お茶の花が見かけ始めました。
お茶に花をつけることは決して良いことではありません。
詩人、吉野弘さんは、「北入曽」の「茶の花のおぼえがき」の中で次のような記載をされています。
『井戸端園の若旦那が、或る日、私に話してくれました。
「施肥が充分で栄養状態のいい茶の木には、花がほとんど咲きません。」
花は、言うまでもなく植物の繁殖器官、次の世代へ生命を受け継がせるため
の種子をつくる器官です。その花を、植物が準備しなくなるのは、終わりのな
い生命を幻覚できるほどの、エネルギーの充足状態が内部に生じるからでし
ょうか。
死を超えることのできない生命が、超えようとするいとなみーーそれが繁殖
ですが、そのいとなみを忘れさせるほどの生の充溢を、肥料が植物の内部に
注ぎ込むことは驚きです。幸福か不幸かは、別として。
施肥を打ち切って放置すると、茶の木は再び花を咲かせるそうです。多分、
永遠の夢見させてはくれないほどの、天与の栄養状態に戻るのでしょう。』
吉野さんの詩集の中で最初の部分を紹介しました。また、「茶畑では、茶の木が
みんな栄養生長という状態に置かれている。花を咲かせて種子をつくる、そういう状態は成熟成長と言う」とも語られています。
同じ仲間の椿や山茶花もたくさんの花をつけるときは木が衰弱しているので、蕾のときに、間引きしてあげないと枯れてしまいます。
お茶の花がびっしりと付いています。2cmぐらい大きさで純白の花です。
椿も茶の湯に飾られますが同じ仲間だからでしょうか。種子も似たのが付いています。昨年咲いた、花のものでしょうか。
お茶の木は美味しい葉を繁させるために、常に肥料管理で栄養生長させられる
姿は私たちの人間にも置き換えられるのではなかろうか。