昏睡状態に関する貴重な経験が書かれた本を二冊紹介します。
一冊目は、「生存する意識」
イギリス出身の神経科学者エイドリアン・オーウェン氏が、fMRIという装置を使っていわゆる”植物状態”と診断された人たちの脳の機能を視覚化して調べた結果、「物事を認識する能力が皆無だと思われている植物状態の人の15~20%は、どんなかたちの外部刺激にもまったく応答しないにもかかわらず、完全に意識がある」ことを発見しました。
この発見だけでもかなり大きなことですが、この事実とともに私が強調しておきたいことは、この本では、だからといって残りの75~80%の人が「意識がない」とは決して言っていないということです。
著者は、いわゆる”植物状態”や昏睡状態を、グレイ・ゾーンという曖昧な世界の一領域だとして、「グレイ・ゾーンは私たちに、意識はあるかないかのどちらかという問題ではないことを教えてくれる。オンかオフか、黒か白かで決着をつけるような問題ではない。グレイにはさまざまな色合いがある」と言います。
彼が科学者としてグレイ・ゾーンにいる人やその家族に出会い、真摯に探求に取り組みながら、意識やグレイ・ゾーンの奥深さについて驚かされる姿には、人としての誠実さを感じます。
この本の後半で、fMRIで脳の反応を検知できなかった人が、グレイ・ゾーンから戻ってきた後に、その時の体験の記憶を語るということがありました。
そのとき著者は、「意識は私たちの指のあいだをすり抜けていってしまった」と言っています。
意識を外側から観察することにはまだまだ限界があり、本当にその人の体験というものはその人自身にしか知りえないことが多い。
だからこそ私たちは今よりずっと謙虚であるべきだと思います。
この本に書かれていることが、現代の科学、医学、哲学、法律、倫理などにどれだけ重大な影響を及ぼすでしょうか。
「グレイ・ゾーンの科学とは、あらゆる人生の価値を肯定することだ」という著者の言葉がありますが、コーマワークもその試みのひとつだと思っています。
二冊目は、また次回に。
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