「ギャランド博士のメタボリックダイエット」
レオ・ギャランド&ジョナサン・ギャランド著。浮田泰幸訳。講談社刊。
次の項目にあてはまるときには、この本を読むことをお勧めします。
・食事をがまんし、筋トレを続けないと体重が徐々に増えてしまう。
・脂肪を減らすことで痩せようとしたが、思ったように体重が減らない。
・プチ断食をしてみたが、下痢や便秘をして、体調を崩した。
・減量サプリを飲み続けているが、効いているのかどうか判らない。
・ダイエットで痩せる、やがてリバウンドする。これを繰り返している。
・低炭水化物ダイエットで一時痩せたが、リバウンドした。
以下、かいつまんでこの本の内容をレビューします。
ちょっと見慣れない単語が続出しますが、私には目からうろこの
連続でした。
キーワードは「レプチン」
・レプチンとは、1994年にロックフェラー大学のチームにより発見された、
体脂肪の量を脳に知らせる、ホルモン。
・レプチンは、ほかならぬ脂肪細胞が生み出す。
・これまで長い間、体脂肪というのは使われなかったカロリーをただ
しまっておくだけの貯蔵庫と考えられていた。
・だから、食べる量を減らし、からだを動かせば痩せると信じられてきた。
しかしそんなに単純な仕組みではなかった。
・レプチンの発見により、脂肪は不活性の貯蔵庫ではなく、
自分自身の量を適正に保つためのホルモン=レプチンをつくりだす
ことのできる活性の器官だということがわかった。
・体脂肪が適正な水準より増えると、脂肪細胞自身がレプチンを
生成し、脳に食欲を抑えるシグナルを送り、代謝をうながす。
レプチン値が上昇すると、安静にしているときの代謝率があがる
ことがわかっている。
このレプチンが少ないか、正しく働いていないとき(このホルモン
の発するメッセージにからだだ正しく反応できていなとき)
肥満しやすくなる。
このような状態はレプチン抵抗性と呼ばれている。
・レプチン抵抗性が生じないようにできればからだは自然に
適正な体重を保つ。
・レプチン抵抗性が生じるのは、からだのなかに慢性の炎症
が生じているときが多い。からだの炎症を鎮めるような工夫を
すれば、それは減じ、レプチンが適正に機能をはじめる。
・炎症をしずめるには、
①炎症を鎮め、レプチンへの感受性を高める食材を食事に
多く取り入れる。
②炎症を引き起こす材料を食事から外していく。
③脂肪を不自然に減らすのでなく、その種類をバランスよく摂る。
④食物繊維は、炎症を引き起こす毒素を体外に排出する
のに役立つので、多く摂るようにする。
炭水化物を摂るときは、カロリーと引き換えに繊維と栄養素
を多くふくむものを摂るようにこころがける。
⑤からだを動かす。とくに有酸素運動。週に三時間で、レプチン
への感受性が増進することがわかっている。
⑥ストレスを減らす工夫をする。ストレスと炎症はともにコルチゾール
というホルモンを作り出す。そのいちばん手軽な方法が⑤の運動。
コルチゾールは(重要なホルモンだが過剰になると)、
脂肪細胞とくにおなかまわりのそれの成長を促進し、
脳内の食欲抑制信号を消し、血糖値も上昇させるという何重もの
呪いをかける。
①は具体的にはどういう食材かというと---、
フルーツ→ブルーベリー、チェリー、りんご、ザクロ、グレープフルーツなど。
飲み物→ 緑茶。
野 菜→タマネギ、青ネギ、キャベツ、なす、にんにく、しいたけ、ピーマン、にんじん、とまど。
魚→青魚。カレイ、鮭。
ナッツ類他→アーモンド、ゴマ、くるみ。
スパイス類→バジル、ブラックペッパー、ターメリック(ウコン)、しょうが、シナモン、パセリ、
クローブ、コリアンダー、カルダモン。
タンパク質→卵白、無脂肪ヨーグルト。
海草類→ひじき、のり、わかめ、こんぶ。
この本には、この食材を使ったレシピも多数紹介されています。
②は、真っ白に精製された砂糖、小麦粉。
種類の偏った脂肪(とくに肉・乳製品の飽和脂肪とマーガリン
などの変成脂肪を減らす)。
アレルギーのある人はアレルゲン。
食品のカビ。ハウスダスト。
③脂肪は、それ自身が炎症を誘発する強い力をもつものあり、
また摂取のバランスが狂うと炎症を増やす方向にからだを
仕向ける。
意識しないで脂肪を摂ると、飽和脂肪とオメガ6と呼ばれる
