スッ・・(シンプルなプレート型の墓石に清涼感漂うアイスブルーやミントグリーンカラーを基調とした草花の束(雪山草、落陽草、霜ふり草、リンドウ科、ユリ科、ナデシコ科など)をそっと供える。また墓石が埋められている芝生、背景に見える光景から、現在地が庭園墓地であることも見て取れる)
ムーア「うちの庭で育てたんだよ。ゴルゾンはヒンメルンには行ったことある?知ってると思うけど、この雪山草は滋養によいと「珍重」される、とってもありがたい草なんだって。きっとシオンはその薬湯がある遠い遠い観光地に向かったのかも・・・ごめんね、一人で」(墓石の前で片膝つく脚を少し気まずそうにそっと撫でる)
ひゅうううううううう・・・(心地よさ気な風が視界の頭上に見える視点主の蒼毛な前髪を靡かせていく)
ムーア「考えたんだよ?うちの庭にするか、ここにするかって。あたちとしては、うちにしたかったんだけど、あんたの気持ちを考えると、やっぱり慣れ親しんだお屋敷に近い、ここが一番かなって」(首を傾けると、庭園墓地を囲う柵の向こう側におなじみの礼拝堂が見える)
ひゅうううううううう・・・
ムーア「うん。学園にもさっき顔を出してきた。だいたいこのままで卒業できそうだって。だから安心して。あたちはすぐには出ていかないから」
ひゅううう・・・・・・・・・・・
ムーア「そりゃ寂しいよ・・。ニッキーとシオンがいなくなったんだもん。それはあんただって同じでしょ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ムーア「ほらみなさいな。あともうひとつ残念なお知らせ。さっきね、NyaNya堂を見に行ってきたんだけど、やっぱりもぬけの殻だった・・。好きだったんだけどね・・・あそこのテラス。こうやって少しずつ、自分の年と一緒に周りも変わっていくんだね・・」
ザッザッザッ・・・・・・・・・(足音の方に首を傾けると、ゴシックな喪服に身を包み、レースに覆われた顔を俯かせながら白を貴重とした供花を抱えた若き皇太子妃を先頭に、彼女を護衛するように付き添う黒いチュニック姿のヴィルヘルムとキンババがこちらに向かって歩いてくる。また柵の向こう側では、皇太子妃が乗ってきたと思われる高貴な馬車とその御者の姿も遠目に確認できる)
ムーア「でもね、新しいお友達だってできたんだよ?あんたをここに「こっそり」置いてくれた人。誰だと思う?あんた、きっと目をまあるくすると思うよ?赤鉄仮面越しにね」ププププ
Recollection No.5_118
ふぅ~~~~っふぅ~~~~っ(満点の青空を見上げながら右手に持つ「あつあつの」ティーカップを口で吹いて冷ましている)
ずずずずずずず・・・(顔を見下ろすついでに「あつあつの」ティーカップ(色から察するにストレートティーだろうか)に口を添えて飲みながら前を見ると、円卓の対面で同じく「慎ましく」お紅茶を飲みながらこちらを見て微笑んでいる喪服な皇太子妃の姿が)
プリム「フフ」にこっ
ムーア「ふふ」(その微笑ましい姿を見て思わず笑っちゃう視点主)
ヴィルヘルム「いいもんだな。昼間っから公然と酒を飲むっていうのも」ぷはぁ~~(左に目を傾けるとティーカップを円卓に置く彼の姿が)
キンババ「ちょっと。ひょっとして紅茶にアルコールを入れたのかい?」(右の席には「いつもどおり」心配する彼の姿も。また彼の背後には礼拝堂に繋がるアーチ型の回廊が見えることから、その外側でお紅茶を楽しんでいるようだ)
ヴィルヘルム「うめぇぞ。お前もやってみるか?」(胸元からあやしげなスキットルを取り出してみせる)
キンババ「せっかくの「ロイヤルティー」を台無しにしたくない」チリンチリンチリン(見るからに高級そうな白銀のティースプーンでかんましながら)
ムーア「でもこんな場所で勝手にテーブルまで展開しちゃって大丈夫なわけ?」ふぅ~ふぅ~
プリム「葬儀後にアフタヌーンティーを楽しむのは珍しいことではありませんわ」うふふふふ
ヴィルヘルム「そういうこった。それにここからなら監視もしやすいだろう」ちら(それとなく背後に目配せする)
カラカラカラカラカラ・・・(視線の先に広がるウー邸の錬鉄門より、家財を積んだ荷車を引いたガーディアン達が次々と出て来ては外塀を沿うように輸送していく)
ヴィルヘルム「屋敷のお宝を全部、押収していくつもりか?」カラカラカラカラカラ・・(列をなして続く山盛りの荷車には、どれも豪奢なインテリアが積まれている)
プリム「ジェイソン・ウーの遺言状によれば、彼が所有していた財産、土地、家財等はすべて顧問団に相続すると書かれていたようです。兵権もまた、彼らの手に・・」つぅ・・(言葉を飲み込むように慎ましくお紅茶を召し上がる)
ヴィルヘルム「釈然としねぇな」フン(椅子の背もたれに肘を乗せながら荷車の列を睨んでいる)
キンババ「脅されて遺言状を書かされたとか?」
ムーア「あいつは遺言状のことなんて一言も話していなかった。最初から操られていた自分の人生を嘆きながら、盲目の恋に溺れて・・そして堕ちていった可愛そうな人よ・・」
ヴィルヘルム「今のポエム。ポレット先生に聞かせてやったら、満点くれるかもな」
