ジェイは去ってしまった。



ジェイと過ごした日々は夢のようだった。

あの楽しい日々は、もう、本当だったのかも分からない。


今は何もかもが虚しい。





ジェイと過ごした学校も、家への道も、

一緒に買い物に行ったスーパーも、

そこら中にジェイとの思い出がいっぱいで

どこにいてもジェイを忘れる事ができない。


どこにいても涙があふれそうになる。

家に帰っても時間が止まっている。




わたしの人生って何なんだろう。

大好きな彼が亡くなり、

もう誰も好きになれないと人生を諦めて結婚して、

離婚して、

突然大好きになる人が現れて、

そしてすぐに別れ。



わたしはゴールの見えないイバラの道にいる。

この痛く苦しい迷路はいつまで続くのだろう。


もしかしたら、わたし自身を180度変えないといけないのかもしれない。

そうでもしなければ、一生この迷路から抜け出せないのかもしれない。


それとも運命なのか・・。



幸せはまだまだ遠かった。







ある日、アルバイトを探すことにした。

学校が終わった後の、長い辛い時間を埋めるため。

お金はどうでも良かった。

何かで忙しくしていたかった。

ジェイはいっぱい電話すると言ったけど1ヶ月1度も電話は来ない。

何度も何度もジェイに電話したい思いを抑えているのにも疲れてきていた。





すぐにアルバイトは見つかった。

家からバスで30分。

学校が終わってすぐバイトに向かい、仕事が終わって

家に帰るのは夜12時。

バイトのある日は疲れてジェイのことをあまり考えずに済んだ。



アルバイト先で日本人の女の子と仲良くなった。

彼女には白人の彼氏がいた。

ある日、その彼氏の家にわたしも招待された。



彼女の彼は10歳年下の19歳。

若い。


その彼は父親と住んでいた。

彼の父親は40歳。

離婚して、息子と2人住まい。





父親のエドはわたしに興味を持った。



エドは年のわりにふけて見える。

そして人生に疲れているような悲しげな表情をしている。

留学して3ヶ月、ほとんどの日々を日本人と

過ごしていたわたしには英語の勉強をする

チャンスだった。



英会話をするチャンス、たったそれだけの理由で

エドのデートの誘いにOKしてしまった。







また新たなイバラの道であることに気付かずに