ドラマ「silent」をきっかけに、手話に興味を持っている方もたくさんいらっしゃるようです。

youtubeでも、いろんな解説動画があがっていて、とてもわかりやすく説明してくれていますね。

 

私は、手話の実力はまだまだなので、字幕が無かったら1回で読み取ることはできません。

巻き戻すこと3~4回、いや4~5回くらいかな?繰り返し見て、ようやく理解できるくらいです…。特に、夏帆さんと友人役の那須さんの会話シーンは、手話が早くてなかなか読み取れないです(><)

なので、解説動画にもお世話になりながら、毎回勉強させていただいています。

 

 

そういう解説動画を見ていただくとわかると思うのですが、ドラマの中で表している手話と、画面に表示されている字幕とでは、若干の違いがあります。

これを、「表現している手話を、字幕ではこんなふうに意訳してある」と解説している動画が多いように感じますが、そうではなくて、先に日本語の台本があって、それを手話に訳しているために起きている現象だと思いますね。

 

 

例えば、第2話。

紬ちゃん(川口春奈さん)が落としたイヤホンの値段を、奈々ちゃん(夏帆さん)がスマホで調べて、「4万円くらいだね」と想くん(目黒蓮さん)に告げるシーン。

想くんが「4万?イヤホンで?」と驚いた後、次のセリフは字幕では「そんなにする?」となっていましたが、手話では「ホントに?」と言っています。

 

「そんなにする?」という日本語をそのまま手話に訳そうと思ったら、「する」という部分を「値段が高い」という言葉に置き換えて、「そんなに」の部分のニュアンスをくみとって、「ホントにそんなに値段が高いの?」みたいな文になると思います。

でも実際の会話の中では、もっと簡潔に、「ホントに?」で済んでしまいますよね。

 

もし手話が先にあり、それを字幕用に日本語に訳したとしたら、「ホントに?」という手話に対して、わざわざ文脈を補うような「そんなにする?」っていう日本語はあてないんじゃないかなぁ。

だって、「4万円くらいだね」「4万?イヤホンで?ホントに?」でも、十分あのシーンの会話は成り立つと思うから。

 

外国映画の場合みたいに、先に外国語があって、それを字幕用に日本語に訳したのとは違う。先に字幕用日本語があって、それを手話(外国語)に訳したってことなんですよ。

だから、手話がわかる人にとっては、「手話監修の方は、台本の日本語(字幕のセリフ)をどう手話に訳したのかな?」と考えながら見るのも、とても興味深いです。

 

 

ちなみに第6話の奈々ちゃんの名言、「プレゼント使い回された気持ち」の部分は、手話では割とストレートに表現されています。

 

でもね、手話初心者の紬ちゃんが、あの表現が理解できたとは思えない。「プレゼント」という単語を知っていたとしても、あの比喩表現を読み取るのは、かなり難しいと思います。

普通なら…、「え、”プレゼント”って言った?何なに??何の話??」ってなるんじゃないかと思う。「比喩表現だ」って、わからないと思う。(実際紬ちゃんは、え…っていう表情になっていましたもんね)

 

その後の夢の話のくだりも、紬ちゃんはきっと、奈々ちゃんが何て言っているか、全部はわからなかったと思う。

でも、奈々ちゃんの表情や雰囲気から、奈々ちゃんが何を言わんとしているかは理解したと思う。奈々ちゃんの悲しみも切なさも、紬ちゃんはきっとあの表情や眼差しや手の震えで理解したんだと思う。

一般視聴者の皆さんも、仮にあのシーンに字幕が無かったとしても、奈々ちゃんの気持ちは何となくわかったでしょう?

 

それを視聴者に納得させる、夏帆さんと川口春奈さんの演技力が素晴らしかったなぁ、第6話。

 

 

普段は、リアルタイムで見た後、すぐにTverで手話部分の復習をしたりするんだけど、第6話を観た後は何だか苦しくて…。1日おいてから、ようやく「追いsilent」できました。

 

今このブログを書くために、もう一度あのシーンを見返して、もう一度うるうるしちゃったもんね、私。