カスタニーが幽閉されたのは
アヴィニョンの街を流れる
ローヌ川の中州に建てられた
古い
教会堂でした
橋はなく渡し船があるだけ
まさに牢獄には
最適の環境なのです
またここは
多くのカタリ派のペルフェクテたちが
収監され
拷問・処刑された血なまぐさい場所でも
あったのです
!
さてその一室にカスタニーは
大きな鉄球の足枷で
繋がれた
たのでした
ただ扱いは今で言う禁錮並みのもので
食事や読書なども
許されていたのです
鉄球は
彼が空を飛び逃亡することを
防ぐのが専らの
目的でした
それにしたところで囚われの身には違いなく
憂鬱の淵に沈むかと思いきや
なんと彼は
夜な夜な現れるペルフェクテたちの亡霊と
議論を交わし
憂さを晴らしていたのです
!
元来無神論の彼でありましたが
意外に知識欲旺盛なところもあるので
おおいに
亡霊たちとの
談義は
毎夜毎夜弾んだのであります
むしろ迷惑したのは
衛兵たち
常人の彼らには亡者どもと愉快に語るさまは
ただただ
恐怖でしかなかったのです
そしてついには
夜ともなれば衛兵らは
誰一人としてカスタニーの番に立つものはない
というありさまでした
・
このようにして
カスタニーは彼が予言した
機械ブタの
救援を
いわばお気楽に待っていたのでした
!