ベトナムに住み始めて間もない頃は、街を歩いていると

「ヘイ!アジノモト!」

と度々声をかけられた。

歩いているだけで、日本人とわかることも不思議だった(後にバレなくなりました。笑)が、

「ヘイ!アジノモト!」って!

振り向くと、満面の笑みで

「アジノモト、ナンバーワン!」

と親指を立てて笑って行ってしまう。

ナンバーワン、つまり、サイコー!ってこと。

アジノモト=日本のもの=日本人の発想で、日本人である私に敬意を表してくてれているようなのだけれど。

 

 ベトナムの化学調味料愛用度はかなり高い。

市場にもスーパーにも、「味の〇」と漢字で書かれた1キロ入りの袋が

塩よりも広い面積で陳列されている。

 

 

麺の屋台では、おじさんが慣れた手つきでスープを注ぐ前のどんぶりに

カレースプーンで山盛りの白い粉をドサッと。

日本ではパラパラと使うイメージがあるけど、

精製度が低いから量が増えるのかな、

いやでも日本の技術が入っているはずだからそれはないか、とか謎は深まる...

 

 私が担当していた日本語のどのクラスでも必ず誰かが話題にする。

「センセー、アジノモト、オイシーデスネー!」と。

「私は食べません」と答えると教室からどよめきが起こる。

日本人なのに?日本人じゃないのか?なぜ?

しばらく化学調味料の話、ダシを取る話などで盛り上がる。

みんなアジノモトが大好きで魔法の粉と崇めているものの、

「たくさん食べると頭の後ろが痛くなります」という生徒もちらほら。

そもそもたくさん食べるものではないはずなんだけどなーと思いながら話を聞く。 

 

 

私に料理を教えてくれていたベトナム人の友人に

「化学調味料を使わないで作りたい」と言うと、

それは無理、と自信に満ちた顔からたちまち笑顔が消えてしまった。

後日、日本から持ち帰った昆布を使い、ベトナムのスープを再現した時の友人の驚いた顔が忘れられない。

 

店の棚を埋め尽くすキラキラ光る白い結晶は今も健在だろうか。