ピカッ
ザアアアアアアアアアアアアア!!!!
一也「また一段と雨が強くなってきたニャ!!」
UBU「着いたわよ。あんたの仇がいる場所(霊峰)に・・ね」
鉄平「ああ・・・・!」
「あたちのモンハン日記」外伝
~BlueCat's Revenge
一也「どうするニャ?UBUにゃん」
UBU「うーん・・」
鉄平「ギルドからの支給品ってのは見たか?バリスタの弾や単発式の拘束弾が入ってるのはラッキーだぜ」
UBU「うー・・」
一也「ということはここから先にバリスタが用意されてるってことかニャ?」
鉄平「たぶん用意っていうほどじゃねぇな。なんでも村人の話じゃギルドの調査隊をはじめ、物資運搬が目的である民間の飛行船までもが今回騒動になってる嵐龍に墜落させられたらしいぜ。その、嵐龍が「敵」とみなして落としまくった「バリスタ搭載の飛行船」の残骸を「ハンターらしく」頭を使って利用しろって言いたいんだろ?偉そうによなぁ?UBU」
UBU「ううーー」
一也「どうしたニャ・・さっきからうるさいにゃー」
UBU「山菜ジジイはともかく「転がしニャン次郎」もいない」
鉄平「はぁ・・?」
一也「ころがし・・ニャンだ?」
UBU「ギルドが全額支給してる「タル配便」がいないっていうのよ。それにこのBC(ベースキャンプ)なに?「寝るとこ」ないじゃないで、気持ち程度の「バリスタ弾」を「偶然用意出来たバリスタ」を利用してなんとかしろって!?ふざけんじゃないわよ!!こんな設備と支給でギルドは何を謀ろうっていうんだ!!ハンターはあんたらの道具じゃないんだ!!こんなんじゃいくらメゼポルタから凄腕の狩人団が来たって消息不明になるのはみえみえじゃない!!あー腹立つ!!帰ろっかな」
鉄平「・・・・・」あんぐり
一也「・・・・みゃあ、落ち着くニャ。さ、元気ドリンコでも飲んで落ち着くニャ」
UBU「はぁ・・はぁ・・・あんがと」
ごっくん
UBU「あーまずいけど落ち着いた」
鉄平「・・・(まずいんかい)」
一也「UBUにゃんの怒る気持ちは分かるニャ。でも俺たちには嵐龍を倒さないといけない使命があるっていうことを忘れちゃ駄目ニャ」チラッ
鉄平「・・・・・・」
UBU「分かってるわよ。それに何にもしないでこんな標高の高い所に来たんじゃ、ただの登山になっちゃうしね。カーブーじゃないんだから」
一也「よし。それでいいニャ
それで、どうするニャ?きっとこの先に嵐龍はいるはずニャ。今のうちに立てれる作戦を考えて共有しておくことが先決ニャ」
鉄平「ハンターってのは全員が無謀な生き物じゃないだろ?特にお前は」
UBU「あらそうかしらね」ぷんすか
一也「みゃだ怒ってるニャ?しつっこいニャ」
UBU「あっち」
鉄平「ああ?」
UBU「あっちの空に・・ほおら・・・動いた」
一也「にゃんだ?」
ちらーん
鉄平「気球・・か?」
UBU「正解」
一也「にゃんの気球ニャ?民間の運搬船ならこんな空域にいたら危ないニャ」
UBU「だから雲隠れするにはもってこいなんじゃない。普通の船が来ないから」
鉄平「なんだよ?じゃあ、あれもギルドの調査隊か?また嵐龍に落とされるのがオチだぜ?」
UBU「ブッブー不正解よ」
一也「ギルドじゃないニャ?」
UBU「古龍観測隊・・・聞いたことない?」
鉄平「・・あれがそうだってのか?」
UBU「そう。頭のいい竜人族が設立した古龍観測所から派遣されてきた調査部隊が彼らよ」
一也「その調査部隊が遠くから観察してるってことは、その先に嵐龍がいるってことかニャ」
鉄平「どっちにしても観察隊なんて関係ねぇ。俺は嵐龍をぶっ殺すだけだ」
UBU「そこに関係するから困るのさ」
鉄平「どういう意味だ?」
