検非違使が容疑者を追い詰めると、
容疑者は三条帝の第一皇子である
式部卿宮敦明様の屋敷に逃げ込みます。
追手と言えども勝手に踏み込めない貴人邸、
舎人と揉めてる場に丁度
敦明皇子が供を従え戻ります。
事情を問うた皇子、
「怪しげなる者に逃げ込まれたら、こちらも迷惑である、邸内の探索を許す」と給う・・
その時は犯人と思しき者は見当たらなかったが、
皇子は後日家人のある男を勘問し、
検非違使庁に引き渡します。
このことで皇子は都の庶民に人柄を見直されます。
ところがこの男
「あれらの詐欺行為は皇子の命でやったこと」と証言します。
都人はたちまち「そんな事はよもやあるまい・・でも疑わしい点もある」等と噂しあいます。
しかしながら高貴な身分故・・検非違使庁も沙汰止みといたします。
これを知った敦明皇子の御生母である娍子は時に42歳、
宮を呼びつけ説諭いたします。
「解らないのですかそなた」
「えっ?」
「今は帝のお眼が思わしくなく政務にも差し障ろうという折です。
貴方が東宮(次期帝)に相応しからずという動きに利するのです。」
「えっ?」
「ですから家人をも守れないお方と噂され、家人にも裏切られるのです・・毅然とし検非違使の探索など撥ねつけるべきだったのです・・」
これ永井路子氏作「噂の皇子」の一節を要約しました。
現代も
内閣に・官僚に・企業に・・
組織内論理は現代も生きながらえていますね。
山口某といい佐川某といい
守護されてますもんね、お幸せです。