~東シュレイド、首都リーヴェル....


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(両手で広げたタブロイド新聞を読んでいる一人称視点(紙の向こう側には焦点こそ合っていないが、今居る場所が居住空間であることを意味する質素な木壁や眩い陽の光を遮るカーテンで覆われた小窓などがぼんやりと写り込んでいる。また視点の姿勢や背景から、視点の主が食卓に腰を下ろしていることも見て取れる)。新聞の内容を以下に記す)




~リーヴェル陥落 東シュレイドに春が訪れる!!

暴君デーモン・ロザリーに始まった長きに渡る君主制という冬の時代が過ぎ去り、東シュレイドにようやく民主共和政という春が訪れた。昨夜、王宮の陥落と共に王国側がついに敗北を認め、君主制に終止符が打たれた。「落陽草を刈り、太陽草の種を植えよ」をスローガンに掲げた我々のプロパガンダ運動(太陽運動)がまさに実ったのだ!この太陽のように明るい知らせがリーヴェルを中心とした東シュレイドの各地に、自由という名の花を咲かせるであろう。今日の朝日を忘れるな。そして圧政に挫けず蜂起してきた勇敢なる隣人に黙祷を捧げよう・・。


悪政の宿痾であった大臣達は罷免。また彼らが担ぎ上げた太子候補、王族関係者も東シュレイドより追放。病没した故国王の棺と共に西側に送られる見込みである。


此度の革命を受け、現在シュレイド全域に流出している偽札や向精神薬も絶たれることを心から願う。




ちら・・(新聞から目を逸らし、食卓の上に置かれている黄色い花(カタバミ科に近い5弁からなる花)が挿された花瓶を見つめる。また食卓のひとつの椅子の背もたれには、重厚な素材で作られた黒衣のフード付きコートがかけられている)


スッ・・・・・(静かに立ち上がり、出入口横に置かれているスタンドミラーの前に立つと、修道女のような質素な黒いロングワンピを纏い、腰には荊棘の枝のように鋭いトゲが無数に装飾(おそらく邪龍の尖爪がモチーフ)された紐状ベルトを「実にくびれたウエスト」に巻いたジーナの姿(髪型は透明感抜群のサラサラ黒髪ロング(重めなぱっつん前髪付き)、首からは邪龍の鋭爪が「X型」にクロスした少々ゴツメなシルバーペンダントをぶら下げている)が映し出される)


ガチャ・・


とっとっとっとっとっとっ・・(開かれたドアの方を見ると、庶民の衣装に身を包んだ隠密毛のメラルー(まつエクが際立つ)がパンの入った籠を「もふもふな腕」にぶら下げながら母屋の中へおもむろに入ってくる)


ジーナ「ご苦労さまです。スヘイラ」(そう呼ばれたメラルーは頷きながら背伸びして食卓の上に籠をちょこんと乗せる)

スヘイラ「王宮の近くを見てきましたニャ。よほど「火攻め」が凄かったのでしょうニャ。まだ煙がモクモクと上がっていますニャ」シャ~~~~(そう言いながら今度は窓の方へ歩いていき、カーテンを開ける。窓辺には背を向けたちいちゃなアイルー人形がディスプレイされている)


ゴッゴッゴッゴッゴッゴッ・・(いつもの重たいブーツの足音を鳴らしながら窓に近づくと、半壊した街並みの中心地から白煙が上がっているのが分かる)


スヘイラ「また共和党の新聞を読んでましたニャ?どれどれ」みゅう・・(とジーナより手渡された新聞を広げ、食い入る様に読んでいる)

ジーナ「彼らにはずいぶん世話になりましたからね。こうして身分を偽り、布教活動をしながら平和な暮らしを続けて来られたのも彼らのおかげです」シャッ(再びカーテンで太陽を遮る)

スヘイラ「革命が成功したのも、そもそも共和党のリーダーがジーナ様のありがたい教化を受けたからニャよ?あとは武力蜂起に必要な兵器を「お手頃価格」で提供するだけニャ。恐怖心を打ち消す「お薬」も一緒にたくさん売れたし♪問題は、ニャ~んだってミャ~、ジーナ様が武器商人のバイヤーニャんて努めにゃニャらんかったって話ですニャ~」べすん(記事の内容など関心もないかのように新聞を卓上に叩きつける)