UBU「いい?観測隊はギルドにも精通してるのよ?彼らが古龍の動向と存在を確認した上でギルドに情報を伝える・・というか情報売買ね古龍の存在が確認出来てはじめてギルドは正式に「古龍討伐クエスト」の依頼が出来る。更に今回の嵐龍討伐クエストはユクモ村の村長さんたっての願いもあればこそ成立出来たもの。依頼主はユクモ村の村長さんになってるしね」
一也「それが俺たちとニャンの関係があるニャ?」
UBU「ずるは出来ないってこと」
鉄平「ああ?」
UBU「彼ら(観測隊)がこの空域にいる・・っていうことから推測出来ることがある」
一也「だから嵐龍がこの辺に確実にいるってことニャ?」
UBU「そう。それと今だその生態に謎の多い、嵐龍を観察することが目的。もちろんハンターとの戦闘データもね」
鉄平「!!」
一也「でもそういうハンターに関連する実績データや照合は、ギルドの調査隊の管轄じゃないのかニャ?」
UBU「普通はねでも今回は違う。相手は古龍種よ?それに嵐龍に落とされた飛行船の数々がギルドにとって相当な被害額だったとすれば「古龍観測がプロじゃないギルド」はこの先、何機飛行船を出しても無駄な事だと気づく。そこで生態観測を表向きにハンターとの戦闘データも含めた情報収集を古龍観測所に委託した・・。つまりあたちたちの動向もクエストを受注した時点から彼らに監視されてるってわけ」
一也「にゃるほどな・・つまり俺たちは「ギルドが作った規定内」での戦いをしなきゃいけないっていうこと・・ニャ?」
UBU「そうよ。だからあたちが昨日使った「溜め斬り+10」みたいな規定外の我流「あたち真剣」はおろか、あんたたちの「普通じゃない力」も封印ってこと仮にあたち達の非公式な力で嵐龍を倒してごらんよ。古龍観測隊には「ライブ」でその目撃者になってもらうことになるし、おまけに平和になった霊峰の現場検証にギルドの調査団だって来る。知ってる?ギルドの調査隊員ってフィールドに落ちてるカラ骨一つで何の弾薬を使ったかも分かるらしいわよ」
鉄平「それがなんだってんだ!?」
UBU「鉄平、あんたのオリジナルの猫爆弾だってその火薬の痕跡から分析されてすぐにギルド非公認の違反物を使用したって分かっちゃうわよ?それにユクモの公式のクエストでそんな「不祥事」があったと分かれば当然、村にも迷惑がかかる。そんなハンデを抱えながら、煮えたぎる憤りの中・・・抑えることが出来る?鉄平」
鉄平「俺にはそんなもん関係ねぇ!!仮にギルドに俺たちの「おかしな挙動」がバレたとして、どうなるってんだ!!」
UBU「あたちは規定外のスキルを使うことでハンターライセンスの剥奪。それとあんたたちも二度とオトモアイルーにはなれないわよ?考えてごらんよ。ハンター同等の力を持つ獣人族、しかもあんたたち猫族がとんでもない力を持ってるだなんて公に知れてご覧よ?あんたたち・・危ない生物研究なんかをしてる民間施設に捕らえられて「あれやこれや」の実験や解剖なんて事を・・おぎゃああああああああ恐い!!言ってるあたちが一番恐い!!」
一也「・・・バカにゃんだな」
鉄平「俺たちは他の奴ら(猫)と違って、てめぇらハンターになんか憧れてオトモになったわけじゃねぇ!あくまで俺の目的を果たす為にお前の力を借りるだけだ!!」
UBU「ふざけんな!!」
鉄平「!!」
UBU「相手は知的生命体種のモンスターじゃない!普通の古龍なの!そして今こうしている時間もクエストの範囲内なの!普通のハンターを狩り出す以上、ギルドの作ったルール内でことを運ばなきゃいけないのよ!?つまりこれはモンスターとあんたの私怨による「復讐戦」じゃなくって、ギルドをはじめとする様々な地方自治団体やいろんな種族、それに村のみんなにも関係してる「狩り」なの!!それがあんたに出来るかってこと!?」
鉄平「うるせぇ!!俺にギルドのルールなんか関係ねぇ!!俺はただ仇である嵐龍をぶっ殺すだけだ!!それともてめぇは自分のライセンスが剥奪されるのがこえーのか!?」
