キーーーーーーーーーン・・・・・・・
ドワァアアアアアアアアアン・・・・・・・
(おそらく間近で爆発があったのだろうが、視点主の激しい耳鳴りがノイズキャンセリングの役割を果たし遠のいて聞こえる)
パラパラパラパラパラパラ!!
(耳鳴りが止んでいくと同時に瞬きを開始すると被弾の爆風による砂利がまず目に飛び込んでくる)
ワァアアアアアアアア・・・・・!!
(盟友達の雄叫びが反響していることから未だ戦闘中であることが窺え、また、ぼやけた視界に廃頽したモノクロームな空模様が広がって見えることから視点主が仰向けに寝ていることも見て取れる)
ファラファラ・・・・・(頭上から何やら黒い粉雪が舞って来る中、軽い目眩と共に意識の確認をするように頭を左右に軽く振ると、頭や顔に付着していたのだろう無数の黒い雪片が宙に舞っては瘴気と化しながら昇華していく)
ヒョウウウウウウウウウウウン!!
逃げろぉおおおおおおおおお!!
(その耳をつんざくような鋭い高音から巨大な飛来物が空を切りながらこちらに向かって降下してくるのが聴覚で判断でき、同時にまた盟友達の叫び声も聞こえてくる)
ドガアアアアアアアアン!!
(次の瞬間、左側方で激しい爆発が起こり、視点主は咄嗟に左手で顔を覆う)
フォオオオオオオオオ!!
(両目を閉じている瞼の向こう側を火炎を帯びた爆風が瞬間的に通り過ぎていくのがその烈々たる疾風音によって判断できる)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(急激な静寂が訪れ、その原因を探るようにゆっくり瞼を開けながら左手を下ろすと再び頭上から黒い粉雪が舞ってくるのが目に映る)
はぁ・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・・
(左側より荒い息遣いが聞こえ、おもむろに首を左に向ける)
・・逃げろ・・・・・・ムー・・ア・・・・
(全身黒焦げになった男が這いつくばりながら、その真っ赤に爛れた両目でこちらに向かって忠告してくる)
す・・・すま・・・・ない・・・・・・・・・
バショオオオオオオオオオオオン
(男は謝罪をすると同時に内より黒い瘴気となって破裂してしまう)
ゾルルルルルルルルルルル!!
(弾け飛んだ瘴気は昇華する前に急速な勢いで渦を巻きながら上空に向かって吸引されていく)
ゾオオオオオオオオオオオ・・・・・
(頭を正面に戻すと、竜巻のように旋回しながら空中に吸い上げられていく生命の瘴気が遥か上空に浮かぶ黒龍の口元に吸い寄せられていく無残な光景を眼前にする)
ドスンドスンドスンドスン!!
(突如、視点主の右横をポポの親子が何かから逃れるように走り去っていき、それを虚ろな横目で追いかける)
ズダァアアアアアアアアン
(足がもつれた親ポポが前のめりに倒れ、灰のような黒い雪に埋もれた大地に横たわる)
アオ・・・アオ・・・!!
(転倒した親ポポを気にかけるようにまだ小さいポポが駆け寄っていく)
バショオオオオオオオオオオオン!!
ゾルルルルルルルルルルル!!
(一瞬にして親ポポは瘴気と化すなり弾け飛び、存在していたことすら抹消される勢いで空に吸い寄せられていく)
アオ・・・・アオ・・・・・・・・・
(子供のポポがそのつぶらな潤んだ瞳で懇願の眼差しをこちらに向けてくる)
バショオオオオオオオオオオオン!!
ゾルルルルルルルルルルル!!
(親を追うように子供のポポもまた、容赦なく絶望と共に瘴気となって空に舞い上がっていく)
ムーア「・・・ごめん・・・・・なさい・・・・・・」(黒い粉雪舞う中、視界が涙のフィルターで覆われていく)
ムーーーーアーーーーー!!!!!
ズシャアアアアアアアア!!
(大地を覆う黒い死の雪を削るようにスライディングしながら現れたルチアが片膝をついて視点主の真横に急停止してくる)
ルチア「無事か!?」
ムーア「・・みんなの生命が・・食べられていく・・」
ルチア「起きろ!!起きて戦うんだ!!」
ムーア「『あたし』のせいで、みんな死んでいく!!!!」バショオオオオオン!!(ルチアの背後に倒れ込んだ黒焦げの同志もまた瘴気となって散っていく)
ルチア「しっかりしろ!!敵を討つんだろ!?」グッ!(視点主の肩を担いで無理やり起き上がらせる)
ムーア「お母さんの忠告を無視した罰だ・・・・」ズルッズルッ・・・(ルチアによってシェルターとなっている崖の方へ引きずられていく)
ルチア「お前は罪なんて犯しちゃいねぇ!!すべてはあいつの仕業だ!!」ズルッ!ズルッ!
ひっく・・ひっく・・(激しく嗚咽しながら弱々しい目で灰空を見上げると、両翼を大きく羽ばたかせたまま瘴気の渦を飲み込んでいく悪魔の姿が確認できる)
ルチア「野郎・・・あれで回復してやがる・・!」ズルッ!ズルッ!
