白き盟友よ・・・かけがえのない世界を守りぬくため、その身を大陸に捧げよ・・
(真っ暗な視界から視点の主が両目を閉じて言葉を捧げていることが分かり、またすぐ左隣から同じ言葉を囁く、男性の声も聞こえる)

ちら・・(実にいやらしい左向きな「チラ見」をみせると、片膝をつき、俯いたまま両目を閉じているシセの横顔が視界に映る)

ちらり・・(正面を向くと、すぐ目の前には首から上が欠けた少女の石像が見える)

ムーア「・・魔子・・・」

シセ「勝手に名前をつけるな」ザッ(彼が立ち上がる)

ムーア「なんでよ?あんただって、この子になにか神聖なものを感じているから、お祈りしてたんでしょ?」ザッ(大タルに挟まれた通路を歩いていくシセの後に続きながら)

シセ「無神論者だという事実に嘘はない。信仰が心を安らかにさせることもな。否定するなら、そのへんてこな名前だ」ザッザッザッ・・(樽の上に置いてあったおリンゴを奪い取りながら)

ムーア「きっと魔子が初代盟主なんだよ」バシッ(シセがそのおリンゴにかじりつく前に、背後よりそれを奪い取る)

シセ「確証がない。この神殿の過去の記憶は、何一つ残っていないんだからな」やれやれ

ムーア「悪夢の歌劇事件・・・・」スッ・・(見上げる天井には黒い煤が広がっている)

シセ「手がかりは2つ・・・・失踪した父さんとフランク・ヴューラー・・・」

ムーア「彼らが本当の神殿の姿を知っている・・・・」






Recollection No.5_178







かぁ~~~~~~~~ぺっアセアセ
(回廊外側のテラス席に腰を下ろしながら、下の「きれいな」芝生に向かってそれを吐く視点主)

シセ「なんだ?寝不足か?大変だな、王女様のお気に入りってのも」ファ~~~~ふぁ・・(と大あくびかます対面の席には彼が。そしてテーブルの上には木製ジョッキが2つ見える)

ムーア「あのね。へんな言い方しないで。ここのところ、お互い忙しくて会ってなかったからね・・・積もる話ってわけじゃないけど、いろいろあったのよ・・・特にプリムには・・。だから一緒にいてあげただけ」スッ・・(手に取る木製ジョッキの中身の色から察するに、「お気に入り」のおぶどうのおジュースのようだ)

シセ「感心だ」ゴッ(木製ジョッキをかっ食らう)

ムーア「それだけ?もっと他に言うことないわけ?」ゴクッ(と、おぶどうのおジュースを)

シセ「何を期待しているんだ?王宮のゴシップに興味はない。あ~~駄目だ。やっぱりアルコール入りじゃないと気持ちが悪い」(ジョッキの中味のことを言っているらしい)

ムーア「はぁ・・・あんたが独身を好んでいる理由がなんとなく理解できるわ」ふぅ~~~


ざっけんなよ!!それをこっちに向けんじゃねぇ!!
なはははははははは!!逃げろ逃げろ逃げろ!!
こいつが怖かったら逃げてみろ!!
(やれやれと首を傾けると、お花畑エリアの向こう側に広がるヒンメルン山脈の断崖途中、所々に設けられた小さな洞窟に設置されたバリスタによって「下の火竜」を狙おうとしているモーガンの姿が)


ムーア「しっかし、全然使ってなかったあの場所にバリスタを設置するなんてね」なはははは!!こわいか!?こわいか!?なははははは!!

シセ「提案はあったんだろ?攻城兵器の」てめぇ!!それ以上ふざけたら、マジで火を吹くぞ!!