ジーナ「仕方ありません。ブラックギルドはまだ人材が不足していますからね。布教活動も考慮すれば、我々が架け橋となって交渉をする方が効率が良いということも分かりました。今回の活動を実践することで今後に役立つ大事な検証を得られたのです。これは喜ばしいことですよ?スヘイラ」ん~ニャ~もぉ~、ジーナ様はいつからほんとの聖職者になったにょ~?(などと文句言いながら飛び乗るように食卓の上に腰を下ろして「ほそっこいチャーミングな猫足」を組み、籠からクロワッサンを取り出してかじりつく)

スヘイラ「革命万々歳ってニャ。おかげでずいぶん稼がせてもらったのは事実だけど・・」あんみゃんみゃん(とクロワッサンを猫らしく?咀嚼している)

ジーナ「こうして食べ物に困らないのもそのおかげです」ふふふ(見下ろす隠密毛のメラルーはへちゃむくれた顔しながらごっくんする)

スヘイラ「さしずめジーナ様は、鮮血と殺戮を生む黒き者・・ってことだニャ♪」ニャニャ~~~カッコ良すぎニャ~♪

ジーナ「我々の教義には修練、修道の概念もあるのですよ?確かにそういう意味では成果はありましたが」スッ・・(腕を組む動作をみせる)

スヘイラ「こりから国を背負うあいつらの思想や精神に黒のイデオロギーをインプリンティングできたニャ。こりで東側とは今後共「いい関係」を築いていけそうニャね」パチリん(「長いまつげをした愛らしい目」でウインクかます)

ジーナ「そろそろ潮時・・・あなたとも長い付き合いになりましたね」なでなで(頭を撫でられた隠密毛のメラルーはクロワッサンを一気に頬張り目をパリクリさせながらこちらを見上げている)

スヘイラ「とと様とかか様が亡くなってもうずいぶん経ちますニャ・・」しょんげり(と俯く)

ジーナ「あなたのお父上・・アル・カマラ氏には本当に助けられました。かつてヒンメルンを無事に脱出できたのも、お父上の先導があったからこそ・・。カマラ氏に守られながら東側へ来て、そして今度はあなたと共にこの長い職務を完遂することが出来ました。感謝していますよ」なでなで(嬉しそうな顔で目を閉じるスヘイラ)

スヘイラ「代々、カーン家に仕えるアサシンとしてあたり前の責務を果たしただけですニャ。今頃アニャ・カーン様もとと様も、お月さまの裏側で一緒にお酒を愉しんでいるに違いないニャ」にこり

ジーナ「我らタラスクギルドの草創期は、暗黒商会の成長期突入と共に次のステージに入りました。これもあなた達の献身的な努力が報われた証拠です」なでなで

スヘイラ「ふふふ。ジーナ様に言われるとニャんだか嬉しいニャ」なでなで

ジーナ「引き際も肝心です。目的を達成した彼らが必要以上の接近をしてこないうちにここを去りましょう」バサッ(椅子にかけてある黒衣のフードコートを身に纏う)

スヘイラ「ほにゃ~・・・いつ見てもジーナ様の装備にはうっとりさせられちゃうニャ・・。パートニャー用の「それ」も作って欲しいニャ・・って、このまま旅立つつもりニャ?」

ジーナ「窓の人形だけ回収すれば証拠は何もありません。ご安心を」

スヘイラ「それはいいけど・・何処に向かうニャ?」ぱちくり

ジーナ「行き先は・・・」


ヒヒィ~~~~~~~ン
(外から如何にも馬っぽい鳴き声が聞こえてくる)


スヘイラ「お馬?」

ジーナ「好むのは王都の貴族。どうやら向こうからお迎えに来てくれたようですね」ほにゃらて?(とスヘイラのまんまる顔)






Recollection No.1_17






コンコン・・(ドアが外側からノックされる)


スヘイラ「あちきが出るニャ」シャッDASH!とっハッ(両袖の内側から一対の黒いダガーを取り出して構えながら椅子から飛び降りて出入り口に向かう)