UBU「違う!!あたちにはそんな建前関係ない!!ただ、この一回の「戦い」で終わらせたくないの!!」
鉄平「ああ!?それが保身じゃねぇってのか!?俺はお前の力が確実に俺の目標を達するのに使えると思ったから全てを話した!!そしてお前はそれに了解した!!それがここに来て、てめぇら(ハンターズギルド)のルールを破るからやめようっていうのか!?俺の怒りは最初っからお前の意志とは無関係な所にあるんだよ!!」
UBU「違う違う!!あたちの言ってるのはそういう事じゃないのよ!!」
鉄平「じゃあなんだってんだよ!!」
UBU「あたちはね・・・
あたちはただ・・この先もあんた達と一緒にいたいだけなの!!」
鉄平「ああ!?どういう意味だぁ!!」
UBU「ここでこの狩りをただのあたち達の戦いにしてごらんよ。せっかくこうして出逢えた事の・・・意味がなくなっちゃうじゃない・・・」
一也「・・・UBUにゃん」
鉄平「ちっ・・・・」
UBU「それにね・・」
鉄平「・・?」
UBU「ここで「普通に倒せる」相手を前に、わざわざあたちたちの手の内をあいつらに教えてやる必要はないってこと」
鉄平「!!」
UBU「それに問題は他にもあるの」
鉄平「なんだ・・?」
UBU「ここであたち達が無茶をすればそりゃ簡単に嵐龍を倒せるかもしれない。けど、その事で一番困るのは一也・・・あんたじゃない?」
一也「・・・・・・・」
鉄平「どういう事だよ!?なんで一也がそれで困るんだ!」
UBU「一也。悪いけどあんたの事、少し調べさせて貰ったの。あたちのオトモにもね、あんた達と同じ「少し変わった子」がいてね・・純平っていうんだけど・・その子が情報調達に優れてるの。それでね、数日前からこのユクモ村に現れたあんた達二人の事を調べて貰ったの」
鉄平「て、てめぇ!!じゃあ俺の事も最初っから・・!」バッ
UBU「安心して、鉄平。あんたの事は何も分からなかった。まだそこまで有名じゃないって証拠ね」
鉄平「なっ・・・」
UBU「だけど一也・・あんたは違う」
一也「俺が元王国猫騎士団の十字軍隊長だから・・ニャ?」
UBU「そう。猫騎士団で戦闘技術を学んだあんたは当然普通の子達とは違う。もちろん全員があんたの様に優れた力や能力を持ってる訳じゃないのも事実・・でも一也。あんたは隊長に選ばれるくらいの戦術論と統率力、それに並外れた怪力を持ってる」
鉄平「それがなんで一也を困らせるんだ!?」
一也「それは俺が話すニャ」
鉄平「一也・・」
一也「王国猫騎士団になった猫は、入隊時に契約書にサインするんだニャ。従軍・除隊時に関係なく、そこで培った戦闘技術を騎士団以外では使用してはいけない・・ってニャ」
鉄平「なっ・・・!?で、でもお前は既にその力を俺の為に・・!も、もし、それが公に騎士団領の連中にバレたらどうなるんだ!?」
一也「投獄されるだろうニャ
それに他の騎士団の誇りや名声にも傷をつけるニャ」
鉄平「お、お前・・それを分かってて」
一也「安心するニャ。俺はお前に自分の力を貸すことが元王国猫騎士団員として正しいと思ったからそうしてるまでニャ。きっと俺の仲間や騎士団領の国王は理解してくれると思ってるからニャ」
鉄平「一也・・」
UBU「けどね、鉄平。それをギルドが知ったらどうなると思う?」
鉄平「!!」
UBU「ここで一也が元猫騎士団で鍛えられたその能力を「ギルドのクエスト」で使用したら・・・一也は・・あんたのかけがえのないお友達は、ハンターズギルドが長年にかけて持続してきたモンスターの個体数確保、及び生態系維持を乱す危険獣人として身柄を確保されることになる。警告や軽い罰則だけで済むだろう「まだ無名で何の実績もない」あんたとは違ってね」
鉄平「・・・!!」