キンババ「同情を得られた時点で満足するべきだったんだよ。彼女を怒らせたのが間違いだったね」ずずずず・・(お紅茶をいただきながら)
プリム「ヴィンセント・ベックフォード・・・・ジェイソン・ウーの影武者にして、世継ぎも残せぬまま、王都の不徳をすべて背負わされた哀れな操り人形・・・」
ヴィルヘルム「顧問団の影に潜む連中は、最初からウー家を潰したかったんだろうな」
キンババ「同業者の仕業か・・・そうするとやっぱり影武者は裏切られたと解釈するのが妥当だよね?」
ヴィルヘルム「ほらみろ。プリムの推測が正しかったんだ」
ムーア「ヴィルヘルム。NyaNya堂の移転先は分かった?」
ヴィルヘルム「さっぱりだ。元々、あの骨董品があった土地はウー家が所有していたんだ。バールボーンとしては「家賃」だけ貰えればそれで良しの薄っぺらい関係だったようだ」
プリム「邪龍教の件については微力ながら私もお手伝い致します」へこり(彼女から数歩下がった位置で待機している馬車の前に立つ喪服姿の女性従者が一礼している)
ムーア「付き人兼ボディーガード?一人で平気なの?」(遠目に見える細身で背丈も高い女性従者を睨むように)
プリム「彼女は数少ない忠良の臣です。ご安心を」へこり(と、もう一礼する従者)
ムーア「そう。余計な心配はいらないようね。宮廷にはあなたとあたちと繋いでくれる頼もしいオトモダチもいるしね」
プリム「勇気あるキッチンアイルー」
あはははははははは
うふふふふふふふふ
ムーア「でも相手はかなり危険な組織よ?深入りは・・」
プリム「宿痾を炙り出すこともまた、私の責務だと心得ております。貴方方に危険が及ばぬよう慎重に事をお運び致しますわ」にこっ
ムーア「ゴルゾンのお墓を建ててくれただけでも感謝しているのに・・・いろいろ力になってくれてありがとう。プリム」ぎゅっ(彼女の小さい手を優しく両手で包み込む)
プリム「ゴルゾンさんの遺体ですが、どうやら現場で一緒に亡くなった衛兵の遺体と共に回収されたようです・・装備品もまた・・・・できればご供養されたかったですよね・・」(申し訳無さそうに目を伏せる)
ムーア「お墓だけで十分。ゴルゾンはそんなに「小さい男」じゃないしね。それよりそっちは平気なの?」
プリム「修繕費について毎日、大臣達が小言を言っているくらいですわ。王室支持派は兵権奪回の計画も企てている様子です」
ヴィルヘルム「内輪もめはまだまだ続きそうってことか・・義理のママもまだ宮殿の「飾り付け」をあきらめてねぇみたいだしな。いっそ残りの彫像も破壊するか?」(こっちに向かって)
ムーア「意味のないサボタージュはノンノンよ?それよりお屋敷を手に入れた顧問団はどうするって?」(塀越しの向こう側に見える旧ウー邸を見つめながら)
プリム「広大な敷地です。現在の計画では、軍事施設を建設する予定になっています」
キンババ「軍事施設?」
プリム「造兵廠、練兵所、屋敷はガーディアンアカデミーとして再利用できそうですが、再建築するでしょう」
ムーア「その工事って、やっぱりニッキーの・・・ヴァイデンフェラー家も?」
プリム「ええ。鉄鋼品は同家が提供することになっております」
ムーア「・・・それを知ったら、また怒るだろうね・・・ニッキーは・・」
ヴィルヘルム「シオンもな」(対面で俯くキンババの想いを代弁するように)
プリム「顧問団は以前より王都で兵器産業を行うことを推奨していました。此度の騒動を受けて・・・というのが良い口実になってしまったようです」
ムーア「それに関してはあたちの責任。ごめんなさい」へこり
プリム「頭をお上げください。遅かれ早かれ、ウー家が途絶えた時点で顧問団はこの計画を実行していたでしょう。決してあなたの責任ではありませんことよ、キャロルムーア。そして、飛竜のオトモダチのせいでもありません」にこっ
ムーア「うう・・あでぃがどう・・。いつかアポロンにもちゃんと会わせてあげるからね」(に対し、微笑み返す寛大な若き皇太子妃)
キンババ「まるで顧問団はこうなることを予想していたようで、なんだか不気味だね」ずずずず・・
ヴィルヘルム「ああ・・・だが、これであのお化け屋敷ともオサラバってわけだ」
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(訝しげに見つめる視界の向こう側に映る旧ウー邸は日中だからなのか、はたまた主を失ったからなのか、なんの変哲もない大豪邸に見える)
カラカラカラカラカラ・・(外塀を続く荷台の中から、バラバラになった金色のゴールドルナシリーズの各パーツが眩い発色と共にチラホラ確認できる)
ムーア「あれは持ってくりゃ良かったな・・」チッ・・
キンババ「生きているだけマシだと思うけど?ルチアさんが来なければ、どうなっていたか分からなかったんだろ?」
ムーア「・・・・・どうかな・・・」カラカラカラカラ・・
ヴィルヘルム「庭中のガーディアンをぶっ飛ばして、危険を承知でお前を助ける為だけに駆けつけて来てくれたんだろ?感謝するんだな」
ムーア「うん・・・・そうだね・・」
カラカラカラカラカラ・・(ひたすらに運搬を続ける荷台の列を「鼻をむしりながら」見つめる視点の主であった...)
To Be Continued
★次回ストーリーモードは11/23(月)0時更新予定です★