教科書のLesson1の最初に、StarterというReadingパートがあります(New Crown)。僕は読むことの指導が苦手ですが、去年から、それなりに頑張って研究をしてきました。今回は、3年生では「Stand By Me」と「True Colors」という二つの楽曲の紹介記事を読む、2年生では、「Peter Rabbit」と「Sherlock Holmes」という二つの物語の紹介文を読む、というものでした。

 

2年生には、まだパラグラフ・リーディングを教えていないので、新出語句を確認した後、本文をアニメーション付きの音声で聞き、その後T/FクイズやQ&Aで少しずつ理解をします。

 

(T/Fは、1回尋ねて、分からなければそこを読むという目的意識を持たせ、もう一度読んでから再度問うようにしています。Q&Aは、一通り読んだ後に、内容を確認する意味で行っています。)

 

そのあと、日本語の穴埋めをあらかじめ用意しておき(配布はしない)、スクリーンに表示して、生徒と一緒に、そこに入る語句を確認していきます。そのようにして、文章全体の内容を理解していくようにしています。一文一文を日本語に訳す指導は、数年前から一切していません。そういう読み方を教えても、目指す力は身につかないと思っているからです。

 

まあ、2年生はこんな感じです。

 

3年生は、T/Fクイズあたりまでは2年生と同じ感じですが、すでにパラグラフ・リーディングを教えてあるので、段落ごとに、主に述べられている情報を、全体で一緒に共有していきます。個人で読む時間を5分くらい、友達と共有する時間を2分くらいとって、徐々に理解を深めていきます。その後、全体共有して、内容を整理していきます。

 

このように、段落ごとにどんなことが話題になっているかを、途中で解説や日本語訳を入れずに、文章全体を読ませながら確認していくようにしています。

 

これが正しいのかは、分かりませんが、読む力は付いているような気がしています。

 

 

このような読み方を進めていくためには、「分からなさに耐える力」(ネガティブ・ケイパビリティーという言葉でいいのでしょうか?)が必要だなと感じています。

自分が担当する生徒たちや、僕自身の息子の姿を見ていても感じることなのですが、最近の子どもたちは、すぐに結果や効果を期待しすぎているように感じます。情報でもなんでも、すぐに手に入る時代。自分がしたいと思ったことを、さほど苦労せずにできてしまう時代。そんな中を生きている子どもの中には、すぐに結果や答えや成果が分からないと、嫌になってしまう子が多いような気がします。

 

しかし、英語という、日本で生まれ育ってきた子たちにとっては未知の言語を前に、「分からない」は当たり前であって、「たとえ分からなくても伝えようとする」とか、「お互いに理解しようと努力してコミュニケーションを取る」とかいうことが、絶対に必要不可欠であると思うのです。そういうマインドを、英語の授業で育てていかないといけないと思っています。

 

もちろん、「分からなさ」は、英語以外の教科でも存在します。数学でも理科でも、分からないことはいくらでもある。でも、特に英語は、身の回りに、英語から日本語に「誰かが訳してくれて」存在しているし、パソコンでもスマホでも、すぐに翻訳ができる時代です。分からない英語が、即座に日本語になる。そんな環境にいては、「なぜわざわざ英語を学ぶの?」と思うことも、「さっさと日本語に訳せば内容が分かるのに」と思うことも、当然でしょう。そう、当然の世の中だと思うのです。

 

 

でも、そうではない。コミュニケーションとは、「分からなさ」の中を、互いが協力して距離を縮め、理解していくことなのではないか。そうやって、初めて知り合った人と仲良くなっていったり、互いのことを深く知っていったり、自分の考えを相手に理解してもらったりしていくものだろう。と思うです。

 

だから、英語は、言語を学ぶだけではない。コミュニケーションの力を付けるのだ。それには、「分からなさを耐える力」が必要だ。

 

 

そんな考えもあり、日本語で意味が分からなくても、全訳をしたりせずに、少しずつ内容を理解していくようにしています。すぐ「分からない」「難しい」「(´・д・`)ヤダ」という生徒は、確かにいますが、1年もそういうことを僕がやっていくと、それがだんだんと当たり前になり(諦め?)、英語の授業ってこういうもんなんだな、と思ってくれるのか、だんだんと読み方を身に付けるようになります。すごいことだなと思います。

 

でも、これを続けるには、僕自身に最も「分からなさを耐える力」が必要なんですけどね(笑)。生徒がついてきてくれるか、正直分からない、つい日本語で教えたくなってしまう、つい訳したくなってしまう…そういう気持ちを「持ち堪える」ことが、英語教師には必要なのだと、言い聞かせながら頑張ります。