ふむ・・(目の前であぐらをかいたシセは、視点主から手渡された皮紙(自前の相関図が書かれている)に名を連ねている血族について彼なりに分析しているのであろう、眉間にシワを寄せながら真剣な眼差しで見つめている)

ムーア「どう?率直な感想は?」

シセ「・・・まさかな・・・・歴史に名高い狂王の血統が途絶えていなかったとは・・」ちら(と、こちらを見つめながら)

ムーア「発狂したいのはあたちの方よ。お父さんはもっと酷い目にあっていたのよ?実の父親であるクソジジイの手によって長い間、監禁されていたっていうんだから」ふん

シセ「その血統が続いていることを外の人間に知られたくなかったからか?」

ムーア「理由はそれだけじゃないの。神殿を・・白の同盟を乗っ取ったクソジジイに反発したから・・・って、ウー家の「関係者」に教えてもらった」はぁ~~~

シセ「・・・以前に捜索を依頼された、フランク・ヴューラーという男か?」

ムーア「そっちが本物。あたちが話してたのは偽物」

シセ「??」

ムーア「そのフランク・ヴューラーって男が、過去の神殿を知る唯一の手がかりにして、本物のジェイソン・ウーなんだって。彼なら歌劇事件のことも知っているはずよ」

シセ「・・・・・同盟に反旗を翻したデーモン・ロザリーは・・その事実を隠滅する為にギルドナイドを使って・・・・」

ムーア「神殿を奪い、同盟の威光を穢した。あたちのお父さんはそれを取り戻す為、尽力したって・・・・だから、あたちはお父さんのその意志を継ぐことにしたの。血筋なんて関係ない。ただあたちは、お父さんとお母さんに自慢できる盟主になりたいの」

シセ「だからまずは、両親の敵である黒龍の討伐に全力を注ぐ・・ってことか?」

ムーア「そこでお母さんを知っているといったオヨネさんに黒龍のことを聞いてみたってわけ」

シセ「・・彼女はなんて答えたんだ?」

ムーア「オヨネさんは知っていた。あたちがお母さんから教えてもらった黒龍の名前を」

シセ「・・なぜ・・彼女が・・・」ふむ・・

ムーア「その名前を聞くのは大戦以来だって言っていた。絶望を喰らう強欲の邪神・・・希望が満ちし光を闇が覆い尽くす頃、絶望を喰らいに黒龍は現れる・・・・」

シセ「・・・竜人族は長寿だと聞いているが、大戦時代は古代の話だぞ?」

ムーア「他にも大陸を貪り喰らうものっていう別の黒龍のことも教えてくれた。古い言い伝えを知っていたのかも」

シセ「信じがたい話だが・・・・他に何か言い残したか?」

ムーア「あたちがロザリー家の末裔であることも知っていた・・。どうしてだと思う?」

シセ「・・・過去の神殿のことについては、ギルドナイトに情報を売る為、俺の父さんを脅して知っていた可能性が高いが・・・」

ムーア「あたちはその頃、生まれてない。オヨネさんはお母さんとも知り合いだったのかな?あたちをお母さんと見間違えていた。同じ髪色よ」(と自分の頭を指差しながら)

シセ「どうだろう・・・少なくとも俺は会っていない。物心がつく頃には東側にいたからな」

ムーア「じゃあ、オヨネさんがお母さんを見たのは、その前ってことね・・」ふむ・・

シセ「可能性があるとすれば、他にも彼女に情報を提供していた人物がいるってことだ」

ムーア「・・・内通者がいるって・・。彼女はそう教えてくれた」

シセ「・・・・・だから俺を疑っていたのか・・」

ムーア「ごめん・・・・・・・・え?」スッ・・(目の前のシセが片膝をつく)

シセ「父の名誉に懸けて誓おう。断じてお前を・・白の同盟を裏切ったりはしないということを」

ムーア「・・・シセ・・・・・・・・」

シセ「俺もまた、父のことを知りたくてここに来た。俺たちはある意味似た者同士だ。お前がおふくろさんから啓示を受けたように、俺もまた父さんが果たせなかったことをこの同じ神殿で探そうと思っている。話してくれてありがとう、ムーア・・いや、盟主殿。だが、お前を騙したのは事実だ。さぁ、どんな処分でも受け入れよう」バッ(白いコートの襟を開き、首を差し出す)

ムーア「やめてよ・・・それじゃあ、まるでクソジジイと同じじゃない。・・・・って、試したわけ?」じーーー

シセ「気にしすぎた。こんなことになるなら、最初からお前に話しておけばよかったと後悔しているよ」やれやれ(再びいつもの馴染み深い様子であぐらをかく)