脂肪の割合が多くなりすぎるので、オメガ3系の(青魚・シャケ・亜麻仁)
脂肪の摂取を意識的に増やす。
飽和脂肪の摂取は極力へらす。
摂るときは、抗酸化物質や抗炎症物質(上記)と一緒に。
④これは白い穀物からブラウンなものにというのが基本。
⑤この本には、関節に負担のすくないエクササイズが何種類も
紹介されています。
⑥ストレスマネジメントの方法も多数紹介されています。
そしてもうひとつの耳慣れない単語。アディポネクチン。
これも、レプチンと同様、脂肪が生成するホルモンで、
この数値が高いと、
・脂肪の燃焼を促進する
・炎症と闘う
・食欲を抑制する
などの作用をもたらしてくれる。
そしてこのホルモンは脂肪が増えると(脂肪細胞が肥大すると)、
逆に減る。脂肪が減ると、増える。
ブルーベリーやチェリー、などにふくまれるアントシアニン
という色素を摂るとこのアディポネクチンを増やすことができる。
この際、重要単語はすべて引用します。以下、ちょっと込み入っていますが、
無駄な脂肪を増やすことの致命的悪循環を説明するものです。
アディポカイン。
・これは脂肪細胞が作り出すホルモン群。
・脂肪が増加すると増加する。
・これは身体に炎症を引き起し、体脂肪が多いほど、炎症性アディポカインの量がふえる。
・炎症が起こると、(アディポ)サイトカインという化学物質が、白血球(マクロファージ)を呼び寄せる。
・脂肪細胞自体が損傷したときにもマクロファージを呼び寄せる。
・脂肪細胞に取り込まれたマクロファージは炎症性化学物質サイトカインを吐き出し始める。
・サイトカインが細胞に侵入すると、細胞は、炎症に抵抗するための化学物質を放出する。→それがレプチンの働きも阻害してしまう。
・つまり、余分な脂肪はみずから炎症物質(アディポカイン)を産み、マクロファージを介してさらに炎症化学物質(サイトカイン)を放出し、それに抵抗しようとする細胞の働きがレプチンの活動を阻害する。という三重の悪循環に陥る。
骨子だけをご紹介するとこのようになります。
この本にかぎらず、最近アメリカで出ているダイエット本、
健康食関係の本を読むと、ほぼ基本は一緒になってきている印象です。
栄養学の研究が進んだ結果、定説ができあがってきている
のだとおもいます。
続けられるようにという目的で、ものすごく単純化したダイエット法も
ありますが、そのなかで、たとえは「しょうが紅茶」ダイエットなどは、
しょうがの持つ強い抗炎症力を毎日とりいれるという意味で、
上述した根本の理屈に合うもので、効果あることが納得できます。
りんごだけ、バナナだけに置き換えるとか、筋トレだけしておく
というよりも、効果があるだろうと私はおもいます。
「世界一の美女になるダイエット」「同・バイブル」も
書名はすごい派手ですが、内容は、上記と基本は同様の堅実なものでした。
「メタボリックダイエット」のすぐれたところは、
なぜリバウンドするのか、
そのサイクルを根本から断ち切るにはどういう食生活・
生活習慣が必要かを、ごく科学的に説明してくれているところです。
著者のギャランド博士は、ハーバード大学などで医学を
学び、ニューヨークで開業し、豊かな臨床経験をもつ医師です。
「ニューヨークタイムス」が選ぶニューヨークの優秀な医者
によく選出されているとのこと。
最後に、この本の難点と私がおもうところを記します。
・難しい理論を短い紙数で説明しているので、ところどころわかりにくい。
・巻末のレシピはギャランド博士の子息が作っているものですが、
プロの料理人なので、面倒くさがりにはちょっと手順が多いレシピが多い。
・また卵は基本卵白だけを使うレシピが多いけれども、だからって
黄身を捨てるのは抵抗あるなあ。という実感。
・間食を積極的にとるべしとして、そのレシピも紹介してくれているのは
ありがたいのですが、メニュー構成自体が毎食家でつくれるひと以外には
実践できない内容。
ちょっと厳格すぎて、もうすこしゆるくしないと、たぶんつづかない。
(とはいえ、二週間がまんして実践すると、レプチン抵抗性
は大きく下がると著者はいい、私はゆるゆると実践したりなまけたり
しながらでしたが、3~4カ月たったとき、大きな効果が突然でました。
以後リバウンドしていません)。