子爵とカスタニーはある日
近郊の森へ遠乗りにでかけました
「カスタニー殿、貴殿十字軍をご存知ですかな?」
「エルサレム遠征の物語ですね、多少。」
「ところがこのラングドックの地にもあったのですよ。」
「それはいかに?ここはキリスト教徒の国では、、、」
「確かに、奇怪なれど事実なのです。
インノケンチウス三世猊下がお望みになりましてな。」
「なぜですか、同じキリスト信者ではありませんか?」
「カスタニー殿、ご存知か?信仰の本義は不寛容にあり!
普遍教会はわれわれアルビ派の
信仰が許せなかったのです。
異端は神の名の下に滅ぼせ、ですな。」
「じつに人間らしい行いですな、子爵殿。」
「まさに、かくの如し。」
カスタニーはこうして子爵から、アルビジョワ十字軍の
経緯の仔細を聞いたのでした、わけてもベジェ殺戮の話は
彼の心胆寒からしめたのです。市民1万ものひとびとを
アルビ派であるなしにかかわらず、皆殺しにしたのです。
「ところでカスタニー殿、ローマの教皇様が来月
アヴィニョンに行幸されるを、ご存知かな?」
「いえ存じませぬ。」と答えたかれ、
そくざに子爵殿の望みを悟ったのでした。
つづく