今日は、先日のブログに頂いたコメントから考えてみたいと思います。


そのコメントは、著名な建築家が設計した病院が非常に患者さんにとって
 優しくない というものでした。

僕も自分の勉強も兼ねて以前はよく 著名な建築家 の設計された病院を
見学に行ったりしてました。
新しい構法を使ったり、高級感のある(実際高価な)素材を使っており、
とても綺麗な建築物です。


でも、それは綺麗な建築物なだけであり、病院ではないように思えました。


綺麗な建物に入るのは気持ちいいし、どうせ診察を受けるなら不潔そうな
病院、診療所よりは綺麗なほうがいい。

でも、綺麗なだけで、患者さんを受け入れる姿勢を感じられない病院、診療所
なら、それは建築家の独りよがりだと思います。


病院、診療所を設計したことがある、または設計ができるのと、患者さんの
立場、苦痛、不安を考えていることは、全く違うんですね。
以前、超有名な建築家が描いた病院の図面を見て、がっかりしたことや、有名な
設計会社が設計した病院のエレベーターにストレッチャー(救急車などから患者
さんを手術室へ運んだりする移動式ベッドです)が乗らないのを見て情けなく
思ったりしたことが何度もあります・・・。


頂いたコメントは、高級感のある滑りやすい床材、辛い体を押して行く遠い
診察室、不便なトイレ・・・。
患者さんの状態を全く考えてないとおっしゃっています。



僕が医院建築においてコンセプトにしている“あなた”を優しく包む医院創り。
ここでいう“あなた”とは、患者さん、医師、看護師、スタッフ、医院に関わる
すべての人たちです。

僕のお客様は、医師であるので、確かに医師も含めた院内スタッフの動線計画
を重点的に考える、お話しすることが多いですが、そこにはそっと患者さんの
目線に立った環境を配慮して含んでいます。
話には出さなくても、当然患者さんを一番に考えたいのです。
でも、クライアントは医師ですので、患者さんのことばかり訴える訳にも。

ここで大切なのは、建築家の配慮、判断によって、その建物はどうにでも(と
言っては言い過ぎかもしれませんが・・・)なるんです。
だからこそ、建築家は直接話には出さなくても、お客様を良い方向へ導かなくては
いけないのです。

高級感のある床材、綺麗ですねぇ、とクライアントの趣味に任せる、合わせる
だけではなく、そっと、患者さんの気持ちになって、滑りにくい素材のものに
クライアントを誘導するべきであり、それも仕事の一つだと思っています。

これが、建築家が勝手に決めていることなら、ただの建築家の独りよがりですもんね。


病院は、規模によっては面積も広いので、なかなかすべてに行き届かない点も
多いでしょうし、少し不便なところもあるでしょうが、素材によるもの、ちょっと
した配慮で回避できる危険なんて、とんでもないです。


僕が医院建築に特化したのは、小さな建物に、必要なもの、いろんな思いを凝縮
できるからです。
病院設計ではなかなかできないことを、医院設計では存分に作り込めます。


ますます、僕の妄想を発揮して、様々な方々の立場、目線を想像しながら良い
医院、診療所、クリニックを創造していきたいと思います。





“あなた”を大切に包むクリニックを あなた に.....株式会社コンフォートボックス