ムーア「うん。親方は全然OKだって言ってくれたんだけど、モーガンがね。木で作られた井楼は火に弱いから使えないって断ったの。見てみたかったんだけどなぁ・・」やってみろ!?これのテストにもってこいだぜ!!(バリスタが搭載されている崖穴の真上には穴の両幅に合わせた細長い縦長の鉄柱が打ち付けられており、その間に穴全体を覆えるほど巨大な蒼色の鉄板(マカライト鋼だろう)が太い鎖によって吊るされているのが見える。またその鎖は崖に開けられた小さな穴より伸びており、バリスタ横に設置されている大きな木製レバーと連動していることも窺える)

シセ「モーガンのやつにあんな才能があったなんてな」ジャギーーーン!!(モーガンがバリスタ横に設置されている大きな木製レバーを力強く両手で引くと同時に穴の上に吊るされている鉄板の開閉装置が開かれたのだろう、鉄板は重力に従い、ギロチン方式で下に向かって勢いよくスライドしていくと、シャッター方式(落とされた鉄板は崖穴下の少し出っ張った底面に激しく衝突落下して停止)で崖穴全体を覆い尽くすウォールとなってバリスタとその操縦者ごとガードする)

ムーア「ほんと意外。詩の才能は全くないくせに、あんなすごいのを作っちゃうなんて」てめぇ!!そのきたねぇ顔を見せやがれ!!(崖下のアポロンが首を伸ばすも、鉄板で塞がれた穴までは届かない。よく見ると、各バリスタが設置されている穴の横にはハシゴがそれぞれ立て掛けられている)

シセ「崖を利用すれば後方から狙われる心配もないしな。ま、後ろは狙えないがな」出てきやがれ!!卑怯だぞ!!

ムーア「その為のあれでしょ?」(視線を崖より上に向けると、フラットな崖上エリアに大砲が「等間隔で」配置されているのが確認できる)

シセ「あそこなら見晴らしがきく。仮に上空から「火を吹かれても」重槍部隊の盾が守ってくれる。なぁ、ムーア。モーガンは、ひょっとしたら、どこぞの国の軍団長だったのかもな」なはははは!!いいから火を吹いてみろ!!(マカライト鋼製の鉄板に塞がれた穴の中は彼のバカっぽい挑発の声が反響している)

ムーア「うん。前に見張り用として掘っていた崖の穴にバリスタを設置して、さらにその中を掘ってアリの巣みたいに繋げる計画とか・・・ちゃんとしてる」コキ~ン・・コキ~ン・・(バリスタが設置されている各崖の穴の奥より、ピッケルで叩いている工事音が)

シセ「長期的な計画で以前より着々と進められていたのが功を奏したな。今回、目標が明確になったことで人手を増やすことができたし、何よりルチアが一番、張り切ってたよ。久々の炭鉱夫だってな」よぉ~し、少し休むかぁ~~(別の洞窟の奥より「すす汚れたレザーシリーズな」ルチアがピッケルを肩に担ぎながらその英姿を見せる)

ムーア「うちには小さな頼もしい炭鉱夫もたくさんいるからね」みんなぁ~休憩だってニャ~(と崖穴の奥から)

シセ「確かにあの崖の中に道が出来れば、非常事態の隠れ場所としても使えるし、武器庫としても利用できる」え~へぇ~疲れたニャ~(と各崖穴より「ぞろぞろ」と炭鉱夫アイルー達が名誉のすす汚れと共にその愛らしい姿を見せてくる)

ムーア「まさに天然の要塞だね。盟主として、あたちゃ~うれしいよ」ズズズ・・(おばあさんみたいにジョッキを両手で持って、慎ましくおぶどうのおジュースをいただく)


ああ?なにやってんだ?お前ら(ルチアが「下の様子」を見ながら)
止めないでくれ!!今日こそ、モーガンのクソ野郎を噛み殺してやる!!(崖下のアポロンがモーガンの隠れている穴に向かってかじりつくモーションをみせている)
なはははははは!!やれるもんならやってみろ!!弱点むき出しのクソレウスが!!(鉄板に塞がれた穴の向こう側から)


ムーア「ほんとだね。アポロンの頭を守れるヘルムも作れたらいいのに・・・」てめぇ!!マジで怒ったぞ!!(大気を吸い上げるアポロン)

