程なくして、看護師さんから、
「着替え用のお気に入りの1枚はありますか」
と聞かれ、
「突然だったので用意していません」
と答えました。
着替えの浴衣も心の準備も何もできないまま、
突然のお別れでした。
本当は、今晩、そういう事の全てを母と
相談しようと思っていました。
救急外来の入口に自販機が置いてあり、
そこで浴衣が購入できると言われ、
暗い院内を歩いて調達しに行きました。
しかし、
手が震えて、
ベンダーマシンにお札が入りません![]()
手が震えたのは初めてでした。
守衛さんが手伝って下さいました。
私はお礼も言えてなかっと思います。
この場をかりて、
あの時は有難うございました![]()
病室に戻り、また茫然自失でいると
担当医のビュ先生が入ってきて。
「血液検査は悪くなかったのにね」と言い。
(じゃー死因が腎不全なんておかしいわよ。
今日のあなた、病気だけ診て
病人は診ていなかったでしょ!!
)
()はわたしの心の声。
死因が腎不全なんて、取って付けたようで、
不可解でした。尿の排出量も充分だったし。
でも、今は、彼女に対しては
「遅くまで有難うございました
」
という気持ちです。
先生は首から入ってる点滴用の管を抜去
していました。
何やら話していますが、
私は会話をするのが面倒になり、
再びぼーとする事にしました。
気がついた時には先生はいませんでした。
そして、今度は看護師さんが来て、
父の身支度を整えるので
病室を出るように促し。
その時、もう1名の夜勤担当の看護師さんが
入って来ました。
彼女を見て驚いて固まってしまいました。
もう1名の看護師さんは、
なんと、
昨日、痰吸引をした
あの人(S気質のある黒看護師)
だったのです。![]()
(昨日の痰吸引後、急に元気がなくなった時の)
もしかして、今夜もあの人が吸引した?![]()
ありえますよね。時々担当でない看護師さんが
痰吸引していましたし。
あの人に止めを刺されたのかしら?
誰が痰吸引したのかは、
その時は確かめる余裕はありませんでした。
今でも謎です。
確かめたい事は他にもありましたが、
すべては闇の中。
あの当時、一段落した時に母がもう病院には
何も聞かなくいいと言い出しまして・・・・。
私は今でも、もやもや![]()
しています。
11:00pm過ぎに姉と姉の息子が(途中で合流したと)
到着し、病室内を片付け、業者さんに
霊安室に移動して頂きました。
父は霊安室の台の上に寝かされた状態で、
安置されました。
とてもかわいそうでした。
さっきまで、ベットでお布団掛けて
寝ていたのに。
看護師さんからは、好意で、
遠方に帰るので、
今晩はここに泊まって
明日の朝お帰り下さいと言われました。
でも、朝までここにいるのは、
父が余りにもかわいそうで、
早く家に帰してあげたいと思い。
業者さんに車を手配して頂き、できるだけ早く
こちらを出発する事に決めました。
そして、いよいよ出発です。
霊安室の反対側の扉を開けると
車が横付けしてあり、驚きました。
そういう仕組みになっているのかと。
父は、深夜の1:00amに病院を出発して
自宅へ向かいました。
やっと、うちに帰れるね、お父さん。
3カ月ぶりだね。
姉が同乗しました。
ちゃんと魂もついて行ったかしら![]()
私はタクシーで甥を送り
(私と同じ区内に住んでいる)
帰宅しました。
長い1日でした。
私は、あの日を
いまだに乗り越える事が
できないままでいます。