朝、出掛けに妻からお願いされた。
快諾し、荷物を背負って自転車に乗る。
今日はお休みをいただいたので、釣りに出かける。
最寄り駅までは10分と少しだが、私の住む町のこの季節はとにかく寒い。
後で調べると今朝も氷点下だった。
駐輪場に着いてカゴから釣竿を取り出す。
予報では午後から雨が降るかもしれないので、ついでに雨合羽も持って行こうと背中から下ろした鞄に詰めた。
そこで気がついた。
尻のポケットに入れたはずのお財布がない。
焦った私は荷物を背負って再び同じ道を辿って家に戻る。
道端に財布が落ちている様子はない。
家に着くなり玄関周りや、取り出したはずの仕事用の鞄を開けるも財布は見当たらない。
妻も子供も心配しているが、私はもう一度駅まで行ってみると告げて再出発した。
やはり道端にはなく、駐輪場のおじさんに尋ねるも落とし物はない。
やむなく、駅前の交番で遺失物の届けを出した。
私は財布の中身を管理しているタイプの人間なので、入っている現金とキャッシュカードおよびクレジットカードの詳細を伝えた。
しかし、中身はそれほど問題ではない。
現金については正直手痛いところだが、このご時世拾った人が必要とされていたなら生活費に充てていただくのは仕方のないところだろう。
カード類は速やかに執行停止をしたのでこれも問題ではない。
しかし、財布だけはできれば無傷で返して欲しい。
私は財布を一つしか持っていない。
結婚する前なのでもう10年以上前に遡るが、妻からいただいた大切な財布だった。
妻がガンバ大阪好きの私を思って選んでくれたのがよく分かる色合いのBurberryのblack labelだ。
本当に気に入っていたし、唯一無二と思っていた。
まだ何年も使うつもりだったのに、こんな事で失うなんて己が情けない。
なんで尻ポケットなんかに入れて自転車に乗ったんだろう。
情けない。