COMICAZZ コミカス KOMIKASS by 河嶋好太郎-kas-rev-9-10
カスタニーが幽閉されたのは
アヴィニョンの街を流れる
ローヌ川の中州に建てられた
古い
教会堂でした
橋はなく渡し船があるだけ
まさに牢獄には
最適の環境なのです
またここは
多くのカタリ派のペルフェクテたちが
収監され
拷問・処刑された血なまぐさい場所でも
あったのです

さてその一室にカスタニーは
大きな鉄球の足枷で
繋がれた
たのでした
ただ扱いは今で言う禁錮並みのもので
食事や読書なども
許されていたのです
鉄球は
彼が空を飛び逃亡することを
防ぐのが専らの
目的でした
それにしたところで囚われの身には違いなく
憂鬱の淵に沈むかと思いきや
なんと彼は
夜な夜な現れるペルフェクテたちの亡霊と
議論を交わし
憂さを晴らしていたのです

元来無神論の彼でありましたが
意外に知識欲旺盛なところもあるので
おおいに
亡霊たちとの
談義は
毎夜毎夜弾んだのであります
むしろ迷惑したのは
衛兵たち
常人の彼らには亡者どもと愉快に語るさまは
ただただ
恐怖でしかなかったのです
そしてついには
夜ともなれば衛兵らは
誰一人としてカスタニーの番に立つものはない
というありさまでした

このようにして
カスタニーは彼が予言した
機械ブタの
救援を
いわばお気楽に待っていたのでした