ズゲーーーーーーーーーーーーン!!
(月明かりを受けた不気味なホラーハウスの如きジェイソン・ウーの大豪邸(大きな黒い格子状の錬鉄門(もちろん各鉄格子の「さきっぽ」は鏃のように刺々しい)を中心にその巨大な敷地の四方は塀に覆われている為、その全貌こそは見えないのだが、塀の向こう側よりたくさんの木々が見えることから、敷地内は森のように広いことが窺え、また鉄格子より垣間見える壮麗な屋敷へと一直線に繋がる通路の両側、またその周囲を彩る幾何学模様的な洗練された美しい庭園(通路の中央から放射線状に低い垣根が無数に伸びて複雑な模様(おそらくウー家の家紋だろうか)を描いており、所々には「ピノ」や「パルム」みたいによく手入れされた植木をはじめ、「スイカバー」みたいな逆三角形状の植栽もきっちり計算された等間隔によって配置されている)も見える)の姿が)


ムーア「さて・・どうしたものか」むぅ~

シオン「ムーア!何してるのよ!?こっち!!」(振り返ると礼拝堂と繋がる尖頭アーチが水平方向に連続して繋がったトンネルの石柱陰から慌てて手招きしている彼女の姿が。また柱の後ろにはニッキー達の姿も見える)

ムーア「やっぱり正面突破は無理よね」ひょっひょ~~♪(と夜の王都を見事なまでのあんまんスキップをもって彼女達のもとに忍び寄る)

キンババ「もう、ガーディアンに見つかったらどうするつもりなんだい?」

ムーア「相手が大物だっていうからね。まずはご挨拶なんて」ププッ

ヴィルヘルム「どうせ屋敷の中も見張りがウヨウヨいるんだろ?こいつらみたいに」しっしっ(と、肩の上を歩いているにが虫を払いのける)

ニッキー「ああ・・・見ろ」(石柱の陰に隠れながら屋敷を見るよう促してくる)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(塀に沿いながら見るからに重装備なガーディアンが数人、警備をしてまわっているのが見える)


シオン「ウー家専属のガーディアンよ。当然、中にもいるはず」(真面目な顔で真面目に語っているが、その姿は石柱よりちょこんと半身だけ覗かせた可愛らしい姿である)

ヴィルヘルム「初めての修学旅行を思い出すぜ。また夢遊病でいくか?」

キンババ「一人だけの注意を引くことはできるかもしれないけど、それじゃあまり意味がないと思うよ。君の顔もバレちゃうし」

ムーア「何かアイデアがあるんでしょ?もったいぶらないでさっさと教えなさいな」シュボッ(と、タバコの火をつけながら、何やら手持ちの懐中時計を確認しているニッキーに問いかける)

ニッキー「もうしばらくすると馬車が到着するはずだ。目的は分からないが、その馬車は屋敷内へと入っていくんだ」フゥーーーー(と、視点の主は作戦を聞きながら、吸い込んだ煙を右手に持つタバコからあがる副流煙をかき消すように石柱の陰側へそっと吹く。この行動は、おそらく煙でこちらの存在、位置を悟られぬようにとする彼女なりの「気持ち程度の配慮」と思われる)

キンババ「家主が乗っているのかな?」

シオン「それは確認出来ていないんだけど、中に入れるのは確実」

ニッキー「それを利用する」

ムーア「わかった。馬車の底に引っ付いて潜入するってことね。でもどうやって馬車に近づくの?」フゥーーーー(口の角度を横向けて煙を吐く)

シオン「そこであなたの出番」(と、鼻をほじっている(もちろんスクリュー方式で)ヴィルヘルムを見る)

ヴィルヘルム「夢遊病なら任せろ。あれ以来、夜な夜な「本当の練習」をしているんだ」よしなよ(とキンババ)

ニッキー「残念だが、さっきもキンババが言ったように、それだと君の顔が知られてしまう。だからガーディアンの注意を引き、馬車が停車するような騒動を遠くで起こして欲しいんだ」

ヴィルヘルム「王都の貴族に喧嘩でも売るか?」よしなよ(とキンババ)

シオン「これを使って」スッ(ロングコートの懐から「ほそ筒」を取り出し、それをヴィルヘルムに手渡す)

ヴィルヘルム「ん・・・これで通りすがりの貴族の頭をひっぱたくのか?」絶対に違う(とキンババ)

ムーア「打ち上げ花火よ。あの夏の爆竹祭りを思い出して」スッ(と、新品のタバコとマッチ箱を手渡され、ようやく作戦を理解した表情を見せるヴィルヘルム)

ニッキー「花火の音でガーディアンの注意を逸し、おそらく停車するはずの馬車に接近する。ヴィルヘルムは連中をうまく撒いてここで監視をしているシオン達と合流してくれ」

ムーア「ちょっと待って。シオンは行かないの?じゃあ誰が馬車に?」フゥーーーー(とシオンの小顔におもいっきり煙を吹きかける)

シオン「とぼけないの。あなたとニッキーでよ」しっしっ(と手で煙を払いのけながら)

ニッキー「目的はジェイソン・ウーの悪行を公に知らせることが出来る資料を探すこと」

ムーア「マジ泥棒をやれってことね。で、そっちの二人は?」

シオン「私とキンババは外から屋敷全体を監視する」やった!!・・・任せなよ(思わず出てしまった心の叫びを誤魔化すようにクールな台詞を添えて)

ムーア「監視してくれるのはいいけど、中にいるあたちとニッキーには分からないでしょ?」だな(と打ち上げ花火の筒を口に咥えているヴィルヘルムが)

