34歳で乳がんになって、もしかしたら自分はもう子供を諦めなきゃいけないかもしれないと思った日から、マタニティマークをつけている人を見るのがとても辛くなった。
治療終了から一年が経ち、抗がん剤で止まってしまった生理が復活し、徐々に今の自分を受け入れることができるようになった。未来の自分に少しだけ希望がもてるようになって、妊婦さんや赤ちゃんを見ても胸がチクチクすることも少しずつ少なくなった。
妊活許可がおりた去年2022年2月。
それからの私は。
凍結していた受精卵を胚移植を繰り返すが毎回着床すらしない。
チョコレート嚢胞の再発。
夫の精巣静脈瘤。
空砲ばかりの採卵。
止められない加齢。
何をしても全くうまくいかない妊活に、乳がん治療中同様に精神がやられました。
不妊治療一年目でそんなに焦って、何年もやっている人はもっと大変なんだよって思われるかもしれません。実際に言われたこともあるし。
乳がんになった時点で焦ってるんです。
不妊治療はしていませんが、34歳の時点から私は妊活のことしか考えていません。許可がおりるのがいつかいつかとそればかりを考えて、再発しないことをただひたすら願って、無事に許可がおりたら最短で妊娠しなきゃと心に決めて。
『病気もしていますし、卵巣機能も低下しています。ホルモン補充もあまり効果がでていないです。ガンの再発のことを考えると補充するホルモンも考えなければいけません。年齢もありますので、ゆっくりしている時間はありません。ひと月休むだけでも妊娠のチャンスはなくなっていくと思ってください』
そんなことを先生に言われたら、焦るのは当たり前です。
去年の夏頃から、またマタニティマークを見るのが辛くなりました。
赤ちゃんを授かっている人を見て、なんとも言えない嫌な感情が湧き上がってくるんです。
『わざわざ見せびらかすように付けなくたっていいのに…』
『不妊治療でうまくいっていない人への当てつけだろうか…』
そんなことを思ってしまう自分が最低に思えて、心底嫌いになっていくんです。
今、自分が妊婦の立場になって思うこと。
マタニティマークをつけるのは赤ちゃんを守るため。
自慢したいとか見せびらかしたいなんて気はさらさらない。
だけど、そんな当たり前のことすらわからなくなってしまうほど、追い詰められながら必死に頑張ってる人もいる。
そうだった自分のことを思い出すと、マタニティマークをつけるのに抵抗を感じてしまいます。
だから、カバンには付けているけれど、普段は中に隠している私。
優先席に座らせてもらう時だけ、そっとマタニティマークを出します。