コマオの友人にY野と言う男が京都にいる。
今から五年前、志を同じくしてオフィスで出会ったのだが、二年と経たないうちに退職してしまった。
彼にはバスの運転手さんになるという夢があった。
退職後、Y野は夢を叶え、今日もバスで大勢のお客様を各々の目的地へ運んでいる。
Y野はしばしばうっかりやらかす男であった。
同じオフィスにいた頃も、物品を破壊するのはいつも新語だった。
お客様を巻き込んだ事故がなかったのは不幸中の幸いである。
バスの運転手さんになった今、彼にはリーチがかかっている。
兵庫で働いていた頃はお婆ちゃんが待つバス停を素通りしたことがあるらしい。
この前の花見で人伝に聞いた話だが、京の街でも始末書を二枚書いたらしい。
一枚は高級車のベンツにぶつけたと言う、いかにもY野らしい笑える話。
もう一枚はバス停で全員乗ったと勘違いしたY野がドアを閉め、お客様をドアに挟んだと言うあまり笑ってはいけない話だった。
誰もいなくなった車内で大声を出して歌っていると、
「ピンポーン、次、降ります」
の音声とともに若い女性が下車した事もあるらしい。
始末書など気にせずにのびのび働いてほしいが、Y野にはダブルチェックが必要だ。