こんばんわ。UBUです。
今日は先日あたちが体験した恐怖対談を皆様にお届けしたいと思います・・。恐いのが苦手な全国のぼっちゃま、嬢ちゃまはおトイレに行けなくなるかもですよ・・ふふふ・・。
ことの発端はこちらの写真です・・。
これは、月刊「秘境秘宝」という全世界の秘境スポットに焦点をあてた、ハンターアングラ界では有名な雑誌なのです。この雑誌で紹介された秘境の人気ランクを元に、ギルドもその秘境を世界遺産として認定するかどうか決めているそうです。今回あたちはそのコアなファンが多い雑誌「秘境秘宝」の人気コーナーである「秘境と美女」というコーナーの取材を受け、渓流の秘境で撮影と取材をしていたのです。この写真はその時の一枚なのですが・・・。
皆さん・・お分かりでしょうか・・。
上二枚の写真に「あたち以外のもの」が写っているのを・・。
そう・・。あたちの左側に写っている大木に、謎の「光る目」が二つ・・。
「秘境秘宝」のカメラマンさんに頼んでその「光る目」を拡大してもらいました。
それが次の写真です・・。
黒い物体に光る目・・。その目は確かにこちらを見ています。
もう少し拡大したものがこちらです・・。
「新種のふくろうなのでは・・?」
これは撮影した「秘境秘宝」のベテランカメラマン、新庄淳さんのコメントです。
編集長の片桐晋平さんは「月の光の反射による偶然」と一蹴。
片桐さんは「掲載を検討するべき」という他のスタッフの意見を聞かずに「秘境秘宝」に載せてしまいました。
そしてその「謎の生物」が写った、あたちの渓流での秘境の写真は「秘境秘宝一月号」の表紙として販売されたのでした・・。それから数日後、その一月号を買った読者の皆様から同じ質問が秘境秘宝編集部に多数送られてきたそうです。
「表紙に謎のUMAが写っている」
と・・。
UMA・・?
そうか・・。そうだ!
「この手」の分野のエキスパートがあたちのユクモにはいるではないか!
と、あたちは「秘境秘宝一月号」を高鳴る胸に抱き、小走りでその人物がいる研究所に向かうのでした。そう・・「麻生研究所」へ・・。
ザーーーーーーーーー
その日は生憎、この季節には珍しい豪雨でした。
雑誌が雨で「ペチョペチョ」にならないように大事に胸に抱え、あたちは写真に写った謎のUMAの解明を求めるべく麻生研究所に向かいます。何としても正体を明かし、同じ疑問を抱えている月間「秘境秘宝」の秘境好きのマニアな読者の皆様の不安を解消しなければならないという一種の使命感と共に・・。
雨音「いらっしゃい。UBUさん。珍しいですね、貴方がお一人で「ここ」に来られるなんて・・。さぁ・・お上がり下さい」
と、研究所に着くなり麻生博士の助手である雨音ちゃんが雨でびしょびしょになったあたちを見てそう言いました。
雨音「雨に濡れてお寒いでしょう・・。私は先生を呼んで来ますのでUBUさんは客間の暖炉で冷えた体を暖めて下さい」
そう言い残すと雨音ちゃんはそそくさと麻生博士を呼びに行ってしまいました。あたちは一人で誰もいない客間に行き、暖炉の火をつけようと思いましたが「使い方」が分からずあたふたしていました。
「こりゃ風邪をひいたな・・」
という確信を感じつつ、ブルブル震えながら麻生博士を待つのでした・・。
寒さも限界に近づき「帰ってやろうかな」と、思った矢先にドアが開き・・
麻生「すまん、待たせたな。
川村に頼まれている現在研究中のシャークキング改良に没頭していたものだからな」
UBU「すみません博士、お忙しいところ。
シャークキング(ランス)はもうよいのですか?」
と、全くカーブーが依頼したというシャークキング(ランス)の改良の話しなどどうでも良かったのですが、突然の訪問ということもあり、謙虚なあたちは社交辞令的に心無い質問をしました。
麻生「なんでもシャークキングをモガの村に出没しているという、G級モンスター相手でも戦える強さに補強して欲しいと川村に頼まれてな・・。ブーストアップの為にはより古代鮫の皮が必要なんだ。それと本場の深海鮫のスクワレンというエキスがな・・」
この時あたちは
「しまった!!」
と痛感しました。というのは、あたちの建前のみの「いらない質問」が麻生博士の研究家としての引き出しを開いてしまったのです。それから2時間近く聞きたくもない「鮫談」に付き合う羽目になるのでした。改めて社交辞令が生む近代社会の不当合成に疑問と苛立ちを感じつつ、やっとのことで何気ないタイミングから本題に持っていくことに成功したあたちは、例の写真を博士に見せるのでした。
麻生「ほう・・・」
UBU「どう思われますか?」
麻生「まずはお前の見解を聞こうか」
UBU「え?」
まったく予想していなかった突然の質問返しに完全にあたふたしてしまった健気なあたちなのですが、それなりの見解は抱いていました。
UBU「あたちはこのUMAをモスマンかジャージーデビルだと思うんです」
麻生「ほほう。モスマン・・・不吉を呼ぶ、というあれか・・」
↓そのあれ
UBU「はい。黒い体毛に覆われている点、そして赤く光った目が一致していると思います。一方、右側の目が黄色く光っている生物はジャージーデビルかと・・」
麻生「馬の頭にコウモリの翼を持つと云われる「あれ」か・・」
↓あれ
UBU「博士の見解をお聞かせください」
麻生「お前の意見で当たってるな」
UBU「ええ!?」
思いもよらぬ麻生博士の回答に度肝を抜かれ思わず声にしてしまったあたち。興味本位のみで予想を自分なりにしてみたものの、まさか博士の見解と一致するとは思ってもいなかったのです。
UBU「じゃ、じゃあ本当にこの二匹は!?」
麻生「モスマンとジャージーデビルだな」
UBU「ええ!?」
麻生「答えが出たところで・・私は研究に戻るぞ」
UBU「ええ!?」
ガチャリ
雨音「お茶をどうぞ」
麻生「悪いが雨音。たった今、質疑は終わったところだ。もうUBUも帰ると言っている」
UBU「ええ!?」
雨音「そうですか。さようなら・・UBUさん」
UBU「ええ!?」
外はまだ豪雨のままでした。
あまりにもあっけなく解決してしまった?今回のUMA騒動・・。
ことモスマンに関してはその姿を見た者に不幸が訪れると言いますが、今この瞬間がまさにその不幸だったのではないでしょうか・・。
と、ふと空を見上げると・・。
UBU「あ・・アマツマガツチが飛んでる・・・」
降り続く豪雨に機嫌を良くしたアマツマガツチが、水を得た魚の如くユクモの雨空を泳いでいました。まるで天の川を渡る様に・・。
UBU「帰ろう・・」
降り続く豪雨と更には突風のせいで傘は既にその機能を失い、全身「びちょびちょ」になってしまったあたち。確実に寒さのせいで風邪をひいたと思われる重たい体に鞭を打ち帰路へ。その道中、高熱で雨の感覚すら感じなくなった顔に、涙が流れていたのかどうかすらもはや覚えてはいませんでした。
その頃にはもう秘境のUMAなど
どうでもよくなっていました。
おしまい
今回のお話はあくまでもあたちのユクモのお話ですが
みんなもドリンクスキル「秘境探索」が出たら夜の渓流に行ってみよう