最近やる気がでてきたAさん。テキストを変えたことが良かった。音楽が生き生きとしてきたし、何よりも弾いているときに楽しそうである。実は伸び悩んでいた。ここしばらく辛かったに違いない。弾けないから弾きたくない。それでも根性を出して弾こうとする。毎回、何ヶ所も同じところでつまずくのである。もちろん、レッスンのおりには、そこを取り出し、反復して一緒にトレーニングするのだが、家に戻るとできなくなるようだ。

 

 入会時に楽譜を読めるようになりたいという本人の希望があったので、テキストには「ヘ音記号」がついた3段楽譜を使っていた。音符にカタカナをふって、そのカタカナを見て弾いているようだった。いつか体が覚えて楽になるだろうと考えていた。しかし、そこを乗り越えることはなかなか困難だった。鍵盤楽器の経験がなく、60歳を越えてからの習い事である、苦しむのはやめようよ…と、もう一人の私がささやいていた。


 ある日のこと、「相談があります、テキストを変えたいのですが、どうでしょうか」と、コード付メロディ譜を目の前に置いた。1段楽譜である。伴奏はコードネームだけである。まず、復習で「C」と「G7」だけおさえてもらった。楽勝である。Aさんはニッコリして次の私の指示を待っている。「C」と「G7」で弾ける曲でメロディは少々難しいのを選んでみた。付点4分音符と8分音符、これが続くと正確にメロディのリズムがとれなくなる。付点がつくと意識が強くなり長すぎるのである。それでも「和音付け」で弾いているうちは何とか格好がついた。次に伴奏の形を変えた。もうアレンジの勉強になっている。何とか弾けている。次は「F」を使う曲が待っている。 ある時、STAGEAのレジストレーションメニューから音色を選んでみた。きちんと弾けるとリズムが使えるので楽しい。ご本人もご機嫌である。


 60歳からの初心者には「プログラム学習」が良い。少し努力すれば満点が取れるというプログラムである。そのうち、だんだんとハードルを高くしていく。テキストを購入してしまうと、それを終了したいということがある。本来、テキストはプログラム学習用に作られている。しかし時にはテキストの見直しも必要である。一人ひとりのプログラムが大切であるということは言うまでもない。



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