ジーナ「・・・・・・・・・・・・・」そぉ~(っとドアの前に立つスヘイラの愛らしい後ろ姿を見つめている)

スヘイラ「誰ニャ?」にょにょ(長い眉を潜め、両耳をレーダーのようにくるくる回転させながら問答かます)

??「王都ヴェルドより、ジェイソン・ウー様の命でお迎えにあがりました」(如何にも貴族の従者っぽい「しっかりさん」の声がドア越しに聞こえてくる)

スヘイラ「・・・証拠はあるニャ?」にょにょ

??「窓に置いてある人形が抱いている月・・・それが目印だと我が主より申し付かっております」

ちら・・(スヘイラが「どうしますニャ?」的な感じでこちらを見上げている)

ジーナ「開けてあげてください」

んニャ・・(と、目線の高さほどにあるドアノブを慎重に両猫手で回す)


ぎぃ~~~~~~~~~~・・
(ゆっくりスヘイラがドアを開くと、これまた如何にも貴族の従者っぽいタイトで薄い緑な宮廷衣装を身に纏った「バッハ風白髪クルクルウィッグ」を頭に被った色白細長中年男が礼をしながら立っている)


スヘイラ「お前だけニャ?」ちらちら(ドアから顔を覗かせて周囲を警戒している。外には「白馬二頭付きの豪奢な四輪馬車」が停車しており、その前には護衛と思しき大袈裟な銀製鎧を全身に装着した衛兵二名が長めの戦斧を真っ直ぐ立てて敬礼している)

ジーナ「どうぞ中へ」

従者「失礼致します」コッコッコッ・・(お貴族ロングブーツの音が木床に響く)

ガチャ・・すてててててDASH!(スヘイラは慎重にドアを閉めると、すぐさま窓に向かって駆けていく)

スヘイラ「いい人形ニャろ?あちきが作ったんだニャ♪」スッ(カーテンをめくり、三日月を抱いている「ボロボロの」アイルー人形(目となっているボタンがにょ~んって飛び出てしまっている)を取り出して自慢げに見せる)

従者「・・・・・・・・・・・。出発の準備は出来ているようですな」(スヘイラへの対応を困った挙げ句、無視を選択し、質素な部屋の中を見渡しながらこちらに聞いてくる)

ジーナ「ええ。ですので残念ですが、何もお出しするものがございません」シュッ(慌てて卓上の食べ残しが入っている籠を奪うように引っ下げるスヘイラ)

スヘイラ「タイミングが良すぎないかニャ?」ぱくっ(バスケットから残りのクロワッサンをつまみ食いする)

従者「主の指示に従い、リーヴェル宮殿より火が上がった翌朝、貴方様をお迎えにあがるよう言付かりました」

スヘイラ「へぇ・・ちゃんと計画は熟知していたみたいだニャ?ニャるほど・・ブラックギルドからの伝令か」あんみゃんみゃん(ぼっろぼろとパンくずをこぼしながら嫌味っぽく言ってやる)

従者「・・コホン。要件をお伝えしても宜しいですかな?」

ジーナ「どうぞ」

従者「デーモン・ロザリーが病没。白雪神殿(スノーテンプル)をアーロン・ロザリーが相続し、白の同盟の新たな盟主になられたそうです」

ジーナ「・・・・・・・・・・・・・・・」(視界を歪ませることなくその要件を受け入れるも、必然と瞬きはせず、虚ろに従者の顔を見つめている)

スヘイラ「ジーナ様・・?」(愛らしい顔で覗き込むように視野の下の方からバスケットを抱きながら顔を写り込ませてくる)

ジーナ「我々もちょうど西側に戻ろうとしていたところです。迎えに来たと仰っていましたが・・・詳細はウー家のお屋敷で聞きましょう」やったニャ~♪とと様の故郷に行けるニャ~んてもう嬉しすぎ~♪(とニャンコダンスして喜ぶスヘイラ。従者はそれを見てみぬふりをしている)


To Be Continued







★次回ストーリーモードは4/4(木)0時更新予定です★