【tayocafe】レポート記事
みなさん、こんにちはKENTと申します。
12月23日、日本時間6時から「taoyacafe」が開催されました。
今回は「taoyacafe」のレポート記事をまとめました。





■「taoyacafe」とは?



タイで日本語教師をしているゆりさん(ゆり@日本語コーチ)が主催

海外国内問わず20代の日本語教師のオンラインによる交流会です。
Zoomというアプリを使って日本語教育の業界の問題点や改善策を話し合います。



■話したテーマ
1.給料待遇問題 
2.ICT化について
3.研修ない問題 
4.日本語学校JLPT塾化問題 
5.20代日本語教師少なすぎ問題 

■テーマに対しての意見
1.給料待遇問題
●給料が安いという声について
英語の先生は新人の段階で4000円から5000円
一方で、新人の日本人の先生は1000円。
相対的に比べると安く感じる

●給料の待遇が低い理由について
言語の経済性から考えると日本語と英語とでは
使用人口と使用頻度は
言うまでもなく圧倒的に英語の方が高い。

顧客層の面で日本語と英語では異なる。
英語の場合、日本国内だと
日本人の所得に合わせて値段を高く設定でき、
また日本人の口コミで評判を上げないと
競争でつぶれてしまうので、
質のいい授業ができるようにしている。

日本語はアジアからの学生が多く、物価も違う。
学生の所得が低く、高くしたら払えない人が多く、
結果日本語学校から入る収入が少なく
それが給料に反映されて少なくなる。
また、斡旋業者などによる紹介が多く、自分で日本語学校を選んでいない。
口コミは日本語ではないので、改善などがなかなかできない。

●実は経営者側はそのことを気にしていることがある
ただ、経営者は教師としての経験がなく、どのぐらい大変で
どのぐらいの基準で
いくら払えばいいのかがわかっていない。
そこで教師側からアプローチをする必要があるという意見が出た。

実際に経営者に給与交渉でアプローチした一言
「○○の実績があるので●●円ではらってもらえないでしょうか?」
「もし、払えないのであれば私はここを辞めるつもりです」
等と言って待遇が改善されたことがあるらしい。

私たちからも先人たちに習ってこのように交渉しに行ったほうがいい。
一人じゃ怖いなら同僚や先輩たちと一緒に交渉しに行くという方法がいいなど。



●意見を総括すると

1.教師側が内々で愚痴を言うのではなく経営者側にしっかりと
アプローチして伝える。


2.経営者側は給料の基準がわかっていない場合が多いので
積極的にアプローチするのがよい。




■2.ICT化について
●主な意見のまとめ
・コストなどを理由にICT化できていない学校が多い
・アメリカは学生にIPADを配ったり、プロジェクターが
どの教室にもあったりとICT化に力を入れてる
・自分で買ってそろえている
・視覚と聴覚を刺激するアプリを入れている
・YouTubeの動画をダウンロードして学生用に必要なところを
カットして編集してビデオを見せている。
・Bluetoothスピーカーとスマホのプレイリストで
聴覚を使った授業を実践
・本当に効果があるの?と疑問視する声もある

●ICT化を歓迎・抵抗する人側の存在
20代30代の日本語教師の方々はデジタルツールに慣れていて、ICT化を歓迎する方が多い一方で、
それを使いこなせない40代、50代以降のの本語教師の方々がいるのも事実、
実際tayocafe参加者の方々の声で
「専任側はコスト、業務量の削減を目的にICT化を実施したいが、
40代以降の非常勤講師側の抵抗により実施ができない」
悩みを抱えている。





●国内と海外の危機感の違い
海外ではICT化を実施しないと生き残れない学校があるが、
日本国内の場合は、そのような危機感が海外の日本語学校と比べて少ないと感じた。

●意見の総括
・ICT化に対して歓迎・不歓迎の差がある
・教師自身がICT化を購入して個人で実施していることが多い
・アプリやビデオを使って視覚と聴覚を刺激する授業を実践
・海外は生き残りをかけてICT化をするが、日本国内は遅れている印象
・使える人と使えない人の個人差がある


■3.研修ない問題
●実は、研修がしっかりしている日本語学校が少ないのが現状。
一部は2か月間授業の研修をしてから教壇に立つところがあるがそれは少数。
いきなり教壇に立たされて授業をした経験を持つ先生が多かった。

3日や5日研修をして教壇に立たされた学校もある。それなのに専任が入って、
見学に入ると「授業がひどい、今まで何をしてきたの?」と
理不尽に叱られる。

全体的に新人への研修とケアが足りていない。
だったら、なぜ入ったばかりの時に指導をしないのか?