シオン「もしも屋敷内にいるあなた達に危害をもたらすような緊急の事態が発生した時は狼煙を上げるわ。その合図で撤退よ。逆にあなた達にも何か時は狼煙を上げて」(と、小さい筒を手渡してくる)

ムーア「分かりやすい手順だけど、花火や狼煙をやたらと上げたら、余計に怪しまれるんじゃない?」

ニッキー「ここしばらくシオンと交代で屋敷の様子を窺いながら、いたずら好きの子供も演じていたんだ」

シオン「だから今回の花火も狼煙も「その子達の仕業」ってわけ」

ヴィルヘルム「なるほどな。あらかじめ、街中の人に「耐性」をつけておいたってわけか」はむはむ(花火の筒を咥えながら)

シオン「それだけ本気だってこと。分かって」

ムーア「ま、あんた達ともなんだかんだで長い付き合いだしね。この特殊クエの実績も欲しいし」はふ~~

ヴィルヘルム「思い出すな。まだガキんちょだった頃のお前らが、恐る恐るモールを見物していた頃をな」しっしっしっしっし

シオン「もう。その話はやめて。初めてあんな物騒な所に行ったのよ?仕方ないでしょ」ツン(の横で笑っているニッキー)

ムーア「あれからもう何年経ったか・・・って、ニッキー。念の為、これを」バフゥ~~~ン(と、消臭玉をニッキーに焚きつける)

ニッキー「ヴェルドの下水道は臭くないので有名なんだろ?・・いや、念には念を入れてだな。サンキュー。ムーア」キラキラキラキラ(と浄化されていく)

ムーア「その消臭玉の調合に使われている落陽草はうちで栽培したものよ。あっち(山)もちゃんとヴェルドに貢献してるんだから」

ニッキー「そうだな。・・・っと、俺たちは秘密を打ち明けたんだ。無事に帰ってきたら、今度は君の秘密を聞かせて欲しいな」

ムーア「考えておく」

キンババ「みんな、馬車が見えてきたよ!」


ピッ・・ジュッ(すかさずタバコを石床に向かって指で弾き飛ばし、石柱の陰に隠れる為、一歩踏み出した足でそれを鎮火させる)






Recollection No.5_73






ササッ(素早く最寄りの石柱の陰に隠れる一同)


そそぉ~~~~~(シオンと一緒の陰に隠れた視点の主が彼女と共にそっと顔を覗かせる)



ポカラっポカラっポカラっポカラっ・・
(長く続く塀の右側からおもむろに現れた黒い馬車(同じく黒いロングタキシードを着た猫背な御者が手綱を)が外壁に沿いながら錬鉄の門へゆっくりと向かって行く)



ポカラっポカラっポカラっポカラっ・・
(向こう側の柱の陰に隠れたニッキー(その背中の後ろにはキンババが隠れている)が馬車を目で追いながら、更に奥にいるヴィルヘルムへGOサインを出す)



ステテテテテテテテテ
(それを受けたヴィルヘルムはこちらの面々に向かってサムズアップかましながら連なる石柱に身を伏せながらその山賊みたいな姿を闇に同化させていく)



ムーア「ププッ。まるで一流アサシンみたいね」しっ~~(とシオンの可愛らしい顔)

ニッキー「・・・・・・・・・・・・・」はぁ・・はぁ・・・(慎重に身を伏せながら馬車の行方を目で追い続けている)

キンババ「・・・・・・・・・・・・・」うぷっ・・(対し、緊張のあまり今にも吐き出しそうな顔で口を右手でおさえつつ、&頻尿がここにきて発動したのか、仮にも大好きな娘の前で股間をギュッと左手でおさえている)

ムーア「クククッ・・見てご覧よ、あれ」しっ!!




ポカラっポカラっポカラっポカラっ・・



ポカラっポカラっポカラっポカラっ・・
(その音の長さからウー家の敷地を囲う塀の距離もまた長いことが窺える)



ムーア「・・・・・・・・・・・・・・」ちらっ




ポカラっポカラっポカラっポカラっ・・
(馬車が錬鉄の門に近づいていく)




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(それとなく夜空を見上げると灰色の満月がその薄暗い明かりでこちらを照らしている)




ムーア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





シュ~~~~~~~~~~・・・・・
(夜空を見上げる視界の右側から飛んできた花火の玉が満月を馬鹿にするかのように横切っていく)




ボバァ~~~~~~~~~~~ン!!
(それを確認した次の瞬間、夜空に「アイルー型」の大花火が展開され、直下の大豪邸を明るく照らす)




ちらっ(上空の花火から視線を下げると、案の定、塀の外周を警備しているガーディアン達が花火を見上げており、馬車の行者もまた手綱を引き、門の前で停車させている)



ガーディアン「また悪ガキ共の仕業か」

ガーディアン「しかも今日は屋敷に向かって飛ばしてきやがったな」

ガーディアン「あっちから飛んできたのを見た。まだ近くにいるはずだ。とっ捕まえてこっぴどく注意してやるか・・」やれやれ


ダッダッダッダッダッ(数名の警備兵が現場と思しき方向へ走っていく)



バッ!!(その一連の光景を柱の陰から確認すると瞬時にニッキーの方へ首を傾け、突入のサインを出す)



コッハッ(シオンが差し出してきた小さい女子拳にグローブとゴツメの指輪を装着した自身の拳を軽くぶつけ合う)



ダッダッダッダッダッダッダッダッ!!
(颯爽と柱から飛び出し、低姿勢のまま闇に隠れながら一直線に馬車へ疾走していく)


To Be Continued






★次回ストーリーモードは6/18(木)0時更新予定です★