こんにちは、久田和弘です!

以前『僕のジョバンニ』という作品をご紹介しました。チェロが繋ぎ止めるふたりの少年の成長と挫折、そして「才能」をめぐる物語は、主人公の鉄雄が郁未から離れて海外への留学を決意したところで一区切りとなりました。まるで前世で約束されていたようにお互いにとってかけがえのない存在だったはずが、ちょっとしたボタンの掛け違いによってふたりの関係は食い違うようになり・・・。

(気になる方はぜひ、手にとってみてください!現在2巻まで出てます!)

作者である穂積は、登場人物たちの「才能をめぐる物語」を描くことが多い。たとえば今回ご紹介する『さよならソルシエ』もそのひとつ。
というか、『さよならソルシエ』こそ、穂積版「才能によって運命が大きく変わった人間たちの物語」の代表格といえるでしょう。
『さよならソルシエ』はゴッホの生涯を切り取ってつくられた作品です。が、ここで描かれているのは「炎の画家ゴッホ」という誰もが知る表向きの顔ではなく、あくまでも穂積という作家を通して紡がれる、ひとりの画家の人生です。

「さよならソルシエはゴッホの物語」と言いましたが、メインで登場するのは彼ではありません。主役はゴッホの弟、テオドルス・ファン・ゴッホです。
ゴッホの、独特な色彩で描かれた素朴な風景や町並み、市民たちを描いた作品は、誰でもいちどは目にしたことがあるでしょう。そして、彼の鮮烈で孤独な人生も、いちどは耳にしたことがあるのでは?

精神を病んだまま亡くなったとされるゴッホの生涯と同じく、弟テオドルス、通称「テオ」の人生もまた、表向きには「孤独」であったとされています。

 

(久田和弘)