UBU「仮に一也がギルドに拘束され、その事柄が公になれば・・・ギルドと王国騎士団領との関係にも当然亀裂が生じる」
鉄平「なっ・・・!!」
一也「・・・・・・」
UBU「鉄平、いい?」
鉄平「・・・・・」
UBU「一也はね、誰よりもあなたの事を思って行動してくれているのよ。もちろん、それ相応の覚悟でね。鉄平、あなたはその温情に対して何を一也にしてあげられるかしら」
鉄平「!!」
ザーーーーーーーーーーー
鉄平「やい、UBU」
UBU「なぁに?」
鉄平「お前・・・さっき俺の仇を・・
「普通に倒せる相手」って言ったのは俺の聞き違いか?」
UBU「うんにゃ」にんまり
鉄平「お前も、俺も・・そして一也も普通に戦って勝てるんだな?」
UBU「三人協力すればね」
鉄平「・・・・・・」
一也「・・・・・・」
鉄平「一也」
一也「にゃんだ?」
鉄平「俺のつまんねぇ私怨でお前を巻き込んじまった事に謝る」ぺこりん
一也「気にするニャ。
俺は俺の信じる事と、その仲間の為に自分の力を使いたいだけニャ」
鉄平「へへ・・・この野郎」くすん
UBU「さて・・・結構時間経っちゃったわね。知ってる?クエストって時間制限ありなのよ?ギルドが設けた時間内で、そのクエストをこなせないハンターに「身の程知らず」を教える為にね」
一也「まったくUBUにゃんは口が悪いニャ
それは危険なクエストを受注したハンターに対するギルドの温情ニャ」
鉄平「いや・・」
一也「にゃんだ?鉄平もUBUにゃんに同意ニャ?」
鉄平「ギルドは、お前ほど優しかねぇ・・そう言いたいんだよな、UBU」
UBU「そういうこと。ふふふ・・笑っちゃう」
一也「鉄平・・UBUにゃん・・・」
UBU「さっ、とんだ作戦会議もこれで、お・し・ま・い」ザッ
鉄平「よっしゃ!!いこうぜみんな!!
シバリ有りのハンディハントにな!!」
To Be Continued..
ザアアアアアアアアアアアアア!!!!
一也「また一段と雨が強くなってきたニャ!!」
UBU「着いたわよ。あんたの仇がいる場所(霊峰)に・・ね」
鉄平「ああ・・・・!」
「あたちのモンハン日記」外伝
~BlueCat's Revenge
一也「どうするニャ?UBUにゃん」
UBU「うーん・・」
鉄平「ギルドからの支給品ってのは見たか?バリスタの弾や単発式の拘束弾が入ってるのはラッキーだぜ」
UBU「うー・・」
一也「ということはここから先にバリスタが用意されてるってことかニャ?」
鉄平「たぶん用意っていうほどじゃねぇな。なんでも村人の話じゃギルドの調査隊をはじめ、物資運搬が目的である民間の飛行船までもが今回騒動になってる嵐龍に墜落させられたらしいぜ。その、嵐龍が「敵」とみなして落としまくった「バリスタ搭載の飛行船」の残骸を「ハンターらしく」頭を使って利用しろって言いたいんだろ?偉そうによなぁ?UBU」
UBU「ううーー」
一也「どうしたニャ・・さっきからうるさいにゃー」
UBU「山菜ジジイはともかく「転がしニャン次郎」もいない」
鉄平「はぁ・・?」
一也「ころがし・・ニャンだ?」
UBU「ギルドが全額支給してる「タル配便」がいないっていうのよ。それにこのBC(ベースキャンプ)なに?「寝るとこ」ないじゃないで、気持ち程度の「バリスタ弾」を「偶然用意出来たバリスタ」を利用してなんとかしろって!?ふざけんじゃないわよ!!こんな設備と支給でギルドは何を謀ろうっていうんだ!!ハンターはあんたらの道具じゃないんだ!!こんなんじゃいくらメゼポルタから凄腕の狩人団が来たって消息不明になるのはみえみえじゃない!!あー腹立つ!!帰ろっかな」
鉄平「・・・・・」あんぐり
一也「・・・・みゃあ、落ち着くニャ。さ、元気ドリンコでも飲んで落ち着くニャ」
UBU「はぁ・・はぁ・・・あんがと」
