今朝、洗濯ものを干しているときのこと。

タオルの臭いを嗅いだ瞬間、(いや、嗅ぐなよ笑)約50年前の夏の記憶が戻ってきた。

2歳下の妹もいたから、夏休みだろうか?私はせいぜい3年生くらいだったはず。


実家は、当時農家だったのでふたりで留守番していたのだと思う。


私たちが、『えびじっこ』と呼ぶ行商人がやってきた。

えびじっこさんは、かの戦争に出征してソ連で捕虜になったはずだった。記憶曖昧。


片目も負傷して、背中には弾傷があった。もしかしたら、まだ弾が残っていたかも?


こどもふたりには、怖さの方がまさっていた。


私の妹は、郵便配達が来ただけで奥に引っ込む極度の人見知りだったので、当然ながら姿をくらましていた。


いま、誰もいないことを告げると、えびじっこは背中の荷かごを降ろすと、


「お姉ちゃん、これ濡らしてちょうだい。」と、頭に巻いた手拭いを差し出した。

私は、煮しまった手拭いを受け取り、流しでゆすいだ。

むむ…酸っぱい‼︎

洗っても洗っても、酸っぱい。


お姉ちゃんは、手拭いを手渡し水も汲んで手渡した。


「ハラショー、ハラショー。」


汗を拭き、鉢巻きを締め直したえびじっこは、そう言い残してまた次の家へ向かって行った。


暑い夏の記憶が、



今朝の部屋干し臭い戻りのタオルチェックと共に、戻ってきた。


ハラショーとは、ロシア語でありがとうとかすばらしいという意味だと後から知った。


えびじっこの本当の名前も知らないまま、数年後私たち一家は引越した。


明日、3月26日は42歳で亡くなった父の命日だ。


えびじっこのおかげで、大切なことを思い出させてもらった気がする。


怖かったけど、よくやったよお姉ちゃん。


今なら、それが怖い場面じゃないってわかるけどね。