シセ「さすがにその大仕事は「発注」が無理だろうな。視察の日だって、アポロンはスネてたんだろ?」バカ!やめろ!(とルチア)

ムーア「うん・・参加したかったって・・。でも、いくら親方が理解ある人でもねぇ・・・いつになったら彼らの存在も認められるんだろう・・・」ンボオオオオオオオ!!(鉄板で塞がれた穴に向かって全力で火を吹くアポロン)

シセ「俺らみたいに、ゆっくりと世間に認知されていく・・・わけにはいかないか」フハハハハハハ!!どうした!?その程度の火力では俺に届かんぞ!!(鉄板の奥から)

ムーア「あんた達だって、同盟が有名になればなるほど、まずいんじゃない?」ブバあああああああ!!(賢いアポロンは蓋の隙間に向かって火を吹く)

シセ「おいおい。俺は別に罪は犯してはいない。あいつらと違ってな」あ~ちちちちち!!!!!死ぬ!!!!!(鉄板の奥から断末魔の叫びが)

ムーア「ま、別にあたちらの第一目標は黒龍討伐なわけだし・・。ギルドのハンターみたいに、各地に行くわけでもないからね」マジで死んじまう!!!!勘弁してくれ!!!!!

シセ「有名になったら、また偽名でも使えばいいさ」穴の奥に逃げたらどうだ?(ルチアが「下の階」のモーガンに向かって冷静なアドバイスを)

ムーア「まったく・・・。って、あたちも本名を知られたらまずいか・・」こっちの穴はまだ道ができてないんだ!!あちちちちちちち!!!!!死ぬ!!!!!

シセ「噂は広がるかもな。ヒンメルンの黒龍討伐隊の盟主は、実は亡国のお姫様で、天から授かった大剣を装備しているなんてな」許してくれ、アポロン!!!!いや、偉大なる兄弟よ!!!!!

ムーア「神話の神様みたいでカッコいいじゃないのさ。・・って、白鳥魔子は本当にそういう力を持った女神様だったのかも・・」ぎゃああああああああ!!!!!お慈悲を!!ブラザー!!ブラザーレウスよ!!

シセ「・・・・・・・・・・ん・・?」(火を吹くアポロンの足元にウルファがおもむろに近づいていく)


あにゃもにょもにょ・・
あんだってもにょもにょ・・
(と、ウルファが息巻くアポロンを鎮めている)


ムーア「面倒見いいよね、彼女。エスターを思い出す」よしよし(と、火を吹くのをやめた火竜のでかい鼻先を撫でているウルファを見つめながら)

シセ「・・ムーア。昨晩、お前がいない間、少し問題があってな・・・」もう出てきていいぞ~(とルチアが下で隠れているモーガンに向かって)

ムーア「なによ。昨日も喧嘩があった?いつものことじゃない」あちぃ!!シールドが熱くて触れねぇ!!(とモーガン)

シセ「(レウスと仲睦まじくしているウルファを見つめながら)彼女・・・ウルファがお前の部屋から出てくるところを目撃したんだ」

ムーア「え・・・・」

シセ「あれは単に物音がしたからお前の部屋に入ってみたとかいう「日常的な行動」じゃなかった・・。完璧に訓練された人間の動作だった」

ムーア「・・・・・・声は掛けてみたの?」

シセ「だから俺も反射的に気配を消すのに意識をとらわれてしまった。同業者ってわけじゃないが、直感で分かる。彼女はお前の部屋に何かしらの目的があって「忍び込んだ」のだとな・・」

ムーア「・・・・オヨネさんが残した言葉・・・それを思い出したってわけ?」

シセ「ふぅ・・・・・・・・。断定はできないがな・・・注意しておく必要は・・・・・って、おい」ザッ(席を立つ視点主)


ザッザッザッザッザッザッ(そのままお花畑エリアの小道を真っ直ぐ進み、レウスと戯れるウルファのもとに接近していく)


To Be Continued






★次回ストーリーモードは7/8(木)0時更新予定です★