PSYREN -サイレン- ☎ CALL145  "繋がる世界„


COMBAT BOOK-PSYREN

【PSYREN -サイレン-】  著 岩代俊明


見覚えのない場所で目を覚ます、アゲハ。

鳴っている電話をとってみると、それはサイレン世界にいる07号からだった。


07号は、アゲハたちが去ったあと、天戯弥勒とグラナの命を張った行動によって、

サイレン世界が救われたことを告げる。


さらに07号を通じ、自分を含めた仲間達も全員が無事だ、と報告するカイル。

天戯弥勒が創りだした生命の欠片が、世界にいい影響を与え、世界の姿までが

変化したと話す。


自分はすでに死んでいるのだと思っていたアゲハに、今は脳に深いダメージを

負って、眠っているだけだと説明する07号。

この電話は、そんなアゲハの目を覚まさせるためのものだった。


07号の元に集まり、アゲハに一斉に声をかけるサイレン世界の生存者たち。


その声で目を覚ましたアゲハは、自分の病室に集まっていた皆に迎えられる。

全員がエルモアの予言で目覚める日を、予め、知らされていたのだった。


自分が半年ものあいだ、眠っていたことを知るアゲハ。

W.I.S.E(ワイズ)は姿を消し、世界の歴史は明らかに変化しつつあった。


そして、「やらなきゃいけないこと」がまだあるとして、雨宮と夢喰島に向かうアゲハ。

上陸後、地下の施設に侵入し、07号が閉じ込められている部屋の扉を開ける。


「ずっとずっと遠くのお前と───— 俺達は繋がっていたんだ」

だから ちょっと早いけど 助けに来たよ


突然現れた、見知らぬアゲハたちに不審な表情を見せていた07号だったが、

最後には、2人に向けてやさしく微笑むのだった。


                        □

【PSYREN-サイレン-】、全145話完結!

うーん、いい最終話だった!


物語終盤、明らかにストーリーの進行が速くなって、

予定されていただろう展開が、たくさん削除されちゃったんだろうなあ、

というのが、はっきりと分かったけれど、

それも、この最終回を描きたかったから敢えて急いだのかな、と感じられた。


それくらい、すごくいい終わり方だったと思う。


アゲハの意識の中にかかってくる、公衆電話。

そもそもサイレンという物語の始まりも、公衆電話からだった。

キーアイテムも、ずっとテレホンカード。


それがしっかり最後に、ここに繋がってくるとは!

うーん、お見事。


そういえば、サイレン世界の07号と、現代の天戯弥勒を繋いだのも

サイレンのテレホンカードだった。

アゲハが初めてサイレン世界に飛ばされたときも、携帯電話から

聞こえてきた声は、

「───・・・世界は・・・ つ・な・が・る・・・」


救出された07号が、天樹の根から立ち去るとき、最後に言っていたのも、

「"人„とは──・・・ 誰しも繋がっていたいのだ そうやって 世界は繋がっていくのだ」

という言葉だった。


しっかり、あちこちにキーワードが込められていたんだなあ。

うーん、すごい。


「例え これが今生の別れだとしても 私達は繋がっているぞ 夜科アゲハ」


07号の最後の言葉と、みんなと一緒にいるときの笑顔もよかった。

サイレン世界には太陽の光が射して、緑が生えるようになったみたいだ。


最後にサイレン世界を救ったのは、天戯弥勒とグラナだったみたい。

天戯弥勒は己自身を力に変えた、てことだけど、アゲハにやられ、

ミスラに分解されたあの状態で、まだ『ウロボロス』を破壊できるくらいの力が

あったんだろうか。


最後に2人が地下へ向かったのは、地中に進入しつつあったウロボロスの先端部分から

一気に破壊しようとしたから、ということなのかな?


病室のシーン。

きっと、アゲハの治療にもっとも活躍したはずの、イアンの姿だけがない

というのが、逆にすごくイアンらしいなあ、と思った。


あとはやっぱり、エルモア・ウッドの子供達のリアクション!

ああ、やっぱりこの子供達の活躍する場面をもっと見たかったなあ・・・。


というか、子供とアゲハたちだけで、もう1回、別のお話を書いて欲しい!