ムーア「ほんとだよ。もっと早くあたちに相談してくれれば、もっと上手な方法でオヨネさんからいろいろ聞き出せたかもしれないのに」

シセ「まさか、そっちにとっても重大な手掛かりだったとはな。だが、遅かれ早かれ、彼女は殺されていたさ」

ムーア「そうね・・・・・お父さんの名前は?」

シセ「ロロ。父は母から常にそう呼ばれていた。それ以外の手がかりは、ここでも見つからなかった」

ムーア「そうだよね・・・あたちもお父さんの形見といえば、武芸書だけだもの」

シセ「歌劇事件以前の神殿に関する資料もまた、ギルドナイトによって回収されてしまったのかもしれないな・・・」

ムーア「ほんとクソジジイでごめん」

シセ「お前が謝る必要はないさ。謝罪をするのは俺の方だ」

ムーア「・・・・本当の名前は?」

シセ「今の俺はシセだ。お前がキャロルムーアとして育てられたようにな」

ムーア「過去は捨てて・・・オヨネさんは誰も信用するなって言ったけど・・?」じーーーー

シセ「なんでもします。このとおり」ゴッ(大袈裟に叩頭してみせる)

ムーア「彼女が本物の預言者だったかどうかはさておき、手伝って欲しい調査があるの」フフフフフ

シセ「??」(頭を上げ、目をパチクリさせている)






Recollection No.5_169







カカーーーーーーン・・・(空間が歪んだような終末の暗雲が常軌を逸した紅い雷公によって切り裂かれ、荒廃した亡国の城跡を不気味に照らし出す)


ムーア「うひいいいいいアセアセ

シセ「バカ。大声を出すな」スッ・・(崩落した城壁の瓦礫に身を伏せながら注意してくる)

ムーア「ごめんごめん。雷はどうも苦手で・・・・って、こうも簡単に忍び込めるとはね」(瓦礫を背に視界一面をワイドに広がる荒廃した領内の姿(まるで人類が生息することのできない別の惑星に来てしまったかのように乾ききった表面形状の盆地)を見つめている)

シセ「現在は東西両国間の不可侵地帯だと聞いていたが・・・まるでこの世の歪みだ・・。ここまで酷いとはな」(荒廃したエリアを瓦礫の陰より覗き込む彼の背には大弓(龍弓【国崩】)が装着されている)

ムーア「人が住めない理由がよぉ~く分かった。これが黒龍の力だってこともね。どうせ狙うならクソジジイだけにすれば良かったのに」(周囲を確認する視界に、肩越しのバスターブレイドの柄が一瞬映り込み、また着衣の外面から以前、王女様より賜った防具であることも見て取れる)

シセ「そしたら今頃、お前が大陸の支配者だったかもな。見ろ(紅暗い空を見上げながら)。大いなる竜の災厄以後、領内の上空は晴れることがないという・・」カカーーーーーン・・(稲光に対し、再び全身でビクッと反応してしまう視点主)

ムーア「亡国の呪いだって?オヨネさんじゃあるまいし。イノみゃんが嫌がったのは、空模様が変わったからだとばっかり思ってたけど・・・大人しくしてるかな?」(荒れ地の地平線に沿うように連なる「崩れかけた城壁」を見つめながら)

シセ「俺の馬も何かに怯えるように進むのを拒絶していた。早いとこ調査を終わらせて戻ってやろう」

ムーア「やっぱりアポロンにお願いすれば良かったかな・・」

シセ「一般市民はいないとはいえ、これでも立派な狩猟フィールドだ。彼の存在がハンターに見つかったら厄介だろ?」

ムーア「ハン。廃墟と化した王国でひと狩りですって?そういう浮ついた話しを聞くたびに、モンスターハンターってどうなんだろうって思う自分もいる」やれやれ

シセ「ロザリー家の血がそうさせるのか?違うな。それは持って生まれたお前の義憤だよ。なんでもギルドは多大な投資の結果、ここに迎撃兵器を設置したらしい」

ムーア「どうせバリスタでしょ・・・って・・・なにあれ・・・」




ぽへぇ~~~~~~ん



シセ「最終兵器にしちゃわかりやすいな」

ムーア「ギルド持ちでしょうね?あんなのにプリムが投資するとは思えないし」

シセ「ヴェルドにも設置するよう提案してみたらどうだ?いや待てよ・・バールボーンならやりかねないな・・」う~~ん・・

ムーア「黒龍の遺骸はないようね・・・」(見渡す廃墟のエリアには瓦礫とその残骸しか見えない)

シセ「狩猟の後処理はギルドの仕事だというが、どうも不明な点が多いらしい」

ムーア「あやしげなラボに運んでバラバラに?やめてよ、気持ち悪い。それに今日来たのは骨を見つける為じゃないでしょ」(今にも崩れそうな廃城を見上げる)

シセ「散々荒らされた跡だぞ?亡国に関する史書や手掛かりは一切ないという」

ムーア「分かってる。自分がロザリー家の人間だと知る前まではね」

シセ「・・・・・ここに来るのも運命だったってわけか・・・よし。調査開始といこうか」

ムーア「さぁ、シュレイド城よ。王家の血を継ぐ者を出迎え・・」


カカーーーーーーーーーン!!


ムーア「うひいいいいいいアセアセ」(その場にまあるくなる。同時にシセの「呆れため息」も聞こえてくる)


To Be Continued






★次回ストーリーモードは6/7(月)0時更新予定です★