占い師が語る男性心理物語
この物語は創作です
実際に私が占った男性の話をヒントに
小説っぽいものを書いています
「占い師さん、すいませんが
まず身の上話を聞いてくれますか？」
見た感じ、６０代くらいかな？
上品なロマンスグレーで
まじめな会社員といった感じね
若い頃はイケメンだったんだろうな
素敵な男性だわ
「はい、もちろんです
気楽にお話しくださいね」
「ありがとう、実は・・・」
彼はごく普通のサラリーマンで
奥様と３人のお子様に恵まれ
平和な生活を送っていたみたい
奥様とは恋愛結婚で
何の問題もない女性だけど
「あいつはもういいんです」
「・・・というと？」
「すっかり冷めてるから」
奥様を嫌いになったとか
不満があるわけではないけれど
トキメキを失ったという事みたい
「実は不倫してるんです
かれこれ３０年以上になるかな
彼女のことは愛しています」
あ、やっぱりこのパターンね
でも、不倫相手と３０年も続いてるって
なかなかすごいわね・・・
「でも最近、悩んでるんです
不倫やめようかなって」
「そうですか
何かキッカケがあったんですか？」
「実は、娘が出産したんです」
「まあ、おめでとうございます！」
「それが理由でして」
「・・・？」
「孫のことを考えると
おじいちゃんが不倫してたら
かわいそうだと思って」
まご！？
いや、その前に
かわいそうだって思うのなら
まずは奥様でしょうよ
お子様たちだって
良い気持ちはしないでしょうよ
・・・と思うけど私は占い師
ただ占いをするだけでなく
どんな話も冷静に受け止め
お客様の心の整理を手伝うのが仕事
うまく話をすすめないとダメね
「なるほど・・・では
彼女に別れ話をするのですか？」
「そうすべきだと思います
でも・・・俺にはできません！！
彼女は旦那さんにモラハラされていて
俺だけが頼りなんです！！」
「モラハラですか？」
「彼女の旦那さんは凄腕の社長ですが
彼女のことを社員みたいに見下して
暴力は振るわないのですが
言葉の暴力がすごいんです」
なるほど
ヒロインを守りたい
ヒーロー願望
ってやつだわね
よくある話だわ
「そうだったんですか・・・
でも、彼女はあなたと会っている時間は
癒されるのかもしれませんが
モラハラの解決にはならないでしょう？」
「そこなんですよ！
お互い家庭を壊す気はないので」
なんとも中途半端なヒーローね
本当の問題を解決するのではなく
傷ついたヒロインを
一時的になぐさめるだけなのね
たぶん、この男性は
「実は良い事をしている」
「人を助けている」
という感覚があるから
３０年も不倫してたんだと思うわ
逆に言うと
彼女のモラハラ問題が解決すれば
不倫する理由がなくなる
ずっと彼女に不幸でいて欲しい
って願望があるのかもね
その証拠に
彼のホロスコープを見てみると
魚座
「話はわかりました
孫に恥ずかしくない祖父になるべきか
旦那さんにモラハラされてる彼女の
支えになり続けるべきか
という２択で悩んでいるのですね」
「まあ、そうですね
それに付き合い始めたころの彼女は
２０代のやりたいお年頃で
エッチもたくさんしましたが
今はお互いに年を取って
エッチもしなくなったし・・・」
それが本音か
不倫にも倦怠期はあるのよ
長期間にわたって不倫してると
だんだんエッチがなくなっていき
「最近エッチしてないのに
なんで不倫してるんだろ～？」
って思いながらも
別れる理由やキッカケがなく
ズルズル付き合い続ける・・・
これもよくあるパターンよ
「あの、占い師さん
もし俺が別れを切り出したら
彼女はどう思いますか？
それを占って下さい」
「・・・タロット占いによると
彼女はあなたのことが大好きで
別れたくないみたいですよ」
「やっぱりね」
彼は「また進展があったら来ます」
と言って去っていったけど
うれしそうにニヤけていた顔を
私は見逃さなかったわ
おわり
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