ダッダッダッダッダッダッ!!
バッ!!
(シオンの手を引っ張りながら通路の突き当りまで駆けていき、ヴィルヘルムがいる方へ右折すると・・)
ヴィルヘルム「よぉ、楽しんでるか」(まず目に飛び込んできた宮廷道化師のコスをした彼に向かって)
ムーア「あんたこんな所で何を・・・・・・」カパッ・・(仮面を外しながら)
♪~~~~・・・・・・・・・・・・・
(遠くの広間から聴こえる旋律をよそに、視線はヴィルヘルムの傍らに立つ、深緑の長い髪色をした少女(年頃は視点主らと同じくらいか)に釘付けになる)
??「ごきげんよう」にこっ(微笑む色白肌の少女の瞳は、どこか母性を感じるローズクオーツのような輝きを放っており、出で立ちもまた皇族と思しき高貴なドレスを身に纏っているのだが、その特徴的な艶輝深緑ロングサラサラヘアーの頭頂部に際立つ「親しみを感じるアホ毛」が、この少女のおおらかなパーソナリティを象徴しているかのように見える)
ムーア「あなたがプリム皇太子妃ね?」
プリム「ええ。以前、どこかでお会いしましたか?」はて・・
プリム様ぁ~~・・・・・・・・
(通路の奥より声が)
シオン「ちょっと。あなた達も追われているわけ?」フフ(と微笑むプリムに対し申し訳ないと言わんばかりに頭を掻いているヴィルヘルム)
ムーア「自己紹介は後にしましょう。広間側もダメ。ってことは・・」
ちら(後ろを振り返るとT字路の突き当りに回廊が見え、その奥に薄暗い中庭が確認できる)
ムーア「あっちよ」ダッ
バッ(来た道のT字路に飛び出し、広間がある左側の通路を確認するとパンチラーノの姿はもう見えない)
シオン「やっとあきらめてくれたみたい」タッタッタッタッタッ(背後から彼女がそう言いながら追い越していく)
プリム「あら、ダンスのお相手に問題が?」タッタッタッタッタッ(続けて皇太子妃が)
ヴィルヘルム「な?面白くなってきただろ?」タッタッタッタッタッ(ニヤケ顔の彼も)
ムーア「ロイヤルスクールのガールフレンドにバラしてやる」ボキィ~~~ん(スカート下に装着しているクリノリン(釣鐘型フレーム的な骨組み)を右肘エルボーで粉砕しながら。ずっと煩わしいと思っていたのだろう...)
Recollection No.5_101
~皇太子妃プリム・クラーラ~
♪~~~~~~~~~~・・・・・・・・・・・
(背後から漏れ聞こえる優雅な旋律を受けながら、ぼうっと星空を見上げている)
ムーア「はぁ・・・・思った通りのとんだ舞踏会だ・・」(俯く途中、視界に暗がりの大庭園が広がっているのが一瞬確認できると、すぐに「体育座り」しながら両手で抱えた両腿のフワフワスカート部に「ぽすっ」と顔を埋める)
プリム「綺麗な星空」(右隣から彼女の澄んだ声が)
ムーア「むぅ・・・・・・・」ちら(顔を埋めたまま右側に首を傾けると、若き皇太子妃が、そのか細い腕で両膝を抱えながら同じく体育座りで星空を見上げている)
プリム「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」(微笑を浮かべながら煌めく星々を堪能している様子だ)
ムーア「むぅ・・・・・・・・」(どこか掴みどころがない彼女の横顔を見上げながら)
プリム「あら、またですわ」
ムーア「??」
プリム「星の光が何かに妨げられました。何かが空に飛んでいるのかしら・・・」
ムーア「ねぇプリム皇太子!!」ガバッ(と話を切り替えるように仮にも皇太子妃の顔を両手で挟み込み、自分の方へ無理やり振り向かせる)
プリム「フフフ・・彼の話した通り。面白い御方ですわね、キャロルムーア。なにか収穫はありまして?」クスッ(両頬をギュッとされる彼女の顔もまた可愛らしく、そんな楽しげに微笑む彼女の奥では、あぐらをかいたヴィルヘルムが白々しく星空を見上げている)