ごっくん
UBU「あーまずいけど落ち着いた」
鉄平「・・・(まずいんかい)」
一也「UBUにゃんの怒る気持ちは分かるニャ。でも俺たちには嵐龍を倒さないといけない使命があるっていうことを忘れちゃ駄目ニャ」チラッ
鉄平「・・・・・・」
UBU「分かってるわよ。それに何にもしないでこんな標高の高い所に来たんじゃ、ただの登山になっちゃうしね。カーブーじゃないんだから」
一也「よし。それでいいニャ
それで、どうするニャ?きっとこの先に嵐龍はいるはずニャ。今のうちに立てれる作戦を考えて共有しておくことが先決ニャ」
鉄平「ハンターってのは全員が無謀な生き物じゃないだろ?特にお前は」
UBU「あらそうかしらね」ぷんすか
一也「みゃだ怒ってるニャ?しつっこいニャ」
UBU「あっち」
鉄平「ああ?」
UBU「あっちの空に・・ほおら・・・動いた」
一也「にゃんだ?」
ちらーん
鉄平「気球・・か?」
UBU「正解」
一也「にゃんの気球ニャ?民間の運搬船ならこんな空域にいたら危ないニャ」
UBU「だから雲隠れするにはもってこいなんじゃない。普通の船が来ないから」
鉄平「なんだよ?じゃあ、あれもギルドの調査隊か?また嵐龍に落とされるのがオチだぜ?」
UBU「ブッブー不正解よ」
一也「ギルドじゃないニャ?」
UBU「古龍観測隊・・・聞いたことない?」
鉄平「・・あれがそうだってのか?」
UBU「そう。頭のいい竜人族が設立した古龍観測所から派遣されてきた調査部隊が彼らよ」
一也「その調査部隊が遠くから観察してるってことは、その先に嵐龍がいるってことかニャ」
鉄平「どっちにしても観察隊なんて関係ねぇ。俺は嵐龍をぶっ殺すだけだ」
UBU「そこに関係するから困るのさ」
鉄平「どういう意味だ?」
UBU「いい?観測隊はギルドにも精通してるのよ?彼らが古龍の動向と存在を確認した上でギルドに情報を伝える・・というか情報売買ね古龍の存在が確認出来てはじめてギルドは正式に「古龍討伐クエスト」の依頼が出来る。更に今回の嵐龍討伐クエストはユクモ村の村長さんたっての願いもあればこそ成立出来たもの。依頼主はユクモ村の村長さんになってるしね」
一也「それが俺たちとニャンの関係があるニャ?」
UBU「ずるは出来ないってこと」
鉄平「ああ?」
UBU「彼ら(観測隊)がこの空域にいる・・っていうことから推測出来ることがある」
一也「だから嵐龍がこの辺に確実にいるってことニャ?」
UBU「そう。それと今だその生態に謎の多い、嵐龍を観察することが目的。もちろんハンターとの戦闘データもね」
鉄平「!!」
一也「でもそういうハンターに関連する実績データや照合は、ギルドの調査隊の管轄じゃないのかニャ?」
UBU「普通はねでも今回は違う。相手は古龍種よ?それに嵐龍に落とされた飛行船の数々がギルドにとって相当な被害額だったとすれば「古龍観測がプロじゃないギルド」はこの先、何機飛行船を出しても無駄な事だと気づく。そこで生態観測を表向きにハンターとの戦闘データも含めた情報収集を古龍観測所に委託した・・。つまりあたちたちの動向もクエストを受注した時点から彼らに監視されてるってわけ」
一也「にゃるほどな・・つまり俺たちは「ギルドが作った規定内」での戦いをしなきゃいけないっていうこと・・ニャ?」
UBU「そうよ。だからあたちが昨日使った「溜め斬り+10」みたいな規定外の我流「あたち真剣」はおろか、あんたたちの「普通じゃない力」も封印ってこと仮にあたち達の非公式な力で嵐龍を倒してごらんよ。古龍観測隊には「ライブ」でその目撃者になってもらうことになるし、おまけに平和になった霊峰の現場検証にギルドの調査団だって来る。知ってる?ギルドの調査隊員ってフィールドに落ちてるカラ骨一つで何の弾薬を使ったかも分かるらしいわよ」