PSYREN -サイレン- ☎ CALL144  "生きろ„


COMBAT BOOK-PSYREN

【PSYREN -サイレン-】  著 岩代俊明


今週も本当に、エピソードの展開が速かったなあ・・・・・・。

追いかけるほどのストーリーがなかったので、今回はこ今エピソードの時点で

はっきりと明らかになった事実や、気になっていることなどをあげてみる。


■天戯弥勒

ミスラが死亡したことで、新しい世界を創ることが不可能になった天戯弥勒。

今回のエピソードでアゲハ曰く、

「お前がこれまでしてきたことを 俺は許すことはできない」

ということだったけど、では今の時点で天戯弥勒がどれくらいの罪を重ねて

いるのかなあ、と改めて考えてると・・・・・・。


まず、施設脱出の際に、『グリゴリ』職員を全員抹殺。

それから、『はるかぜ学園』の職員、経営者を密かに殺害。

資金集めのために犬居清忠を利用、後に殺害。

グラナと対決した青森の八戸自動車道で、死傷者が80名以上。

追跡してきた自衛隊員を、ことごとく殺害。

政府の研究所職員、及び警備についていた自衛隊員を遊坂(ゆさか)が全員殺害。

『グリゴリ』唯一の生き残り、射場(いば)公一を殺害。

日本の各主要都市を破壊。


むむ・・・・・・。

うーん、今の時点でもう充分、重大犯罪者だぞぉ・・・・・・。


遊坂じゃないけど、『世界の変革者』じゃなく、もう今の時点で完全に『大量殺人者』のほうだ。

これは逃がさずに、マツリ先生、影虎、カブト、雨宮で捕まえておくべきだったかも・・・?

雨宮さえいれば、全員捕まえられた気もするし。


■自衛隊の砲撃

山の中ですごい爆発が起きる中、ふと思った。

あれ?カプリコは大丈夫なのか?


ジュナスも、少しは心配してあげていいよね・・・・・・?


■ウロボロス (クァト・ネヴァス)

ミスラはいなくなったけど、よく考えたらウロボロス自体はそのあとも地球に向かい

続けているのかな?

夜科朱鳥によると最初は衝突する確率が、「400万分の1から、450万分の1」

ということだったけど・・・・・・。

まだ、危機が完全に去ったとは、いえない・・・・か?


