皆さま、2022年あけましておめでとうございます。
昨年のカムカムは、
3月に奈良にて、
しめんげき「しんとく丸」「マヤゴロー」「がごぜ」
7月に四日市にて、
リーディングしめんげき「スワン・ダイブ」
8月9月に東京、札幌、大和郡山にて
本公演「サナギ」
を上演させていただきました。
コロナ禍真っただ中にご来場してくださいました多くの皆さまに、
あらためて心より感謝申し上げます。
本当は秋にもう一本何らかの上演ができないか模索していたのですが、
もろもろの事情によって、
というか、コロナのことですが、
実現するに至らず、
いつもの密度からすると、
下半期はやや活動休止期間が続いた印象です。
演劇を取り巻く状況は依然として厳しいものがあります。
上演の計画がとん挫した話もよく聞きますし、
話題の演目を見に行っても空席が目につきます。
新しい企画も減ってるでしょう。
繰り返された中止、延期による経済的疲弊、
そしてそれがもたらした客離れから立ち直るには、
どれだけの時間が必要なことか。
一括りに娯楽と言ってしまえば、
いろんなモノがありますが、
その中でも、
演劇が特化してなしうるものは何なのか。
好きな時間に家で見たり聞いたりするものと何が違うか。
わざわざ劇場に決まった時間に足を運ばねばならない。
しかも明らかにチケットの値段が実感として高い。
にもかかわらず、
演劇体験が貴重であるということを、
娯楽全般としては括りきれないその価値を、
言葉にし、行動で体現していかないといけない。
特に我々は劇団ですから。
演劇を標榜する専門集団ですから。
そういうことをあらためて考え、
実践していく年にしたいと思います。
それは二つの柱をもつ課題です。
一つの柱は作品の内容。
「サナギ」はある種、そこは鋭角な攻めの姿勢で、
かなり、わけがわからないという声もいただきましたが、
我々が目指すものは、
わかりやすくとっつきやすいものではなくて、
演劇でしか成立しない作品、
そして
観客の皆さんが経験したことのない体験です。
見た方のわからなさが不愉快であるのは我々の未熟の証です。
そのわからなさが愉快になる方法をさらに摸索せねばなりません。
そういう課題を突き付けられた作品でもありました。
二つ目の柱は、企画の内容です。
特にこれは本公演よりも色んな意味で身動きがとりやすい
「しめんげき」や「リーディング」
などの小企画において、
様々な試みを打ち出していけると思っています。
中でも重要視しているのは、
都市部以外へ地方展開です。
我々の持つ考え方、作風を核にして、
演劇による一つのコミュニティを地方に作っていくこと。
コミュニティという言葉が大袈裟なら、
たまり場、居場所、趣味仲間のサークル、
そういうもので十分です。
演劇のプロになろうとする人、
プロの演劇を見に行く人、
これら以外の人達にも演劇との出会いが劇的に作用することは大いにあります。
私達はそういう方々と、うちの演劇観の相性がいいと思っています。
ワークショップ、講演会、交流会。
自分たちの上演。うちの劇団の上演。
混成メンツでの上演、などなどなど。
全体として、持続するひとつの祭りです。
そこから何かを目指すのではなく、
その過程自体が、
日々の暮らしの血となり、肉となっていく。
そういう形での演劇という体験、演劇というモノの認識。
それを届ける演劇の専門集団でありたい。
我々はいくつかの町でそういうことを十年規模の時間をかけて開拓してます。
当然時間がかかるんです。
そういう意味で、公共以外では劇団でしかできません。
また商業的発想ではないので、
これは完全に人の縁を頼りに、それを広げていくことでしか進みません。
この、縁頼み、ということ自体が貴重だと思っています。
が、最初の縁が一番難しい。
転がり出せば縁はどんどん繋がっていくのですが、
最初の一歩。
これを何とか見つけ出して、いくつもの知らない町に繋がることが目標です。
まだまだ誰かの故郷であるとか、
もともと縁のあった地でしかなかなか展開できてないのですが、
今年はぜひ一つでも新たに展開できればなと思っています。
そんなこんな、
コロナで演劇やめるかってところまで追い詰められてる多くの人にとっては、
何言ってるんだ?って内容かもしれません。
実際うちもまた公演一回やるのに四苦八苦の年になるかもしれません。
この状態が延々続くとどこで息切れするかもわかりません。
ただ、嘆き続けていても変わらない。
劇団ですから、劇団でしかやれないこと、
作品と売り上げと評価だけではない取り組み、
こういうことに敏感でいたいってことを、
年頭に書いておこうと思いました。
カムカムミニキーナ公演は夏に新作を予定しています。
今のところその一公演だけです。
他にも企画が増えるよう頑張ります。
もっとやれることはあるはずだと、
日々考えています。
2022.1.2 松村