コマオにとって受診と言えば専ら歯科に赴くことをさしていた。
一見すると内科的に弱そうな身体つきであるが、今日まで入院はおろか、病院と言う場所に行ったことも両手の指で済むくらいしかない。
コマオは大病のない、大怪我のない頑丈な身体である。
一週間ほど前からコマオの右目が充血していた。
痛みや痒みはなく、目を擦りすぎたかなぁ程度に思っていたが、これがなかなかひかない。
2,3日前になると痛みを生じるようになり、やむなく相方に症状を訴えた。
相方は女性らしく、『余命』や『未病』、『不治の病』などの言葉が大好きである。
一見たいしたことのないような症状でもまず大病を疑う。
これは自身に起こったことではなく、他者に起こった場合によくみられる現象だ。
「今から眼科行きなさい」
相方は強く言う。
相方に強く言われた従うより他がない。
コマオは職業柄、他者の受診に付き添うことが多い。
しかし、自らの受診経験は極端に少ないので、本当は病院なんか行きたくない。
なんかこわい。
昨日、コマオは相方の言われるまま、相方の紹介する眼科を訪ねた。
待合室では9割以上の方がマスクをしており、マスクを買いそびれたコマオは肩身の狭い思いをした。
しかしまぁ、コマオはなんともコンタクトレンズ使用者の多いことに驚いた。
待合にいたほとんどの方はコンタクトレンズの購入者と思われた。
コマオは裸眼で1.5の視力を持っている。
学生時代には2.0あった視力も衰え始めているが、これよりぼやけて見える世界はどんなものなのか。
コマオは想像ができない。
受診はテキパキと行われたが、結局のところ、原因が分からなかった。
点眼を2種類処方していただき、ステロイドを含んでいるので一週間後に再診となる。
健康保険により3割負担となるが、受診費用も馬鹿にならない。
薬局ではもちろんジェネリックを選択するコマオがいた。