■サイレン世界

やっぱり、どうしても気になるのは、未来(サイレン)世界のその後。


前回思いついたのは、現代にいるはずの07号を救出して、もう一度あの時代に

連れて行ってもらう、というものだったけど、今回のエピソードでミスラがあっさり

死んでしまったことで、W.I.S.E(ワイズ)が地球を崩壊させる未来は

すでにもう、なくなってしまった。


つまり、今の時代の先には、あの未来の世界はもうないわけだから、

例え未来にいける能力をもったサイキッカーが、現代にいたとしても

あの時代には、もう行けないはず。


うーん、これだと絶望的だなあ、と思ったけど、そこでちょっと思いついた。


そもそもあのサイレン世界では、アゲハもマツリ先生も影虎も、行方不明のままだった。

それは、『過去の時代の時点でサイレン世界に向かっていたから』

というのが理由だったことは、もう判明している。


ということは、まだ生きていたはずだ。


もっと言えば、あのサイレン世界には、アゲハもマツリ先生も、雨宮も、影虎も、

朧も、飛龍も、タツオも、実はまだ生きている可能性がある。


アゲハたちが現代に帰ったあと、サイレン世界の彼ら(もちろん10年後の姿)が登場し、

世界を救っている、というのはどうだろう。


ギリギリの登場になったのは、そのための準備を全員でずっとやっていたから、とか。

うーん・・・・・・可能性としてはありえなくはない・・・・・・かなぁ。


PSYREN -サイレン- ☎ CALL143  "道を„


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【PSYREN -サイレン-】  著 岩代俊明


『約束の涙』を手に入れたミスラは、早速それを体内に取り込む。

ウロボロスの欠片と1つになったことで、これまでは声しか聞くことができなかった

『クァト・ネヴァス』を身体で感じることができるようになり、涙を浮かべて喜ぶミスラ。

しかしすぐに、離れた場所にいる天戯弥勒の様子がおかしいことに気づく。


姉の記憶を見せられ、自分が騙されていたことを悟った天戯弥勒。

そこに、「目的は達成した」と語りながらミスラが現れる。

普段と変わらない様子で、早くここから離脱しようと話し、無邪気な表情を見せるミスラ。


その言葉に笑顔を見せながら天戯弥勒は、なんのためらいもなくミスラを攻撃する。


「人間をやめたわりに よく喋るじゃないかミスラ」


グラナとジュナスに「手を出すな」と命令し、1人で自分を騙していたミスラを

殺そうと、PSY(サイ)を発動する天戯弥勒。


自分の企みがばれていることを知ったミスラは、ついにその正体を現し

取り込んだ『クァト・ネヴァス』を開放する。

そして、天戯弥勒の攻撃を完全に防いだミスラは、そのまま天戯弥勒とアゲハに対し

一気に攻撃を仕掛けてくるのだった。


                        □

そうか。

『かがり火』の異名は、ウロボロスを導く、という意味でもあったんだなぁ。

気づかなかった。


光の樹で貫かれたアゲハは、思っていたよりもずっと重傷。

だから、CURE(キュア)能力者不在は心配だって言ったのに!


天戯弥勒の攻撃は、アゲハであれば避ける(破壊する)こともできただろうし、

ノヴァ化して先制攻撃すれば、一気に倒すこともできたんだろうけど、

07号の意思を理解し、テレホンカードを天戯弥勒のPSY(サイ)の中に溶け込ませる

ために、わざと攻撃をうけたのかな?


戻ってきたミスラを前に、まだまだ自信満々な天戯弥勒。

そういえば、アゲハが見てきたことの中には、ミスラの戦闘シーンはなかったからなあ。


とはいえ、ジュナスとグラナに「手を出すな」はさすがに言い過ぎで、

そんな自信満々なところが、すごく天戯弥勒らしいとも思った。


あれだけ騙されていて、まだ、『自分中心に宙が廻っている』と言えるんだもんなぁ。


                        □

攻撃の中から、2人が無傷で現れるのを見て、驚くミスラ。

『ノヴァ』化したアゲハは、ミスラの攻撃をすべて遮断してしまっていた。


アゲハの力に驚きながらも、傷を負った今の状態でその力を使いつづければ

危険だと冷静に指摘する、天戯弥勒。

しかしアゲハは、「関係ない・・・!」と一蹴する。


「俺が 皆の為に道を拓く」

それがこの力を持った 俺の責任だからだ


ミスラが攻撃する中を、構わず突撃していくアゲハ。

複数の『暴王の月(メルゼズ・ドア)』を同時に開放すると、ミスラの身体を一瞬にして

破壊してしまうのだった!


                        □

あのミスラにとっても、『ノヴァ』化によって生まれた力の強さは、ちょっとした

予想外だったみたいだ。

ということは1番の功労者は、実は父の夜科朱鳥だったのかも知れないなあ・・・・・・。


それにしても。


『約束の涙』を奪われる。

ミスラ登場。

天戯弥勒、正体を指摘。

ミスラ、正体明かす。

全力攻撃。

アゲハ、『ノヴァ』化。

アゲハと天戯弥勒が共闘。

そしてミスラ撃破。


と、今回のエピソードで、物語が一気に進展。

しかも、こんなことがあるんだろうな、となんとなく予想された展開を、今回だけで

全部やっちゃっうという、すごく早い展開だ。


現代世界に帰ってから(あるいは、それより前から)、かなり意図的に

エピソードの進む速度が早くなっているのは、誰の目にも明らかだけど

これがどういう理由からなのか分からないのが、1番心配なところ。


サイレン世界での最終決戦が、思っていたより読者からの評価が伸びなくて、

このエピソードそのものを早く完結させて、次の新しい展開を少しでも早く

開始させたい、ということなのか。


それとも、連載そのものが終わるのか・・・・・・?


うーん、新章に向かうための急展開だと思いたいけど、どうなんだろう。

たとえば、カブトの中にいるヨヨの存在だったり、気になることはまだまだ

たくさんあるんだけどなあ。


せめて、もう一度サイレン世界にも行ってほしいぞ!