ムーア「って、あんた、話しちゃったわけ!?」
ヴィルヘルム「ああ。全部。洗いざらい。俺の全てもだ」へへへへへ
ムーア「てめぇだけは殺す!!」ガバッ(目をまあるくするプリム越しにヴィルヘルムへ飛びかかる)
ヴィルヘルム「落ち着けってプリムは信頼できる!お前達同様にな」ガンガンガンガン(と視点主のマッハパンチの連打を受けながら)
ムーア「はぁ・・はぁ・・・・」(気が済んだのか、諭されたのか、あぐらをかいて座り込む)
シオン「ねぇ、どうして彼の周りって、良い子ばかり集まるわけ?」(左側からシオンが耳元で)
ムーア「それってあたちらも入ってる?まさかよ。天使はこの子よ」ちら
プリム「フフッ」
シオン「自己紹介が遅れました。私は・・」
プリム「シオン・プラウズ。今はニックマン・ヴァイデンフェラーと共に義賊「肉まん君」を結成。都内で配られているタブロイドでも拝見致しましたわ。まさかここで市民の英雄に会えるなんて光栄ですこと」にこっ
シオン「はぁ・・既にご報告を受けたようで・・・では、この子のこともお聞きに?」ぷにっ(視点の主の頬を指で突きながら)
プリム「キャロルムーア。ヒンメルンのお姫様だって彼は教えてくださいましたが、ヒンメルンにも王国がお有りだなんて存じ上げませんでした」(その奥でそっぽ向いているヘボッチョことヴィルヘルムのとぼけ顔が)
ムーア「・・・じゃあ自己紹介はもういいわね。ところでプリム様」
プリム「プリム、とお呼びください」にこっ
ムーア「・・・・・プリム。あたちらと一緒にいて平気なの?」
プリム「社交界より楽しいですわ。こんな体験、初めてですの」フフフ
ムーア「・・・・悪いけど、興味本位の好奇心だけなら、関わらない方がいいわ」
プリム「ジェイソン・ウーに脅迫状を送った犯人なら心当たりが」
ブッーーーーーーーーー
(その思いがけない返答に対し、水も飲んでないのに豪快につばを直線的に吐く)
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・」はぁ・・はぁ・・(と笑顔でこちらを見ているプリムの奥ではしてやったりのヴィルヘルムの汚い顔が)
シオン「話が早いじゃない。プリム。教えてくださる?」
プリム「ええ。ですが、あくまでも私の推測ですので、真相についてはご了承を」
ムーア「OK。聞かせてちょうだい」
プリム「現在の宮廷はいくつかの派閥に分かれて人が動いています」
シオン「摂政派、王妃派、顧問団ね?」
プリム「そうです。彼らの共通目的は現国王を傀儡にヴェルドを支配すること。そしてその為には、まずウー家に譲渡してしまった兵権を取り戻す必要があるのです」
ムーア「ということは、やっぱりその三組の仕業ね?」
プリム「そう考えるのが妥当です。しかし、ここで疑問が一つ浮かんできます」
シオン「というと?」
プリム「聞けばジェイソン・ウーは秘密を暴露されたくなければ兵権を返却せよとの脅迫を受けたと・・・・これを三組の派閥のいずれかが、或いは内密に手を組んでジェイソン・ウーに脅迫状を送ったとしても、わざわざ彼に考える猶予を与えるだけ。即座に兵権が欲しくば、その秘密を暴露してしまい、ジェイソン・ウーを社会的に追い詰めた方が早いのでは?それが1つ目の疑問です」
ムーア「確かに・・・・続けて、プリム」
プリム「脅迫状を受けたジェイソン・ウーは、相手が動く前にあなた方を雇い、見事に宮廷内に潜入させることに成功しました。そしてあなた方はこのように諜報活動を行い、私の話も含めた情報を彼に伝える・・・ですが、ジェイソン・ウーほどの狡猾な男が、宮廷の風評をまったく知らないわけがありません。これが2つ目の疑問です」
シオン「それは私達も疑問に感じていたの。なぜ彼は私達・・・いえ、正確にはこの子に諜報活動をさせているのか・・」(こちらを真剣な眼差しで見つめてくる)
