリアから遙か遠くへ吹っ飛んでいく空中のシセに向かって黒焔の矢を吹き付けると同時に爆発が起きる)




ムーア「もうやめてぇええええええええええ!!!!」ボオオオオオオオ・・・・・



これが絶望の現実だ




ショオオオオオオオオオ・・・・・・
(両膝をつきながら崩れ落ちる視界の向こう側に映っている岩場に転がる三人の骸が瘴気となって黒龍の口元に吸い寄せられていく)



ムーア「デズモンド・・・リーナ・・・ギヴン・・・・・・・・・・・
・・シセ・・・・・・・・」ゾゾゾゾゾゾゾゾ



まだ足りぬ
この下に隠れている羞恥の生命も根こそぎ喰らおう



ムーア「!!」


ザッ!!(すぐさま崖縁まで這いつくばり、身を乗り出しながら下の様子を窺う)



ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ
(バリスタ隊はルチアをはじめ、シェルターへ撤退したのだろうか崖穴からは人気を感じないのだが、それ以上に左側より次第に大きくなって聞こえてくる不快音が気になり、そちらへ顔を向ける)



ゾオオオオオオオオオ!!
(瘴気の荒波が崖道を飲み込みながら神殿エリアへ襲いかかってくる)



もはやこの神殿に価値はあるまい
憂いを残さぬためにも歴史より滅失させてやろう



ゾオオオオオオオオオオ!!
(迫りくる巨大な髑髏が投影された邪毒の洪水は苦悶の大口を開けたまま大地と崖を砕き屠り飲み込むと同時に瞬時に瘴気と化していく砂利や岩を吸収しつつ更に異形な膨張と破滅的な推進力を増しながら神殿エリアになだれ込んでくる)


ゾルルルルルルルルル!!
(瘴気の津波が無数の竜巻を起こしながら馬小屋エリアを削ろうと接近していくと、吸収力によってバラバラになった厩舎から一頭のファンゴが猪突猛進で飛び出してくる)


ムーア「イノみゃん・・・・・」


バッ!!(素早く振り返り、岩場に落ちているボーンブレイドを拾い上げる)


ムーア「イノみゃああああああああん!!!!!!」(再び崖縁に身を乗り出し、大剣を大きく下に向かって振る)



ゾオオオオオオオオオオ!!
(瘴気の大厄災に飲まれまいと必死に遁逃するファンゴがこちらに気づき、顔を上げる)



ダッ!!ズドドドドドドドドド!!
(崖面に飛び移り、勢いそのままに急斜面を駆け上ってくるファンゴ)


ムーア「がんばれぇええええええ!!!!!
イノみゃあああああああん!!!!!!」



カカカカカカカカカカ!!
ゾオオオオオオオオオ!!

(崖面を爆走の蹄の音を奏でながらこちらに向かって斜めに駆け上がってくる彼女の背後から瘴気の荒波が崖を飲み込むように蝕んでいく)



ムーア「もうちょっと!!!!」ブギぃーーーーーー!!!!


ずるっ・・・(視点主が左手を崖下に伸ばして受け入れ体勢に入った次の瞬間、足を滑らせ、こちらを見上げたまま宙に浮かぶファンゴ)


ムーア「イノみゃん!!!!!」シュッ!!(右手に握るボーンブレイドを崖下に突きつける)



がじっ!!
(見事、全身全霊で剣先を噛むイノみゃん)






Recollection No.5_196






グオン!!(イノみゃんを崖下から釣り上げるように大剣の柄を両手で握って振り上げ、上体を反らしながら仰向けに地面に倒れる)


イノみゃん「フゴおおおおお!!!!」ブヒッブヒッ!!(仰向けに倒れる視点主の体の上で暴れながら興奮する彼女を全身で抱きしめる)

ムーア「ごめんね・・・・こわい思いばかりさせて・・・・」ブヒイイ!!ブヒイイ!!



ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ!!
(崖下から破壊音と共に大地が弾けるような衝撃が視界を通じて感じられることから、瘴気の荒波によって崖全体が崩落していることがわかる)



ムーア「もう泣かない。イノみゃんのその強い心をあたちに分けて」ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ!!(崩れゆく崖に寝そべりながら愛らしいファンゴを抱きしめる)


バッ!!(抱擁したまま彼女の体を軸に自分が右回りに回転しながら、その背中に跨る)


ムーア「いけ!!イノみゃん!!!!」ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ!!(崖は凄まじい崩落音と共に瘴気と化していく)

イノみゃん「ブモオオオオオオオオ!!!!!



キラーーン!!キラーーン!!キラーーン!!
(白煌に包まれたイノみゃんは瘴気となって崩れ落ちていく岩々の上を希望のステップと共に光のブロックへと再生させながら軽やかに飛び移り、目の前に浮かんでいる巨大な黒龍へ挑んでいく)



ムーア「マモオオオオオナアアアアアアアアアス!!!!!!バオオオオオオオオオオン!!(煌めく光の翼を羽ばたかせながら宙を駆けていくファンゴに跨ったまま大剣を振り上げ、溜めモーションに入る)



美しい・・・
貴様もまたデーモン・ロザリー同様
新たな絶望を生み出す創造主なのだ



ムーア「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!ギンッ・・!ギンッ・・!!



なぜ我が貴様を自害させなかったか



ムーア「いけぇえええええええええええ!!!!!!ザオオオオオオオオオオオオオン!!!!(溜め完了と共に大剣を振り下ろし、勇猛果敢な剣気を宿敵の顔目掛けて解き放つ)





それはお前が
絶望を孕む女神だからだ







ドガアアアアアアアアアン!!










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・











ショオオオオオオオオ・・・・・・
(目を開けるとフラットな灰色の世界にあまたの瘴気が立ち込めており、崖も神殿も朽ち果ててしまったようだ)




ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ちら・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(花畑エリアの花々だけが希望の光を放っている)




ムーア「わかってる。お母さん」



ぜえ・・・ぜえ・・・・・・・・
(その花畑に包まれながら横倒れになっているイノみゃんのもとに歩み寄っていく)



イノみゃん「ぜぇ・・・・ぜぇ・・・・・・・」(こちらを目線だけで弱々しく見上げる彼女の生命力はその息遣いからも長くはないと判断できる)

ムーア「よくがんばったね、イノみゃん。えらいよ」なでなで

イノみゃん「ぜぇ・・・・ぜぇ・・・・・・・」にこっ

ムーア「あたちのためにたくさんありがとう。だから、もう眠っていいんだよ」

イノみゃん「ぜぇ・・・・・・・・・ぜぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・」(静かに目を閉じる)

ムーア「お母さん。イノみゃんをよろしくね」



キラキラキラキラキラキラ
(輝きをみせる花畑と共に煌めきの星々となって昇天していくイノみゃんを見上げる)



銷魂に光を照らし安寧に導く 白の伝令
だが貴様は聖人にはなれない キャロルムーア



ムーア「ロザリー家の血筋なんてもう関係ない」キラキラキラキラキラキラ(セレスティアルな煌めく粒子のカーテン越しに、うっすら浮かび上がる立ち姿の巨大なドラゴンの敵影)



バオオオオオオオオオン!!
(瘴気の波動が希望の煌めきを一網打尽に吹き飛ばしながら視界を突き抜けていき、何もなくなった頽廃したエリアの奥からゆっくりと歩いてくる黒龍の姿がはっきりと見えてくる)



ムーア「決着をつけましょう。マモーナス」ドシーーーン!!ドシーーーン!!





To Be Continued







次回 Recollection編ラスト
9/9(木)0時更新予定