ムーア「マモォオオオオオナァアアアアアアス!!!!!ザンザンザンザンザンザン!!(白銀のダウンヒルに時折バランスを崩しながらも視線は暗黒郷のモノクロームな視界上空遥かを真っ直ぐ雄大にこちらなど顧みず尊大に舞っていく黒龍の小さな背面をしっかり捉えたままカオティックなひび割れたスクリームで宿敵の名を叫びながら雪斜面など気にもとめず転がらんばかりの勢いで追走していく)


ザンザンザンザンザンザン!!
(顔を上げながら黒龍に敵視を向け続ける視界の下側に世界の終着点のように壮大な崖が接近してくるのが見え、その向こう側には樹海の谷が広がっている)


ムーア「待てぇえええええええええええ!!!!!!



ブワッ!!
(急傾斜面を全速力で駆け抜け、頭上の黒龍を掴むように右手を伸ばしたまま一気に空中へ跳躍していく)






Recollection No.5_189






ズザアアアアアアアアアン!!!!
ズシャシャシャシャシャシャ!!!!!
(森林エリアへ急降下で飛び込むやいなや目の前に現れた細長い針葉樹を全身で抱きしめるように激突して衝撃を受け止めた途端、今度は両腕を硬い枝々に擦らせながら重力を殺しつつ激しく落下していく)


ダンッ!!
ダッダッダッダッダッダッダッダッダッ!!

(片膝をつきながら薄暗い原生林の大地に着地すると同時に木々を避けさせる勢いで突っ走っていく)


ダッダッダッダッダッダッダッダッダッ!!
(息切れの声をみせながら左右に目を配らせ「色を失った森林エリア」を確認すると、普段は所々に顔を見せているはずの環境生物や草食種の姿がまるで絶滅してしまったかのように身を潜めてしまっている)



ドウーーーーーーーーン・・・!!
(次の瞬間、森林エリアにわりと近い距離感で大砲の轟音が反響してくる。そしてまた通常ならばその音で飛び立つはずの小鳥達のざわめきも聞こえない)



ダッダッダッダッダッ!!
ガシッ!!ガシッ!!ガシッ!!

(木々の間を走り抜けていくと突き当りに断崖が確認でき、到達すると共に手慣れた動作で高速ロッククライミングを開始していく)


ドウーーーーーーーン・・・!!
ドウーーーーーーーーーン!!

(軽やかに登っていく崖の上から続けて発砲される砲弾音が近づいてくる)


ガシッ!!
グオン!!
ゴロン!!

(頂上の崖縁を見上げたまま最後のひと掴みを両手で同時にキャッチし、その掴み上げた反動を利用して垂直に飛び上がりながら崖上エリアへ転がり込むようにインしていく)


バッ!!
ドウーーーーーーーーン!!
ドウーーーーーーーーン!!

(すかさず片膝をつきながら上体を起こし顔を上げると、崖上に等間隔で設置された大砲を次々に発砲していく白いコート姿の頼もしい同志達の英姿が懐かしさと共に視界に映り込んでくる)


シセ「ムーア!!」(龍弓【国崩】の大弓を片手に下げた彼がこちらの存在に気づく。また彼の背後では王都のガーディアンシリーズに身を包んだガーディアンランス部隊が長槍を天に突き刺しながらその威厳漂うカイトシリーズでそれぞれ大砲を庇うように傍らに立ち、大砲の守護者となっている)

ムーア「状況は!?」(彼に接近しながらグレーな空を見上げると、大砲の玉が当たりそうで当たらない微妙な高度で浮揚している黒龍の姿が確認できる)

シセ「突然、近づいて来たと思ったら、ずっとあの様子だ。まるで玉切れを誘っているかのようにな・・・アポロンは?」

ムーア「・・・・・・・あいつに殺された。だからあいつも殺す」(上空の黒龍を睨みつける)

??「嘘だろ・・・・・アポロンが・・・・・」


ドウーーーーーーーン!!ドウーーーーーーーン!!
(目線を下げると大砲が火を吹く崖上エリアに呆然と立ち尽くすモーガンの姿が飛び込んでくる)


モーガン「嘘だ!!あいつがやられるわけねぇだろ!!嘘だと言え!!」

シセ「持ち場に戻れ!!モーガン!!」

モーガン「本当なのか・・?本当にアポロンが・・・・」ドウーーーーーーーン!!

ムーア「あたちを護ってくれた。希望を捨てず・・最後まで勇敢だった」

モーガン「・・・・・・・・・そんな・・・・アポロン・・・・・・うおおおおおおおおお!!!!!!」ダッダッダッダッダッダッ!!バッ!!(反転して走り出し、シェルターに繋がる穴の中へ飛び込んでいく)

シセ「モーガン!!」

ムーア「大丈夫。あたち達も彼の為にも戦いましょう」ガッハッ(シセの肩を強く掴む)

シセ「・・・・・・・哀悼を捧げるのは・・・(顔を見上げ)・・あいつを倒してからだ」

ムーア「うん・・!」

男性同志「くるぞぉおおおおおおおお!!!!」

ムーア「!?」バッ(顔を上げた瞬間)



トウーーーーーーーーーン!!
(灰色の空を貫きながら巨大な黒焔の矢がこちらに向かって急降下してくる)



