夜勤明け、コマオは猛烈な睡魔と格闘しつつ佐川を待った。
もうすぐ正午にさしかかろうとしたその時、一人の寝床にチャイムが鳴り響く。
先日、実母からビデオカメラの購入とお届けを宣告されていたが、届いた機種の半端なさにコマオは度肝を抜かれた。
届いた品はパナソニックの森高さんのやつ。
しかも、3Dの映像が撮れるらしい。
残念なことにコマオの寝床では3Dを拝見する手段がない。
コマオはちょっと狙っていた機種をプレゼントされ、最大の感謝の意をこめて実母にメールした。
そして、興奮を抑えつつ、仮眠をとった。
昨日から嫁とあやこはご実家に行っている。
何でも嫁の地元の秋祭りがあるとのこと。
秋祭りと聞くと田舎を想像するコマオは失礼な男である。
仮眠中にその嫁からメールが届き、起こされた。
本当はもう1時間寝たかったが、覚めてしまったものは仕方がない。
嫁に文句を言うわけにもいかず、コマオはアイスコーヒーを流し込んだ。
10月なのにぽかぽかして気持ちがいい。
コマオは仮眠中に充電しておいたカメラをぽちぽちといじる。
最近は何でもかんでもタッチパネルである。
15時を回ったあたりで洗濯物を回収する。
すると、あやこの可愛いお服にカメムシがついていた。
猛烈な怒りに駆られたコマオは脳内にて会議を開く。
脳の中では数十のコマオが議論を交わす。
中にはそんな不届き者は抹殺せよという過激派もいる。
かたや、みんなみんな生きているんだという穏健派もいる。
両者の意見はいつも平行線をたどる。
コマオは悩んだ挙句、デコピン一発、カメムシを撃退した。
残りの洗濯物を回収しているときにふんずけてしまい、結局、カメムシは亡くなる。
少し臭いが発生したので、今度からデコピンはベランダの外に向けて行おうと決意する。