AI画像生成は、この3年足らずの間に「おもしろツール」から「クリエイティブ制作の中核ツール」へと進化しました。
現在、最も注目を集めているのが Nano Banana(Googleの「Gemini 2.5 Flash Image」シリーズの通称)と Midjourney です。
どちらもデザイナー、マーケター、制作会社、開発者などを主な対象としていますが、技術的・ビジネス的な思想は大きく異なります。
ここでは、プロジェクトに最適なツールを選ぶための実践的・技術的な比較を行います。
Nano Bananaとは?その中核機能
「Nano Banana」は、Googleのマルチモーダル画像生成・編集モデル Gemini 2.5 Flash Image の略称です。
Google AI StudioやVertex AI経由で利用でき、テキストと画像を単一のプロセスで処理できるよう設計されています。
また、会話型の画像編集(マルチターン)、被写体やキャラクターの一貫性維持、複数の参照画像を融合させた構図生成を可能にします。
主な機能と技術的特徴
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会話型画像編集:テキスト+画像の指示で、服装・ポーズ・照明変更や複数画像の合成を行う。文脈を保持した対話的編集が可能。
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マルチ画像合成とキャラクター一貫性:複数の画像要素を自然に融合し、同じキャラクターや照明を維持。
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段階的生成・自己修正機構:Gemini 2.5は画像を段階的に計画し、欠陥を検出・修正する仕組みを採用。
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SynthIDウォーターマーク:生成・編集された画像には不可視のAI識別ウォーターマークが埋め込まれ、出所の追跡やコンプライアンスに対応。
Midjourneyとは?その中核機能
Midjourney は独立系研究チームが開発した画像生成プラットフォームで、独自の美学と強力なプロンプト制御により人気を博しました。
DiscordのスラッシュコマンドやWebアプリから利用でき、V5〜V7と進化を重ね、テキスト理解・画像精度・操作性を向上させています。
主な特徴
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パラメータ制御が豊富:スタイル、カオス値、アスペクト比、シード、アップスケーリングなどを細かく指定可能。
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プロンプト&リミックス機能:生成結果を再編集(バリエーション・アップスケール)しながら直感的に作品をブラッシュアップ。
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バージョン管理とモード選択:Draft / Turbo / Relaxなどのモードで、速度・品質・コストのバランスを調整可能。
比較表:Nano Banana vs Midjourney
| 項目 | Nano Banana (Gemini 2.5 Flash Image) | Midjourney (V7 + エコシステム) |
|---|---|---|
| 主な利用環境 | Geminiアプリ、Google AI Studio、API | Discordボット+Webコンソール |
| 強み | 会話型編集、マルチ画像合成、自己修正 | 芸術的出力、プロンプト制御、コミュニティ性 |
| キャラクター一貫性 | 高い | 良好(工夫が必要) |
| ウォーターマーク | SynthID(不可視) | なし(メタデータ依存) |
| 最適用途 | 写真編集、アプリ統合、自動化 | コンセプトアート、スタイル重視の創作 |
| 料金体系 | APIトークン制、Gemini Proなどの一般向けプラン | サブスク制(Basic〜Mega) |
写実性の比較
Nano Banana
写真編集・フォトリアル生成に特化。
被写体の顔や光の整合性を維持しつつ、服装変更・物体挿入など自然な加工が可能。
「現実にありそうな構図」を優先して設計されているため、リアルな写真ベース編集に強い。
長所:
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写真からの自然な編集精度が高い
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被写体の一貫性が高い
短所:
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光や極端な角度では微妙な違和感が残る場合も
Midjourney
V7でリアリズムが大幅に改善されたが、根本はスタイル表現・芸術性に強みを持つ。
写真風にもできるが、映画的・絵画的トーンが得意。
被写体を正確に維持した編集にはやや不向き。
一貫性の比較(Consistency)
Nano Banana
同一キャラクターや背景の一貫性を保持するよう設計されており、複数シーンで同じ人物を維持する用途に最適。
例:プロダクト撮影、シリーズ画像制作。
Midjourney
スタイルやムードの一貫性は得意だが、同一人物の維持には手動調整が必要。
シードやリファレンス画像を使っても微妙な差異が出ることが多い。
生成速度の比較
| 要素 | Nano Banana | Midjourney |
|---|---|---|
| 応答時間 | 多くのケースで30秒未満(会話型編集向け) | 9〜22秒程度(モードと負荷による) |
| 操作性 | 対話的編集に最適 | 生成→再生成型で対話性は低い |
料金・アクセス性
Nano Banana(Gemini 2.5 Flash Image)
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約 $0.039/画像(1024×1024) と低コスト
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CometAPI経由ではさらに割安(約 $0.0312/枚)
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API連携・自動化に最適
Midjourney
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サブスク制:Basic($10/月)〜Pro($60/月)
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高度な利用にはMegaプラン
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自動化APIは非公式(CometAPIが対応)
結論:どちらを選ぶべきか?
| 優先する要素 | 推奨AI |
|---|---|
| 写真編集・一貫性・API統合 | Nano Banana / Gemini 2.5 Flash Image |
| 芸術的スタイル・創作探索・コミュニティ性 | Midjourney |
多くのチームにとっては、両方を併用するのが最適です。
Midjourneyでコンセプトやムードボードを作成し、Nano Bananaでブランド適合・実用レベルの最終画像を生成する、という流れが理想的です。
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