李俊「早く中へ!!」トシューーーーーン!!(引きずられながら顔を上げると崖穴よりバリスタを上に向けて発射している彼の姿が見えるも他のいくつかの崖穴からは硝煙が上がっており、バリスタもまた破壊されてしまっている)
モーガン「クソがぁあああ!!落ちやがれぇええええ!!!!」ズンギャッギャッギャッギャッギャッ!!(そのまま崖上エリアの方を見上げるとガトリング砲の砲身を限界まで上向けながら空に連発している彼の姿も)
ムーア「あたしのせいだ・・・・あたしのせいで!!!!」ズルッ!ズルッ!
ズザャアアアアアアアア!!
(ルチアの豪腕によって洞窟の中へ目を覚ませと言わんばかりに放り投げられる)
ルチア「泣き言は後だ!!」ブン!!(回復薬の小瓶を投げつけられ、反射的にそれを両手でキャッチする)
うううう・・・・・・・(篝火に照らされた薄暗い洞窟のシェルター内に目を配ると、怪我をしている無数の同志達が救護班のアイルー達によって手当を受けている)
ムーア「・・平気・・・これはみんなに・・」(そっとあぐらをかいて姿勢を整えながら小瓶をルチアへ返そうとする)
ルチア「いいからお前が飲め。それともここまできてリタイアするつもりか?」(洞窟の外の様子を窺いながら)
シセ「無事か!?」タッタッタッタッタッ(洞窟の奥から彼がこちらに向かって駆けてくるのを見つめながら回復薬を飲み干す)
ムーア「うん・・そっちは・・?」
シセ「大砲は全滅。崖上はモーガンと三銃士だけだ」
ルチア「バリスタ部隊も半数がやられちまった。シールドをうまく使いこなして防いでるのは李俊くらいだ」ヒョウウウウウウウン・・・(言ってるそばから洞窟の外より黒焔の矢が投下されてきた音が聞こえてくる)
ムーア「大剣を奪われた・・・・」ドガアアアアアアアン(洞窟が崖ごと揺れる中、呆然と俯く)
グッ(片膝をついたルチアが視点主の両肩を掴みながら揺さぶる)
ルチア「思い出せ、ムーア。アースラは・・お前の母さんは、どんな助言をしてくれたんだ?」
ムーア「・・・あいつは・・マモーナスは穢れた強い願いをエネルギーにする・・・だからあなたは、何があってもマモーナスの誘惑に乗っては駄目・・・・その忠告を無視したから、あいつは大剣の力を奪って、みんなを・・・!!」つぅ・・・(右目の視界下に溢れる涙が零れ落ちていく)
シセ「穢れた強い願い・・・・絶望か・・・」
スッ・・(目の前のルチアがこちらを真っ直ぐ見つめながら、視点主の涙伝う頬を優しく親指で拭ってくれる)
ルチア「いいか、よく聞くんだ」
ムーア「えぐっ・・えぐっ・・・・」こくり
ルチア「アースラの言う通り、あいつは恐怖に負け、死を覚悟して散っていった仲間の生命を吸収して力にしてやがる。そしてその惨たらしい光景をお前にまざまざと見せつけることで、お前に絶望を植え付けようとしているんだ。なぜだか分かるか?」
ムーア「えぐっ・・・・あいつは自分の手で・・・あた・・あたちを殺すことができないから・・・・えぐっえぐっ・・」
ルチア「それこそがアースラの加護なんだ。ようやく自分がなんで生かされたのか・・・はっきりとわかったぜ・・・」フッ・・
グッ(再びルチアは視点主の両肩をしっかりと掴み、自分の顔に目を向けさせる)
ルチア「ムーア。絶対にあきらめるな。お前が希望を持ち続け、生き続けることがあいつに勝てる唯一の方法だ」
ムーア「でも・・その為にみんなが・・・・」
ルチア「あいつが絶望して死んでいった仲間の生命をエネルギーにするっていうのなら、お前もまた仲間の魂の数だけ強くなれ!!例えあたしらが死んでも、お前だけは生き残って、また新しい仲間を見つけてあいつを殺すまで生き続けろ!!わかったな!!」
ムーア「・・・えぐっ・・・えぐっ・・・」こくり
ぽん(背後より左肩の上に「赤虎毛な猫手」が置かれる)
ちら・・(振り返るとすす汚れた顔の吾郎とおトキの姿が)
吾郎「ちぃとばかし潰れちまってるが最後のあんまんです。お嬢さん、どうぞ」スッ・・
ムーア「板長・・・・」
おトキ「さ、それを食べてお戻りください。外で戦っている皆さんもまた、お嬢様のことを待っておられますよ」ドガアアアアアアアアン(母親のように優しく微笑む薄紫色のアイルー)
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」こくり
Recollection No.5_193
あむっ!!(一口で潰れたあんまんを口に放り込む)
ショキーーーーーーーーン!!
(視界に回復エフェクトが迸る)
ムーア「よし!!いこう!!ルチア!!シセ!!あたちを勝利に導いて!!」ガシッ(拳を突き合わせる三人)
To Be Continued
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★次回ストーリーモードは8/30(月)0時更新予定です★