遡ること2ヶ月前、母親から電話があった。
母親は一生のお願いやから一緒に富士山を見に行ってくれと言う。
母は父に断られ、近所で暮らす弟に断られ、もう頼むのは私しかいないと言う。
私は母をかわいそうに思った。
詳細を尋ねると、日時はすでに決まっており、母親のお仲間とバスで富士山に向かうのだが、母はそのバスのお世話係を任されていると言う。
お仲間は高齢の方が多く、荷物の持ち運びやその場の介助員として私のマンパワーを求めているらしい。
しかも、富士山と日の出を見るため、夕方に大阪を出発して0時ごろに到着し、朝まで時間を潰すと言う。
何じゃそりゃという行程だったが、山登りをするわけではないとホッとしたのでわかった行くわと言っておいた。
いちおう妻にも確認すると、一生のお願いやったら仕方ないな、とのことだった。
そして当日、町のお祭りと花火大会の日だったので子ども達には少し申し訳なく思ったが、近所の女子大生Mちゃんとその姉Lちゃん、あと、お友達のノブさんが来てくれてたいそう楽しかったらしい。
我が家に私は必要ないと証明された。
私はというと、鈴鹿、浜松、駿河湾沼津といった夜のPA、SAを満喫していた。
やはり高速道路はSAを楽しむためにあり、SAは人混みのない夜に限る。
順調に目的地に着いた我々一行は日の出まで時間を潰す。
屋台などもあって楽しかった。
そして、母親といろんな話をした。
これまでの事やこれからの事。
実家のことも自分の家族のことも、正直に意見を交換し合った。
なかなか密度の濃い時間を過ごせたことに感謝しているし、できれば父親も一緒なら良かったと思う。
いつか、父ともそんな話ができればいい。
ただ、肝心の富士山と日の出は、ちょうど山頂に雲がかかっていて見ることができなかった。
機会があれば、また来てもいいかと思い、我々一行は午前中に帰路についた。