鉄平「それがなんだってんだ!?」
UBU「鉄平、あんたのオリジナルの猫爆弾だってその火薬の痕跡から分析されてすぐにギルド非公認の違反物を使用したって分かっちゃうわよ?それにユクモの公式のクエストでそんな「不祥事」があったと分かれば当然、村にも迷惑がかかる。そんなハンデを抱えながら、煮えたぎる憤りの中・・・抑えることが出来る?鉄平」
鉄平「俺にはそんなもん関係ねぇ!!仮にギルドに俺たちの「おかしな挙動」がバレたとして、どうなるってんだ!!」
UBU「あたちは規定外のスキルを使うことでハンターライセンスの剥奪。それとあんたたちも二度とオトモアイルーにはなれないわよ?考えてごらんよ。ハンター同等の力を持つ獣人族、しかもあんたたち猫族がとんでもない力を持ってるだなんて公に知れてご覧よ?あんたたち・・危ない生物研究なんかをしてる民間施設に捕らえられて「あれやこれや」の実験や解剖なんて事を・・おぎゃああああああああ恐い!!言ってるあたちが一番恐い!!」
一也「・・・バカにゃんだな」
鉄平「俺たちは他の奴ら(猫)と違って、てめぇらハンターになんか憧れてオトモになったわけじゃねぇ!あくまで俺の目的を果たす為にお前の力を借りるだけだ!!」
UBU「ふざけんな!!」
鉄平「!!」
UBU「相手は知的生命体種のモンスターじゃない!普通の古龍なの!そして今こうしている時間もクエストの範囲内なの!普通のハンターを狩り出す以上、ギルドの作ったルール内でことを運ばなきゃいけないのよ!?つまりこれはモンスターとあんたの私怨による「復讐戦」じゃなくって、ギルドをはじめとする様々な地方自治団体やいろんな種族、それに村のみんなにも関係してる「狩り」なの!!それがあんたに出来るかってこと!?」
鉄平「うるせぇ!!俺にギルドのルールなんか関係ねぇ!!俺はただ仇である嵐龍をぶっ殺すだけだ!!それともてめぇは自分のライセンスが剥奪されるのがこえーのか!?」
UBU「違う!!あたちにはそんな建前関係ない!!ただ、この一回の「戦い」で終わらせたくないの!!」
鉄平「ああ!?それが保身じゃねぇってのか!?俺はお前の力が確実に俺の目標を達するのに使えると思ったから全てを話した!!そしてお前はそれに了解した!!それがここに来て、てめぇら(ハンターズギルド)のルールを破るからやめようっていうのか!?俺の怒りは最初っからお前の意志とは無関係な所にあるんだよ!!」
UBU「違う違う!!あたちの言ってるのはそういう事じゃないのよ!!」
鉄平「じゃあなんだってんだよ!!」
UBU「あたちはね・・・
あたちはただ・・この先もあんた達と一緒にいたいだけなの!!」
鉄平「ああ!?どういう意味だぁ!!」
UBU「ここでこの狩りをただのあたち達の戦いにしてごらんよ。せっかくこうして出逢えた事の・・・意味がなくなっちゃうじゃない・・・」
一也「・・・UBUにゃん」
鉄平「ちっ・・・・」
UBU「それにね・・」
鉄平「・・?」
UBU「ここで「普通に倒せる」相手を前に、わざわざあたちたちの手の内をあいつらに教えてやる必要はないってこと」
鉄平「!!」
UBU「それに問題は他にもあるの」
鉄平「なんだ・・?」
UBU「ここであたち達が無茶をすればそりゃ簡単に嵐龍を倒せるかもしれない。けど、その事で一番困るのは一也・・・あんたじゃない?」
一也「・・・・・・・」
鉄平「どういう事だよ!?なんで一也がそれで困るんだ!」
UBU「一也。悪いけどあんたの事、少し調べさせて貰ったの。あたちのオトモにもね、あんた達と同じ「少し変わった子」がいてね・・純平っていうんだけど・・その子が情報調達に優れてるの。それでね、数日前からこのユクモ村に現れたあんた達二人の事を調べて貰ったの」
鉄平「て、てめぇ!!じゃあ俺の事も最初っから・・!」バッ