ムーア「!!」


ガシャン!!(次の瞬間、視点主を囲うように四方から急接近してきたガーディアンシリーズを身に纏った同志達が頭上高く掲げるカイトシールドによって上空の視界が妨げられる)




ドワアアアアアアアアアアアアアン!!!!
(激しい爆音と衝撃が走り、たまらず目を閉じる視点主)








キーーーーーーーーーーーーーン・・・・・・・
(耳鳴りと共によろめきながら、まばたきを繰り返す視界全面に燃え盛る黒い炎の壁が不気味に揺らめいており、地面には黒焦げになったガーディアンシリーズを身に纏った同志達が仰向けに倒れている)




キーーーーーーーーーーーーーン・・・・・・・
(千鳥足で自分を守ってくれた同志達に歩み寄り、両膝をついて看護しようと試みる)




ゾウウウウウウウウウウン!!
(同志に触れようとした瞬間、重厚な鎧ごと体全体が瘴気となって砕け散り、瞬く間に昇華していく)


ゾウウウウウウウウウウン!!
ゾウウウウウウウウウウン!!

(次々とまわりに倒れている同志達も瘴気と化し、ロストしていく)



ショオオオオオオオオオオ・・・・・・・・
(黒い霧のようになってしまった同志達を目で追っていくと、互いに重なり合いながら空高く舞い上がっていく)



ゴオオオオオオオオオオ!!!!
(耳鳴りが止まるやいなや、あたりを覆う黒いファイヤーウォールの燃え盛る音が悶え苦しむ悲鳴のように聞こえ、上昇していく瘴気群は渦を巻きながら、その上空中心で浮かぶ黒龍のもとに吸い寄せられていく)



ムーア「穢れた強い願い・・・・これが・・・絶望・・・・・・」ゴオオオオオオオオオオ



そうだ
かつて栄光を誇ったシュレイド王国もまた
こうして一夜にして滅んだのだ



ムーア「たくさんの・・・生命と一緒に・・・・・」ゴオオオオオオオオオ



そうだ
生きているから恐れるのだ



ムーア「あたしが生きているから・・・・みんなが・・・・・」ゴオオオオオオオオオオ



そうだ
アーロン・ロザリーもまた
愛する妻を失い
絶望と化した



ムーア「お父さん・・・・お母さん・・・・・・・・・」ゴオオオオオオオオオオ



さぁ
汝もまた 父と母のもとに帰るがよい



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ゴオオオオオオオオオオ



バオオオオオオオン!!
(沈黙を破るように黒い炎の海から飛び出してくるシセ)


シセ「無事か!?」

ムーア「・・・また・・・・・「あたし」の為に・・・・生命が消えた・・・・」ゴオオオオオオオ

シセ「しっかりしろ!!下に逃げるぞ!!」グッ(無理やり視点主を支えながら起き上がらせる)

ムーア「だめ・・・みんなが巻き添えになる・・・・」ゴオオオオオオオ

シセ「目を覚ませ!!」パァーーーーーンハッ

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・シセ・・・・・」

シセ「生きるんだ!!何があっても生き延びろ!!それがお前に与えられた使命だ!!!!」

ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」こくり・・(視界を覆う涙のフィルターと共に深く頷く)

男性同志「いたぞ!!ここだ!!」ブオン!!ブオン!!(ヒーローブレイドで炎を振り払いながら近づいてくる)

背の低い男性同志「無事だったんだね!!ムーア!!」ダッ(インジェクションガンを背負った彼が無邪気な笑顔と共に近寄ってくる)

凛とした女性同志「ここにいたら危険よ。下に行きましょう」スッ(落ち着いたトーンでこちらを言いきかせながら視点主の肩を担ぐ彼女の背中からは龍刀【紅蓮】の柄が突き出ている)

ムーア「あたし・・・・あたちは逃げない」バッ(その腕を振り払いながら)

男性同志「気持ちは分かるが、またさっきのやつが落ちてくるかもしれないぞ!?」

背の低い男性同志「そうだよ!今の攻撃で大砲はほとんどやられちゃったんだよ!?」ゴオオオオオオ・・・(彼の背後で次第に鎮火していく黒炎の海の向こう側に「まだ生きている」大砲が目に映る)

凛とした女性同志「(その視線に気づき、振り返りながら)・・・あれを使うつもり?でも、相手はまだ遥か空の上よ?」

シセ「何か作戦があるのか?ムーア」(優しく、そして静かに聞いてくる)

ムーア「あたち達にはまだ武器がある」グッ(背中に納刀している祖龍剣の柄を右肩越しに右手で掴む)

背の低い男性同志「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(一同、各自の得物を見つめる)

男性同志「だがその為には、まずあいつを舞台に引きずり降ろさないと駄目だ」(上空の敵を見上げながら)

ムーア「やっぱり・・歌劇事件もあいつが絡んでいたんだ・・・」ぼそっ・・

凛とした女性同志「なにか言った?」

ムーア「みんなの力で、このヒンメルンにプリマドンナは必要ないってことをあの邪龍に思い知らせてやりましょう」ゴイン(祖龍剣を抜き、天空の宿敵にその刃を向ける)


To Be Continued






★次回ストーリーモードは8/16(月)0時更新予定です★