プリム「ジェイソン・ウーは依頼の報酬に、あなたのご両親に纏わることを教えるという約束でしたね、キャロルムーア」
ムーア「うん・・・あいつが何を企んでいるのか分からないけど、あいつがお母さんとお父さんのことを知っているのは確かなの・・・だからやるしかないって・・・こんなところまで・・」スッ・・(シオンが肩を抱き寄せてくる)
プリム「おそらくジェイソン・ウーは全てを承知の上で、あなたとの関係を楽しんでいるのではないでしょうか?」
ヴィルヘルム「ってことは、ジェイソン・ウーは脅迫状を送りつけた奴も知っているってことか?」
プリム「おそらくは。ジェイソン・ウーは遅かれ早かれ、散々融資を行った王宮側に反旗を翻されることを既に予期していたのでしょう。ここで3つ目の疑問が生まれるのです」
ヴィルヘルム「ああ?まだ何かあるのか?」
ムーア「・・・なぜすぐにアクションを起こさず、連中の好きにさせているのか・・・」
プリム「そうです。ジェイソン・ウーほどの男が黙って敵対組織の言う通りにしているという状況こそが一番引っかかるのです。その理由は何か?簡単に考えられるのは2つ。脅迫状を送ってきた人間が、彼の敵わない存在であること。そして2つ目は・・」
ムーア「彼の命が短い・・・」
シオン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
プリム「彼・・ジェイソン・ウーは、もしかしたら、残りの短い余生をあなたに・・・キャロルムーアに託したいのかもしれません」
ムーア「・・・・・・・・あたちにそれほどの価値はないよ・・」
プリム「それはジェイソン・ウーだけが知っていること。あなたのルーツに関係があるのでしょう」
ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
♪~~~~~~~~~~~~・・・・・・・
(視点主が顔を上げると、左右にいる仲間もまた同じ夜空を見上げる)
ヴィルヘルム「そういえばムーア。なんでお前、プリムのことが分かったんだ?」(皇太子妃はその疑問を耳にしながら微笑を浮かべて星空を堪能している)
ムーア「舞踏会で名前だけ聞いたの。皇太子妃は獣人の奴隷化をよく思っていないって。だから見た目でなんとなくこの娘がプリム皇太子妃じゃないのかなって思っただけ」はふ~~(と下唇を突き出し、視界の上に見える「蒼毛な前髪」に向かって下から息を吹きかける)
シオン「それを聞いて少しは安心したわ。宮廷にもまともな人がいるんだって。プリムは両親のことが好き?」
プリム「もちろんですわ。私は両親のような尊き精神とは何たるかを心得ている人間を目指しています」にこっ
シオン「だから結婚の話も了解したの?」
プリム「・・ええ」(一瞬、間を置いて返事をしながら星空を見上げる)
ムーア「皇太子のこと・・・好き?」
プリム「もちろんですわ」
ムーア「星の数だけあるんだよ?選択肢は」
プリム「運命を受け入れることもまた選択肢の一つです。キャロルムーア。私は一度たりとも自分の選択が間違っていたと思ったことはありません」にこっ
プリム様ぁ~~~~!!おいででしたらお返事ください!!
(回廊の方から従者と思われる中年女性の声が)
プリム「親の次に感謝しているメイドですの。あまり迷惑はかけたくありません。名残惜しいですが、今宵の宴は解散致しましょう」
ムーア「次はいつ会える?プリム」
プリム「さぁ・・・宮廷に蔓延る悪が王都を支配しない限りは」にこっ(天使の微笑みの背後に見える庭園の遠くから、数名の衛兵らしき影が駆け寄ってくる。それに対し、素早く身構えるヴィルヘルムの姿もまた...)
To Be Continued
★次回ストーリーモードは9/24(木)0時更新予定です★