・見学したくても業務量が多くて、他の先生の授業が見れない
専任となると、業務量が多くて
他の日本人の先生の授業を
見学してアドバイスをする余裕がない場合が多い。
だから
、自分の業務を優先してしまい、
新人へのケアとフィードバックする機会がない。

・研修の専門家に外注する
これについて、研修の専門家に頼むなどの外注化したらいいというアイディアが出てきた。
自分でできないのならお金を払って外注するという方法はすごく斬新なアイディア。
お金はかかるが、外部に研修してもらって、実力がある程度つき、
専任側も業務に専念できるので一石二鳥である。


・見学を断られる先生がいる。
見学を断られる理由は「下手な授業を見せたくない、批判されたくない」などの自信がない先生がいる。

・勉強会に参加して授業のやり方を学ぶ方法もある


【私が経験した就職先での研修や見学の実態】
これは私自身の経験談です。
私がホーチミン市の日本語学校に就職した時、
先輩から働き方、授業の全体的な流れ・作り方を1日で説明、
3日間日本人の授業ベトナム人の授業を見学。
それから教壇に立ち授業デビュー
校長先生(ベトナム人で日本語が非常に達者)から
「とにかく、元気に、大きい声で」というアドバイス。

詳しく述べると、
学生は日本人の先生は初めてで、緊張しているので
先生側が緊張したら学生は余計緊張してしまうので
下手でも元気に振る舞うと学生は安心するからとのこと

こうして、1年半N5、N4、N3、N2の会話練習を担当し
今に至っています。


■意見の総括
・研修できない・全然足りない日本語学校が全体的に多い
・業務量が多く、面倒が見れない場合が多い
・見学させてくれない先生が一部いる。
・勉強会などで外部との接触によって授業の方法を学ぶ
・専門家による外注で新人研修をさせるアイディア



3日間ベトナム人と日本人の先生の初級授業を見学して
その翌日に教壇に立った。(幸い、当時はひらがなの授業だったため、1番はじめの学期で1番最初から授業ができた)

校長先生(ベトナム人で日本語がすごい達者)からのアドバイスは
「大きい声で明るく振る舞う」
↑教師自身がそうすることで学生が不安なく授業に集中できるとのこと。


4.日本語学校JLPT塾化問題

・日本語学校が塾化する?
企業側が留学生を雇うときの基準として「JLPT N●級(たいていは2級または1級)」で測っていて、日本語学校も企業の要求に応じてJLPTへの対策授業することに危機感と疑問の声が多かった。

●JLPTのために勉強する人は合格する確率が低い、
逆にJLPT合格を目標とせずに普通に勉強した人は合格しており、
その人たちは日本語の実力が本当に高い。
皮肉にも、JLPTのために勉強した人は2割以下しか合格してない。

●学習者の本当のニーズ
JLPTのために勉強する人は主にベトナムやスリランカの人たちで本当の目的は日本で働いてお金を稼ぐこと。
その人たちにとって「JLPTのために勉強すること」はつまらない。
その結果、勉強ができず実力がつかないのでJLPTに合格できない

■意見の総括
JLPTでは実力が測れない。
また、JLPTは聴解や読解の問題だけしかなく、
それも選択問題(4分の1の確立で適当に正解できる)
会話や面接と言ったものがないので、本当の実力が測れない。
これについて参加者一同「JLPTの内容を変える」というに、納得している。
つまり、BJT(ビジネス日本語能力テスト)やEJU(日本留学試験)といった
用途別に学生の実力を測ったりする必要がある。



5.20代日本語教師少なすぎ問題
●意見のまとめ
・参加者は20代後半から30代の教師がほとんど、
・40代でも若いといわれる日本語学校がある
・給料や待遇が良くても人間関係がよくなければ辞めてしまう。
・20代の先生はまわりにいたけど、生活のために辞めてしまった先生がいる。

などと、若手不足の現状が多く出てきました。

一番印象に残った意見が


「お金に余裕がある先生たちが長い間、
日本語学校でやってきた。
だから、今の問題が発生したのでは」

私はこの意見を初めて聞きましたが、
お金に余裕がある人たち(つまり主婦層、リタイア層)によって
「このくらいで大丈夫ですよ」と今の給与が出来上がってしまった。

しかし、日本語教師一本で生活する人にとって死活問題で
底上げしていかなければならない。底上げするなら、
国内の小学校教師レベルまで上げるのが
ふさわしいのではというのが
私の意見。

 



■おわりに
現在、日本語業界では様々な問題が多く残っているが、
それを改善しようとする同志たちが集まり、風通しをよくしようと踏ん張ってる日本語教師がいます、
働く場所、働き方、年代、性別が違ってもこうやって集まれるのは
ものすごく奇跡!私たちが灯火を照らし、
新しく参入する卵たちのために少しずつこの業界を良くしたいです。

ものすごく長い文量を書きあげましたが、
最後まで読んでいただきありがとうございました。





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