愛すべきクラブが最後の最後で集中を切らしてしまった数時間前、コマオは今更ながら三浦しをんの『舟を編む』を購入した。
昨日の話である。
嫁がコンタクトレンズを買いに行くので、イオンショッピングモール内の眼科を訪ねた。
嫁を待つ間、コマオとあやこは書店に行き、店内をぐるぐると回った。
小説のコーナーに平積みされた『舟を編む』を見つけたのは、書店に飽きて出ようとした頃だった。
発行当初から読みたいと思っていたが、なかなか購入できずにいた。
さらりと立ち読みをし、やっぱオモロいわコレ、と購入を決める。
コマオは小説を買うとき、平積みのだいたい三冊目を掘り出して本のコンディションを伺う。
今回ももれなく合格だったので、ついでに第何刷かを調べる。
『舟を編む』はすでに十万部を超えているので、まさか初版ではないだろうと考えていたが初版だった。
この事実にはコマオも興奮する。
コマオは何となく初版が好きだ。
あやこの寝静まる21時にはコマオは本の虫となる。
本当はもっと時間をかけて読みたいが、ページが進んでしまう。
ふと、本から離れると現実がコマオを襲う。
愛すべきクラブは絶対に落とせない試合を落とした。
敵は目の前ではなく己にある。
負けんのは仕方ないが、ちゃんとやろうや。
何となく勝てる試合はフットボールにはない。
そうして活字に目を落とし、また頁をめくる。
その瞬間のコマオは幸福な気持ちと併せて知識の吸収を肌で感じている。