UBU「安心して、鉄平。あんたの事は何も分からなかった。まだそこまで有名じゃないって証拠ね」
鉄平「なっ・・・」
UBU「だけど一也・・あんたは違う」
一也「俺が元王国猫騎士団の十字軍隊長だから・・ニャ?」
UBU「そう。猫騎士団で戦闘技術を学んだあんたは当然普通の子達とは違う。もちろん全員があんたの様に優れた力や能力を持ってる訳じゃないのも事実・・でも一也。あんたは隊長に選ばれるくらいの戦術論と統率力、それに並外れた怪力を持ってる」
鉄平「それがなんで一也を困らせるんだ!?」
一也「それは俺が話すニャ」
鉄平「一也・・」
一也「王国猫騎士団になった猫は、入隊時に契約書にサインするんだニャ。従軍・除隊時に関係なく、そこで培った戦闘技術を騎士団以外では使用してはいけない・・ってニャ」
鉄平「なっ・・・!?で、でもお前は既にその力を俺の為に・・!も、もし、それが公に騎士団領の連中にバレたらどうなるんだ!?」
一也「投獄されるだろうニャ
それに他の騎士団の誇りや名声にも傷をつけるニャ」
鉄平「お、お前・・それを分かってて」
一也「安心するニャ。俺はお前に自分の力を貸すことが元王国猫騎士団員として正しいと思ったからそうしてるまでニャ。きっと俺の仲間や騎士団領の国王は理解してくれると思ってるからニャ」
鉄平「一也・・」
UBU「けどね、鉄平。それをギルドが知ったらどうなると思う?」
鉄平「!!」
UBU「ここで一也が元猫騎士団で鍛えられたその能力を「ギルドのクエスト」で使用したら・・・一也は・・あんたのかけがえのないお友達は、ハンターズギルドが長年にかけて持続してきたモンスターの個体数確保、及び生態系維持を乱す危険獣人として身柄を確保されることになる。警告や軽い罰則だけで済むだろう「まだ無名で何の実績もない」あんたとは違ってね」
鉄平「・・・!!」
UBU「仮に一也がギルドに拘束され、その事柄が公になれば・・・ギルドと王国騎士団領との関係にも当然亀裂が生じる」
鉄平「なっ・・・!!」
一也「・・・・・・」
UBU「鉄平、いい?」
鉄平「・・・・・」
UBU「一也はね、誰よりもあなたの事を思って行動してくれているのよ。もちろん、それ相応の覚悟でね。鉄平、あなたはその温情に対して何を一也にしてあげられるかしら」
鉄平「!!」
ザーーーーーーーーーーー
鉄平「やい、UBU」
UBU「なぁに?」
鉄平「お前・・・さっき俺の仇を・・
「普通に倒せる相手」って言ったのは俺の聞き違いか?」
UBU「うんにゃ」にんまり
鉄平「お前も、俺も・・そして一也も普通に戦って勝てるんだな?」
UBU「三人協力すればね」
鉄平「・・・・・・」
一也「・・・・・・」
鉄平「一也」
一也「にゃんだ?」
鉄平「俺のつまんねぇ私怨でお前を巻き込んじまった事に謝る」ぺこりん
一也「気にするニャ。
俺は俺の信じる事と、その仲間の為に自分の力を使いたいだけニャ」
鉄平「へへ・・・この野郎」くすん
UBU「さて・・・結構時間経っちゃったわね。知ってる?クエストって時間制限ありなのよ?ギルドが設けた時間内で、そのクエストをこなせないハンターに「身の程知らず」を教える為にね」
一也「まったくUBUにゃんは口が悪いニャ
それは危険なクエストを受注したハンターに対するギルドの温情ニャ」
鉄平「いや・・」
一也「にゃんだ?鉄平もUBUにゃんに同意ニャ?」
鉄平「ギルドは、お前ほど優しかねぇ・・そう言いたいんだよな、UBU」
UBU「そういうこと。ふふふ・・笑っちゃう」
一也「鉄平・・UBUにゃん・・・」
UBU「さっ、とんだ作戦会議もこれで、お・し・ま・い」ザッ
鉄平「よっしゃ!!いこうぜみんな!!
シバリ有りのハンディハントにな!!」
To Be Continued..