クレメンス8世と枢機卿、そして
侍従がアヴィニョンの教皇庁にやってきました
「教皇様、アヴィニョン滞在中いかがいたしましょう。」
「枢機卿、わたしはこの地に遊山に参ったの
ではないのです。」
「それは承知しておりますが、この行幸はわれわれしか
知らぬことです。ゆえに人目についてはとおもいまして。」
「確かにそうであるな、となれば多勢の衛兵どもも
差障りがある、かれらみだりに人目に触れぬよう
配慮頼みますぞ。」
「それはしかと。いずれにしろジョルダーノの
処刑が終わるまでの間だけのことでございますから、
ご心配のほどは。」
「それよりそなたが言っておったカタリの残党の件ですが、
あれはいかがです。」
「実は、そのことでお伺い致したのでございます。」
「やはりわたしを狙っておるか?」
「それがですな教皇様奇怪なうわさを
聞き及んでおります。」
「と申すと?」
「カタリどもは諦めたようですが、それとはまったく別の
空飛ぶ盗賊が教皇様のお宝を狙っていると、、、、」
「飛行人とな、、まことかそれは、たわけたことを!」
あまりの荒唐無稽な話に教皇・枢機卿ともども
警戒心が緩むのでした。
こうして子爵の策謀は忍びよってゆくのでした。
つづく